大阪3月句会が新型コロナウイルスの影響により中止になった。そこで勉強会の世話役が中心になって会場を使わないでやる句会を企画した。パソコン、ライン、ファックスを利用して句会をやろう。声をかけて24人の参加を得た。宿題「たかが」をひとり1句出し、全員の互選で6句選び内1句を秀句とする。全句に1~3行のコメントを書いてもらう。互選結果とコメント一覧表はA4で20ページにもなった。それを全員に還元した。
*参加者*行兵衛、いずみ、和子、喜八郎、桂子、さくら、重信、志津子、蕉子、すゞ代、盛隆、妙、秀夫、啓子、宏子、ふさゑ、まさひろ、雅裕、満知子、真理子、美智子、元伸、康信、律子(以上24名)
高得点の句とコメントを紹介します。
21点句 助詞一字大海原を引き寄せる 居谷真理子
◎川柳の神髄ともいわれる助詞の使い方を持ってこられたことを評価しました。(重信)
◎実感句。⑧と同じ発想だが大海原を引き寄せるがすごくよい(宏子)
◎(大海原)が素晴らしい。(美智子)
◎「大海原」がいいと思う。(律子)
◎一字の助詞でその句を大きく変化させ助詞の力大きい。(志津子)
○中七から下五のスケールに参りました。2点句とも思いましたが、分り易さで、、、。(康信)
○確かに川柳においても助詞の使い方一つで良くもなれば悪くもなる。助詞の一字で大海 原を引き寄せるのもオーバーで川柳的だ。漢字が6文字続いているのが圧迫感があり気にかかる。(雅裕)
○たかが一字の違いで主客が転倒します。(盛隆)
〇「大海原を引き寄せる」という表現が大変すばらしい。(元伸)
○大海原がうまい。(満知子)
〇大海原を引き寄せるの大袈裟感がいい。(啓子)
○「大海原」が良かったです。(さくら)
〇推敲を重ねてふっと閃いた助詞。これだ!
たかが一字されど一字で句が動きだした。大海原がいいですね。(桂子)
○「一字」がいいか「一つ」がいいか迷うところ。中七下五が豪快で⑧を退けた感じ。 (喜八郎)
〇⑧と発想は近いですが、大海原という具体的な表現のこの句を選びました。(まさひろ)
○川柳をする者にとっては上下入れ替えたり助詞に迷ったり此の句は外せません。(蕉子)
・川柳のことを句にしてはいけないと聞いたことがあります。楽屋ネタ?この句はどうでしょうか?気持ちはよくわかります。(妙)
・大海原を引き寄せる、が良い。句の姿としては漢字が多いのが気にな「助詞ひとつ」では?(ふさゑ)
・とてもうまい句。◎にしてもおかしくないと思う。ただ8と同想句なので相打ちにした。実は川柳マガジンの「練る」の題で私も「助詞」がまず浮かんだので。(いずみ)
・どんな助詞か教えてください。(秀夫)
・当たり前のことを当たり前に、天根夢草の一句だ、大上段に振りかかった一句かも知れんが分かったようで判らん句だ(行兵衛)
・助詞一つに大海原の発想とはスケールが大きい。(和子)
・助詞の「力」ってすごいですよね。一字で世界が大きく動きます。
(すゞ代)
15点句 転がった石の言い分聞いている 岸井ふさゑ
◎うまい句です。こなれ感が満載です。いつかこんな句を作ってみたいものです。(妙)
◎たかがと言われても石には石の言い分があるらしい。頷きながら、じっくりと聞いてやりましょう。発想が面白い!(桂子)
◎たかが転がった石ころなのに何か気になる。訳を聞いてあげようではないか。(まさひろ)
○世の中は気を使ったり忖度することばかり。たかが転がった石にまで言い分を聞く末。自分のしっかりした主義主張を持ちたいものだ。(雅裕)
○転がるくらいだから小さな石なのだろう。たかが小さな石(小さな存在)の言い分をしゃがんで聞いている姿が目に浮かぶ。(いずみ)
○たかが転がったぐらいと他人は思っているのでしょうが。(盛隆)
○理解するよりリズムがいいなあと思い選びました。(重信)
〇解釈はまったく読む人に任されたような句。その分、想像が色々な方向に広がる上手な句だと思うが、どう評価すべきか釈然としない。(元伸)
○ただの石ではない化石。(秀夫)
〇転がるぐらいのちっぽけな石にも物語がたくさんあるということ(宏子)
○「聞いてやる」にせず「聞いている」にしているところが暖かい。(さくら)
○「たかが石」でも言い分を聞く。やさしい句。(律子)
・擬人句と思うけど転がった石がどんな人が見えず。(康信)
・この比喩、私には読み取りにくいです、すいません。(満知子)
・石の言い分聞いてみるが常套句にしてしまった。(啓子)
・優しいねえー 誰も相手にせぬ石ころ、賞味期限の切れた人間の愚痴や言い分を聞いて上げる。残り時間の無い愚生にそんな暇は無い。(行兵衛)
・出来上がった句ですが感動も薄い。(真理子)
・石に何があってそして石は何と言っているのか、想像させる。石が話す事の発想が面白い。(和子)
・何となく気になった句ですが・・。ずっと転がっていたのか、どこからか転がって来たのかなど私にとって消化不良の句です。(美智子)
・後一歩何かがもの足りません。きっと言いたいことが有るのでしょうが。言い分がないとすれば面白いですね。(喜八郎)
・よく出来ていて丸印したい句です。(蕉子)
・転がった石も折れた枝にも叫ぶことあったでしょう。なってしまったことは仕方がない。そこから見える空を信じましょう。(すゞ代)
・兼題との関係が私では詠み切れませんでした。(志津子)
15点句 消しゴムが落ちているので入れない 森田律子
◎入口を消しゴムが消してしまったのか。説明出来ないけれど、何故か心惹かれる。(ふさゑ)
◎ちょっとしたことで躊躇して気後れしていることが、うまく表現されている。「消しゴム」という些細なものでそれが表現されていることがすごいと思う。(元伸)
◎漫画に出て来る通行人なんでしょう。(秀夫)
◎たかが消しゴム。どんな消しゴムがどこにどう落ちているのか想像を大にさせる。(啓子)
◎詠めば詠むほど、噛めば噛むほど不思議な味の句だ。消しゴム一つで人生が左右されかねない不条理の世界に生きてるからかも。(行兵衛)
◎「なんでや」と思わず叫んだ一句。色、形、匂い、温度、音など五感を総動員して謎の解明にあたります。沈黙は金なり。(喜八郎)
○女の子たちが自分のことをキモいと言っているのを聞いてしまっただけで10年以上引きこもってしまった青年がいる。たかが消しゴムが落ちているのも恐怖であっておかしくない。(いずみ)
○たかが「消しゴム」楽しくてうまい。(満知子)
○たかが消しゴムなのに・・・どこへ入れないんだろう。気になるおもしろさ。(美智子)
・易しい言葉なのに、理解できず苦しみました。(康信)
・雰囲気が出てます。文房具が入ると学生時代を思い出してほっこりします。(妙)
・こういうことってあるよね。ささいなことだけれどそれが妙にひっかかって行動できないことって。(雅裕)
・たかが消しゴムですが、何もかも白紙に戻してしまいます。(盛隆)
・批評できません。(重信)
・これも迷いました わからないけれど わかった気分になったので迷ったのです(宏子)
・意味深長そうな句ですが、私にはサッパリ。(真理子)
・消しゴムを入れない理由に思いがいかなかった。(和子)
・鉛筆で描かれた儚い存在なのですか?(さくら)
・たかが消しゴムなのに・・・どこへ入れないんだろう。気になるおもしろさ。(美智子)
・題意「たかが」とどう結びつければいいのか?とても興味深い句。(桂子)
・たかが消しゴムがあるだけなのに溶け込んでいけない。途方もないパワーを持った消しゴムである。(まさひろ)
・これはたかがの究極の形と取りました。よく出来ています。(蕉子)
・私では意図が不明です。(志津子)
12点句 一枚の写真少年兵が死んでいる 宮井いずみ
◎一枚の写真がある。そこに写っているのは少年兵でしかも死んでいる。 衝撃的な提示である。戦争で少年の未来は断ち切られた。たかが一枚の写真であるが引きつけて止まない。それはモノクロ写真に違いない。(雅裕)
○字余りと思うけど、題によく合っている内容。教皇が反核で示した一枚の敗戦直後の写真、「少年が死んでいる弟を背負って墓参り」を想起しました。たかが一枚のインパクト!(康信)
○上句を「ニュース写真に」では句意が損なわれますか。(満知子)
〇たかがの究極として少年兵の死。凄い景。(啓子)
〇1枚の写真が多くのことを語っている。少年兵がよい(宏子)
○たかがの題でこの発想はすごいと思う。命の軽さを思う。(和子)
○「一枚の写真」から始まっているのがいいと思います。(さくら)
〇たかが写真・・・されど・・・されど・・・。重たいテーマだなと、立ち止まった句。(桂子)
○たかが写真ともいえぬ写真の中身が濃すぎます・775のリズム。たかがの題詠でなければいいのでは?(蕉子)
○たかが一枚の写真のつもりが、少年兵の死でたかがと言えなくなった。(律子)
○見逃してしまいそうなワンシーン。夢も希望もあったろうに・・・戦はもうごめんです。(すゞ代)
・私は戦争のテーマは苦手です。(妙)
・上五が8音ですね。ウ―ム…必要かな?たかがは、写真?少年兵?(ふさゑ)
・少年は自分の子供か孫かもしれませんよ。(盛隆)
・テロの少年兵なのか批評できません。(重信)
・命が粗末に扱われる戦場。「少年」という言葉が余計に心に沁みます。共感性は得ますが、その感傷だけで終わってしまうと、それだけになると思います。(元伸)
・死んでいるより笑顔。(秀夫)
・革新系が使う常套手段 愚生は保守系でも無いが、悲惨な現場だけ切り取って問題提起、なるほどたかが一枚ですか(行兵衛)
・厳しい内容ながら訴えが弱い。「死んでいる」と言いすぎたせいか。(真理子)
・インパクトのある句なのですが(たかが)という題との兼ね合いが気になります。(美智子)
・最近見た映像にこの句にぴったりのものがあった。何をいいたいのか、読む人に任される。作者の年齢がわかる。(喜八郎)
・一枚の写真が世界を動かすこともある。(まさひろ)
・一兵卒の少年の死も戦禍ではたかが・・・ですか。(志津子)
(今回の世話役)いずみ、ふさゑ、雅裕
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