川柳マガジンクラブ東京句会 第123回例会
第123回川柳マガジンクラブ東京句会が平成29年2月12日に東京都文京区「駒込学園」にて開催されました。出席者はお世話役の松橋帆波さん及び太田紀伊子、大谷仁子、小野六平太、葛飾凡斎(後半参加)、城内光子、菊池順風、菊池眼鏡、佐道正、菅野直訓、高塚三郎、高田以呂波、唯夕、辻直子、土屋喜代子、丸山松枝、丸山芳夫、横澤七五の各氏及び星野睦悟朗19名、欠席投句は植竹団扇、長谷川溪節各氏の2名でした。
茨城句会から太田紀伊子さん、葛飾凡斎さんがお見えになり盛り上げてくださいました。
当日の句評会結果及び宿題、席題の選者、入選句などは次の通りです。
Ⅰ、自由吟互選と句評会
句の上の数字は3句ずつ選んだ互選の得票数です。ゼロ票句は松橋帆波さん、佐道正さんがコメントしました。発言者の前に?をつけたのは、疑問等があって発言した人です。
こんないい天気勉強したくない 松枝
病床の窓をかすめる百合鴎 直訓
帆波「ゆりかもめから東京、東京からがんセンターなどという連想がありますが、一般性がありませんね」
正「そういうこと抜きだと何故「ゆりかもめ」か、となりますね」
作者「築地のがんセンターの隅田側でベイブリッジの見えるところに居ました」
有頂天異例歓迎後不安 喜代子
?紀伊子「わからなかった。有頂天になっているのはトランプさんだろうが、実際有頂天になっているのは安倍さんでは」
帆波「すべて漢字なのがうまい。中国に対するうがちもあるのかな。タイムリーな句」
作者「以呂波さんが漢字だけの句を作るのを見て作ってみました」
1 消臭剤さわやかすぎて負けている 順風
紀伊子「うまいなあ。何に負けたかわからないところがいい」
?芳夫「負けているは何が何にかが思い浮かばなかった」
正「作りとしては悪くない。実体が負けているのか?」
帆波「防、消、脱、芳香。匂いに負けちゃうこともある?」
作者「部屋、靴、トイレ、いろいろあるが、瞬間的には消えるがやがてかえってきつく感じる」
1 AIば馬鹿一なんだ二進法 六平太
?睦悟朗「馬鹿がわからない」
?唯夕「私も同じ」
?直子「馬鹿一がわかりません」
?紀伊子「情でなく知の句なんでしょうが、作者に聞いてみたくて?を付けました」
選んだ芳夫「AIが二進法はすぐわかった。0と1しか知らないから馬鹿なんだまたは一筋な馬鹿または馬鹿一なのだ二進法なんて、などいろいろ解釈しました」
作者「人工頭脳は二進法。人間はもっとすごい。もともとAIも人間が作ったもの」
正「むちゃくちゃ正直な人のようなのか」
帆波「本質を返してくる」
1 灼熱の恋に本音がかくれんぼ 七五
・・・みんなが作者を知って「えーー!」
作者「こういう反応があるかなあと思いました。「嘘」という題で考えました」
1 柵を外し踏み出す背が軽い 紀伊子
・・・当日提示されたことと、柵(しがらみ)が読めなかった人が多かったことから一票しか入りませんでした。
2 女房のチェックが入るモノトーン 唯夕
睦悟朗「呆けてぼーっとしたり、同じ事ばかり言うと・・・」
順風「スポーツは予測と瞬発力。モノトーンでは勝てません」
正「自分自身が一本調子、ということでしょう。面白い」
直子「年取るとこうなります」
作者「そこまで深くはないが、単色、服などを同じ色で揃える。人によっては奥さんが一緒に行く時だけチェックが入ります」
2 歩き方忘れないよう散歩する 芳夫
以呂波「ちょっとオーバー言い方が面白い」
直訓「しばし入院すると歩くのがおっくうになる。先生からも歩くように言われています」
作者「忘れないように。もしかしたら・・」
2 読書から翼と根っこプレゼント 光子
・・・その通りだがいい句、という声がありました。
作者「すごい真面目な句を作っちゃったがやはり本を読んで、もらったなあと思う」
2 鬼嫁と告げ口しては世話になる 三郎
・・・誰が誰に言っているのかいろいろな意見が出ました。
作者「近所にデイサービスに行くおばあちゃんがいて嫁に送らせている。そのくせ行った先では嫁の悪口を言います」
2 殺生を戒めながらシュッとやる 仁子
・・・共感が多かった。シューでなくシュッにも気持ちが出ている、との声がありました。
3 ○✕で育ち深掘りしない癖 睦悟朗
・・・いつごろからか、採点が楽だからか、全部に〇か×か付ければ50点取れる(笑い)、などなど。中には深掘りしないと川柳に不向き、なんて意見も。
3 いつも赤相性悪い交差点 以呂波
・・・そういうことあるある、と3票。
3 イヌ派ネコ派絶対いないゴキブリ派 正
三郎「好きな人いるかなあ」
光子「すごく面白いです」
直子「私もそう思う。句に出てくるゴキブリは好きです」
仁子「北海道ではいないので飼っていました」
帆波「東南アジアでは食べます。どうして嫌われるのか。体の大きさと走る速さ。相当早い。いやな速度」
七五「長く生きてきた」
帆波「良くできているのでしょう」
3 一本締め何も終わっておりません 直子
・・・そういえばそういうことが多い、との声。地方によってやり方が違う話なども。
4 囲碁将棋競馬中継音不要 団扇
・・・競馬は音があった方がいい、という複数の意見もありました。
4 夫婦にも適度な車間距離がある 溪節
・・・共感の声が集まりました。
作者「37周年を迎える。夫婦円満のためにも必要と思う」
5 いそいそと出掛けすごすごと帰る 眼鏡
・・・いろんな場面が想像できる良い句、との声が。
作者「句会でも。こんかいはいけるぞー、がだめだったり」
・・・始めたばかりなのによく選に入ることから、すごすごと出掛けいそいそと帰る、でしょうと声が上がっていました。
9 鬼は外 だから世間は鬼ばかり 帆波
・・・選んだ9人口々に「面白い」作った本人は「なんでこんなたんじゅんなにをつくったかなあ」
Ⅱ、宿題
宿題は「区切り」で太田紀伊子さんに選をお願いしました。
選者より「区切りとはっきりわかる句を取りました。自分だけの区切り「今日からは…」が2句ありました。定年の句も3,4句ありました。そのほか句読点、出世魚、年賀状など多彩でした。「パンツクッタドコデクギレバイイノカナ」「ココデハキモノヲヌグクギリハドコダ」なんて選者泣かせの句もありました」
提出された全部の句に対してコメントをいただき、大変勉強になりました。
バイキング区切りある皿渡される 光子
ベクレルの区切り変えてを大丈夫 眼鏡
初恋に鋏を入れて前をむく 喜代子
海と空区切りとけあう春の海 眼鏡
区切らずに明日に繋げる紙芝居 六平太
区切らずにだらだら続くアンコール 六平太
ここまでが足です帯を高く締め 松枝
区切りなき仕事が過労死を増やし 溪節
災害地区切られ未だ戻れない 仁子
ギロチンがいっぱいあった峠道 帆波
「秀作」
憧れの場所は番台区切りなし 光子
治療拒否とびたつ時を決めた人 直子
三回忌仏が一人立ちをする 芳夫
「特選」
灰皿は時給の外に置いてある 帆波
「軸」
区切れないメルトダウンの六年目 紀伊子
Ⅲ、五分間吟
宿題のトップだった松橋帆波さんが難解句鑑賞の準備をするため、秀作の丸山芳夫さんの出題及び選で5分間吟を行いました。題は「待てない」でした。
選者より「待つではなくわざと待てないとしました。しかしあまり発想の広がりはありませんでした。いじわるな出題でごめんなさい」
「佳句」
「お預け」を待てないポチは主人に似 眼鏡
焼き芋を早く食べたい火傷する 以呂波
待てないとトランプいつも吠える人 唯夕
オシメしてなくてもじもじトイレ前 帆波
早くして長蛇の列に足を踏む 喜代子
待てないと言いつつ待っている女 三郎
遅い春まだかまだかと母心 喜代子
老いらくの恋の返事をせっつかれ 睦悟朗
もう待てません都会へ帰る過疎暮らし 直子
三分が待てずチンするカップ麺 帆波
「秀句」
二分半ついふたをとるカップ麺 正
貰い物エレベーターでそっと開け 光子
待てど暮らせど長男が帰らない 紀伊子
「特選」
六時までとても待てないアルコール 光子
「軸」
民報の定時を待てぬニュースショー 芳夫
Ⅳ、難解句鑑賞
参加者が提示した難解句を鑑賞した。
骨壺の白き素肌の我らが縄文 中川一
5句中一番の難解句。白き素肌とは未定のままにしてあること? 縄文の甕棺(骨壺ではないが)は茶色、しかし今の骨壺は通常白。結局納得させる解釈は出なかった。
コンセント抜き夏を充電 森吉留里恵
十四字詩句集「時の置き文」より
温暖化対策、省エネなど? いつもの自分を抜け出て熱くなっている? 夏を肯定的にとらえている? コンセントを入れて稼働するのに対して、休止状態にして体力を蓄えている?
まだ端を歩いているからミルフィユ 星出冬馬
ケーキの形状(重ね合わせ)から物事を重ね合わせて行っている、しかもその途中。まだ中途半端で積み上げている。クレープと生クリームを離れて比喩として受けとる。
ピーマンに逃げ込んでいるダンゴムシ 木馬より
ピーマンは空っぽの象徴としてよく使われた時期があった。地上生活のダンゴムシがピーマンに逃げ込むことで何を例えているのか、よい発言はなかった。肉詰めピーマンのタネ(詰め物)(笑い)
骸骨が靴をはいてる海の底 三太郎
海には軍人や船乗りがたくさん沈んでいる。骸骨が靴を履いていることをそうとらえれば一応解釈できる。
Ⅴ、3月句会
日時 : 平成29年3月12日(日) 12時30分開場 13時開始
事前に句評会用の自由吟を1句お送り下さい。(既発表句でも可)
㋐新葉館宛の場合 期限:10日前まで
新葉館のホームページをご覧ください。
㋑松橋帆波宛の場合 期限:できるだけ1週間前までに
郵送 〒125-0061 葛飾区亀有1-13-1-407 Fax 03-3604-7328
メール honamikp61@gmail.com
場所 : 駒込学園
内容 : ① 句評会
② 句会
宿題「北 イメージ吟(北からイメージされること)」3句(句箋は当日)
③ 時間があれば席題で五分間吟など
Ⅵ、4月句会
日時 : 平成29年4月9日(日)
宿題 : 「カタカナ語字結び」
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松橋帆波さま
細かい報告を読ませていただきました。
今月も参加させてください。あの坂を上るのが楽しみです。紀伊子