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 12月号も、坂本きりりさんに鑑賞をしていただきました。

○ 御自由にと言うが矢印つけてある   藤森ますみ 

 強制はしていないが誘導はしているのだ。厚かましい誘いだがよくある話で、矢印のせいに出来るので楽だ。作者はこの後どうしたのだろう。

○ ちょっと嘘ついて十五夜まぶしすぎ  細井 道子 

 夜の闇をひときわ照らす十五夜。光と影の切り絵の中で嘘がにじみ出すのが怖い。伏目がちになるとしたらそれは嘘ではなく、きっと月のまぶしさのせいなのだ。

○ ふうせんの空気ちょっぴり控え目に  武籐 伶子

 満タンにしないことってゆとり? それとも時間かせぎ? 割れる恐怖から逃れられたが、じわじわと萎んでいく静かな不安に気付いているだろうか。

○ ラッシュアワー無職の私押している  山井十文字

 人間同士の密着した車内だがこれほど無表情な空間はあるまい。そこへ紛れ込む「無職の私」は間違いなく生きた人間だが、孤独は際だつばかりだ。

○ 肩書きが邪魔な定年後のおやじ   あきさくらこ

 そんなカッコいいおやじは実はあまり居ません。しがみつくように肩書きが好きになっていきます。カッコいいおやじや爺さんを男は目指すべきだと思うのだが。

○ 未だ死なぬ老人力を侮るな      油谷 克己

 「老」という字が入ると途端に句が老いっぽくなる。「死なぬ」「侮るな」「喝っ!」ぐらい入れてバランスをとらなければね。ただただ老いる句ではいたたまれない。

○ 七十路に夢を紡いでジュリエット   池田登茂子

 ジュリエット、十三歳の悲恋である。だがそんなことは関係ない。バルコニーをかけ登る恋人を持てば誰もがヒロイン。ロミオにはもちろん勢いが必要だろう。

○ かわいいネそれしか言えぬペット犬  大須賀ユキ

 孫やらペットやら真っ向から逆らえぬ「かわいさ」がやってくる。「かわいいネ」と言わなければいけない。暴力的なかわいさに対抗するには川柳しかないのか。

○ こころ投げ出し家の匂いの中に居る  小柳津優子

 嗅覚は心の奥とつながっている。古い記憶、明確にならないもの、あんな感じ、こんな雰囲気を直によみがえらせる。放心のこころよさ、胎内回帰にも似て。

○ いざこざが猫の口からもれてくる   新海 照弘

 いざこざは猫の取っ組み合いとは違う。スッキリしないものが身辺にあると言うのだ。無邪気な猫はまたふらりと出て行ったが残された作者は?

○ 友達になりたいそっと手を繋ぐ    鈴木 順子

 感触をもらえる句が好きだ。「帰っておいで」とか「もう大丈夫だよ」と言われたみたい。

 10月30日の東日新聞に、川柳番傘11月号近詠作品の中から1人1句ずつと、12月句会案内を載せて頂きました。

 12月5日の東日新聞に、豊橋番傘10月句会作品の中から1人1句ずつと、11月号の表紙絵を載せて頂きました。ありがとうございます。

 山の あなた さん、久し振りに鑑賞をお願いできませんか。

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川柳豊橋番傘12月号『好句往来』”にコメントをどうぞ

  1. たかこ on 2012年12月8日 at 8:46 AM :

    順子さん
    パソコンメールへおじゃましてます。また覗いてみてくださいね。

    • 鈴木順子 on 2012年12月8日 at 10:52 AM :

      たかこさん、ごめん、ごめん。
      家の私のPC数日開いてなかった。今日帰ったら早速開きます。
      昨夜は、某立候補者の個人演説が地元の小学校の体育館であって、お手伝いでした。寒かった、寒かった。帰って、即行お風呂へ入ったけど、なかなか暖まらなかったは。

  2. 山の あなた on 2012年12月8日 at 12:24 PM :

    こんにちは  ちょっと煽てられてその気になりました。
    ○御自由にと言うが矢印つけてある
      矢印の先は出口ですかねえ。人生の。迷いながらも逆らいながら も結局矢印の通りに進んでいくのでしょうねえ。矢印というのはき っと神様ですよ。カミサマ。作者はこの後どうしたって?そうです よ。悟りの道を行くのです。
    ○ちょっと嘘ついて十五夜まぶしすぎ
      この句と出会って俺もだと思う人はかなり居られるのではないで しょうか。そうです。その人たちは皆善人なのです。ドビッシイの 世界に酔う人なのです。
    ○ふうせんの空気ちょっぴり控え目に
      何事も腹八分目がいいとか。さては私のメタボ腹を見ましたね。
    ○ラッシュアワー無職の私押している
      面白い面白い。戦士を押すことで立派に社会貢献している自覚。 尊いです。見習はなくっちゃ。
    ○肩書きが邪魔な定年後のおやじ
      肩書きが好きなお方も結構いるんですよねえ。12月17日から は前議員元議員なんて申されて祝電魔になるんです。我が川柳界に も日本川柳○○○○事なんて名刺を振りかざす先生はキットお相手 に親切なお方に違いありません。
    ○未だ死なぬ老人力を侮るな
      同感同感。悔しかったら年金を貰ってみろ。電車では席を譲れ。 チケットの割引が足りないぞ。口答えはするな。
    ○七十路に夢を紡いでジュリエット
      還暦を経れば七十路は十代。その息その息。老人力を侮るな。
    ○かわいいネそれしか言えぬペット犬
      ネが効いている。私は猫が大嫌い。かつて上司宅に12月のご挨 拶に行くとその家の猫が一張羅のズボンにじゃれかかる。かわいい ネなんて心にもないことを言う。そして上司の隙をみて猫の頭をゴ ツン。この気持ちのいいこと。
    ○こころ投げ出し家の匂いの中にいる
      友人宅に行くと玄関に結構な香りが漂う。でもその香りの陰に潜 むこの家本来の匂いを嗅ぎ探る。戦いは始まっている。
    ○いざこざが猫の口からもれてくる
      なるほど。これは油断が出来ない。猫のミタ。ご用心ご用心。九 官鳥ならもっとご用心。
    ○友達になりたいそっと手を繋ぐ
      嬉しい。例えばフクシマの人々への支援は某党々主のような大声 はいらない。何気ない思いやりが一番では。
          食材はフクシマ産と決めている(津田 暹)
    今回も順子さんにはお教えを頂きました。

  3. 鈴木順子 on 2012年12月10日 at 7:23 AM :

    山の あなた さん
    句評をありがとうございます。嬉しかったです。
    津田暹さんの心境まではいきませんが、句会の時に「何も捨てんでも、俺らは被災地のものを食べるのに…」なんて話してた頃がありました。
    ブログに彩を添えてくださりありがとうございました。

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