初めての川柳講座のテキストとして大木俊秀先生のご本を読みなおしました。その題詠の作り方には次のような心得がありました。
- 川柳は人間を詠む
- 川柳は五七五で詠む
- 川柳は口語体で作る
- 季語は必須の条件ではない
- 川柳は言葉の遊びではない
- 川柳の三要素にはこだわりすぎない
- 川柳には雑詠と題詠がある
- 句は一読明快でありたい
- 先ずは身近なところから詠む
九つの心得というのが面白く書き留めてみました。10の心得でないのがいいですね。
東海村の「初めての川柳講座」に「海」という題を出しました。
例えば「海」と言う題が出たとします。とてつもなく広く大きい題です。「海」に対する漠然とした概念は持っています。しかし「海とは何ですか」と改まって問われると、海の定義はスラッとは出てこないもの、そこで辞書に訪ねます。例えば「大辞林」には
- 地球の表面おうち、海水をたたえた部分。総面積は約三億六千万平方キロメートルで地球表面積の約四分の三を占める。最深はマリアナ海溝の・・・・。(後略)
- 陸地内の淡水をたたえた部分。みずうみ、湖。(用例・「鳰の・・・」)
- 月面の比較的凹凸少なく広がっているところ。(用例・{嵐の・・・})
- あたり一面がそのものでおおわれていること。(用例・「あたりは火の・・・だった」)
- 硯の水をためておく部分。
とあります。これだけでも「海」がかなりはっきりしてきました。続いて海に関することわざや言い習わし。さらには「海」が頭につくたくさんの成語。訓では「うみ」、音では「かい」。さらに逆引き辞典を引いてみますと一番下に海の付く語がずらり。かくして海に関する言葉は一網打尽。時間があれば、百科事典の「海」にも目を通してみる。こうして「海」をしっかりつかんでから作句に取りかかる。・・・
もちろんこれはあらかじめ題が出ている「宿題」作句に限って準備できることですが、その作業の結果を、自分の海体験や海観とうまくミックスさせて句を仕立ててゆくのが理想的な手順と思っています。別に大論文を書くわけではありません。短詩文芸なのですから当然皆さんの感性、大きくものをいうことになります。
辞書のことが出てきましたのでついでに申し上げますが、辞書と仲良くしましょう。辞書は固くなった頭を耕してくれます。ことばをたくさん知っている人の方が句を作るのに有利なことは論を待ちません。大会や句会には持ち運びに適したお気に入りの辞書をぜひ携えたいもの。幹事や送り仮名の誤りを防ぎ、正しい表記をするために辞書は欠かせません。また何気なく辞書をぺらぺらめくっているうちに素晴らしい言葉に出会い、その瞬間、ふと名吟が浮かぶことがあります。ケータイ忘れてもジショを忘れるなです。もっとも現代ではケータイやスマホに辞書機能が付いておりますね。
課題とガップリ四つに組む
題は主役です。決してわき役に回してはなりません。題に正対して、題に忠実に、ガップリ四つに組むつもりで句を作ってください。例えば先ほどの「海」を言う題で
ふるさとに汚れぬ山と川と海
で作られたとします。五七五の定型が守られている点、大変結構です。
「海」もちゃんと入っています。でもこの句は「海」の題詠作品としては不合格。「海」を主役に据えていないからです。主役は一人でたくさん。「山」や「川」を持ってきてはいけません。「と」という「助詞」でつないでいますので、山、川、海は三者同格となり、主役であるべき「海」が山と川に足を引っ張られる形になりました。「山」という題、「川」という題が出されてこの句が作られたとしても、まったく同じことが言えます。「海」だったら、海一途、海オンリーで作らなくてはいけません。題に忠実にというのはこのことです。
ただこの句が雑詠・自由吟としてあるいは課題「ふるさと」として作られたものならば、句の巧拙は別問題として此のままとうります。「ふるさと」がまだ汚染を知らぬ山、川、海の三要素でがっちりと支えられていて、これが作者の自慢であり感謝の対象であることが十分察せられる、まずまずの句として評価してよいでしょう。でも「海」という題の作品としてはいただけません。
関連して、対語「対義語・反対語」について
「明るい」の題に[明暗を分かつ・・・」
「悲しい」 「悲喜こもごも」
「東」の題に「東西」「東西南北」
「赤」 「紅白」などなど
改めて私の勉強になりました。10日はつくば谷田部川柳会で「図星」の選句を勉強させていただきました。難しい題でした。
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