川柳マガジンクラブ東京句会5月例会
5月12日(日)、駒込学園で第80回が開催されました。
今回はお世話役の植竹団扇さん、松橋帆波さん含めて出席者21名、欠席投句6名、合計27名でした。
1、自由吟互選と句評会
句評会は出席者が3句ずつ選びますが、結果はゼロ票6句、一票5句、二票5句、三票4句、四票3句、五票2句、七票2句でした。
今回も句評会の互選ゼロ票の句は掛け合いで論評しました。加藤品子さんと石崎流子さんが担当しました。いつものように疑問を述べた人の前には?を付けます。
1・1、ゼロ票句から
(1)品子さん、流子さんの評が、「そのまま、その通りなので、もうひとひねり欲しい」といったものが多かったです。しかし作者の弁を聞いて、ああそうなのか、という句もありました。
ふっくらとはみ出す頬っぺ笑ってる
作者欠席でコメントなし。
二十四時都バス地下鉄フル稼働
作者の弁「都知事が名前を残したいからやるのかと疑問を感じる」
洒落っ気に負けて強がり杖持たず
作者の弁「友人の母が家の近くに来ると杖をしまってしまう。女性にはこんな方が多いとも聞きました」
くっきりとスカイツリーの電波受く
作者の弁「試験送信をテレビで見て、電波がスカイツリーからきているのだと思ったら、くっきり映っているような気がしました」
(2)ゼロ点だけれど意見の多かった句
この僕に勇気をくれたピカソの繪 六平太
品子「絵をやっている人の句でしょうか。松戸で絵を描く人もピカソの句を作ります」
流子「句としてはいいなあと思いますが、少し漠然としています」
?唯夕「抽象画に対して尊大な気がしました」
団扇「ゲルニカを想像しての句でしょうか」
帆波「軽い気持ちなのか、深いものがあるのか?」
作者の六平太「そんな大層な句ではありません。半分遊んでいるのではないかという人がいますが、ピカソは本気で遊んでいるのではないかと思います。自由を感じてあんな風に生きたいと思います」
利江「それなら勇気でなく自由ではないですか」
六平太「自由になる勇気、勇気があるから自由、どちらでもよいと思います」
団扇「ところでなぜ絵の漢字は旧漢字なのですか」
六平太「変換したら出ました」(笑い)
体罰か天罰なのか神が決め 正美
流子「わかりませんでした。なぜ「神」なのでしょう。悪いことばかりではないと言いたいのでしょうか」
品子「体罰と天罰に飛躍があり、わかりませんでした」
?利江「私もよくわかりませんでした」
?六平太「体罰と天罰は違うと思います。天罰がわかりませんでした」
帆波「体罰が表ざたになったりならなかったりすることを詠んだのでしょうか?」
倫也「「人が決め」としても面白いのではないですか」
団扇「面白い句だと思いました。天罰もいろいろ問題になっています。天災を天罰といった人がいたりして」
作者の正美「良い体罰と悪い体罰はありません。最終的には神が決めるのかなあと思いました」
1・2、一票句
一票の句も読み手に理解、共感が広がらなかった句が多かったようです。作者の弁を聞いたり、わかった人の説明を聞いてなるほど、という句が多かったです。
協会が横槍入れる銃規制 こいし
正美「時事句。アメリカの最大の欠点だと思います。オバマもアメリカの最も大きな恥だと言っていました」
帆波「アメリカの銃の保有率は100人中90人くらいで、ちょっと異常です。この句が時事だとわからない人がいたようですが」
作者のこいしの弁「ライフル協会の強大な力で否決されました」
手紙待つ耳がバイクを聞き分ける 芳夫
正「うまい表現だと思いました」
ところがあらかたの参会者は何を言っているかわからなかったようです。
睦悟朗「郵便配達のバイクは音がしてはすぐに止まるのでわかります。新聞配達とは時間も違うし」
これでなーるほど、面白い発見の句だ、となりました。
狐には羊に化けた罪はない 団扇
游子「中国で狐を羊と言って売ったのを詠んだ句ですね」
利江「今聞いて初めてわかりました」
帆波「中国の報道では、検疫を受けない狐とネズミの肉を売ったというが、検疫を受けていればよいということですかねえ」
作者の団扇「狐とネズミの肉ですね」
1・3、二票句から
二票句も票を入れた人や作者の説明を聞いて、お、いい句ですねえ、という句が多かった。他の句会等に出した句でもよいことになっているので、題詠だと参会者に理解が得やすいが、題抜きでここに出すと理解が広がらない句もあるようです。
やってみよエエ子ちゃうから真似すんねん 游子
流子「面白い、好きな句です。今の子もこういう発想の転換が要りますね」
絵扇「関西弁だから面白い」
団扇「良い子教育というのがありますが、良い子という発想に問題があります」
下六だけれども、関西弁の「ん」が許される感じです」
作者の游子「良い子は真似をしないように、という言葉から作りました」
すげ替えた首に重りを付けている 流子
正美「天下りでしょうか。首に重りを付けている、が面白いです」
闘句朗「首に重りが面白いです」
作者の流子「首相がコロコロ変わるので、代わって欲しくない財界などが重りを付けている、と詠みました」
サヨナラの手順を模索する明日 帆波
三十六「離婚でしょう。結婚は簡単だか離婚は大変なんです」
唯夕「サヨナラ勝ちを思い浮かべました」
?倫也「あなたとはこれでおしまいさようなら、という句を昨日作りました。この句はなぜ明日なのかなあとわかりません」
作者の帆波「私は五十でも、五十で若いと言っているのは政界と川柳会だけですよ。(笑い)
離婚も死別も含めて作りました。高齢者社会で大変だなあと思います。入浴剤バブの注意書きに、痴呆症の方やお子様の手の届かないところにおいてくださいと書いてあります」
1・4、三、四票句から
良い句が並んでいますが、話題沸騰の句を取り上げてみます。
iPS人もゾンビになれるかも 大仏
この句は最初「iPSも人もゾンビになれるかも」として総互選にかけられていて、途中で「iPS人もゾンビになれるかも」に変わりましたので、みんなの雑談を聞いてみると最初から正しく開示されていれば、多分票はもっと入ったと思います。
六平太「本当にそんな心配をします」
栄子「iPSってノーベル賞のあれですよね」
絵扇「「も」が消えて
から変更して選びました」
団扇「(ゾンビの別の句で川柳マガジン誌上の特選を取ったことがあるので)ゾンビの大仏さんです」
作者の大仏「OBのサークルの句会に出したら好評でした」
ミステリー株価見ているホームレス 唯夕
栄子「ホームレスを持ってきたところが面白いです」
朔太郎「面白い句です。ミステリーとホームレスはちょっと引っかかりますが」
三十六「ホームレスを青テントとしてもよいと思います。青テントの中でテレビを見ている人もいますから」
大仏「面白い組み合わせです」
?倫也「上五にミステリーと持ってきたのがどうでしょうか。またホームレスを見下しているようにも取れます。差別語はまずいのでは」
団扇「ミステリーだと思っていないのでは」
帆波「株価がミステリーで、投資失敗したのがホームレス、とも取れます」
<筆者注:元来は乞食という差別語を使わないようにホームレスという言葉が使われだしました。しかし時間がたつと新しい言葉がまた差別語とされることもありますから、注意し続けることは必要です>
騙し取る方も体当たりの演技 しげる
順風「八・九で17音ですね。最近の騙し方は推理小説のようで凄いです。それをうまく詠んでいます」
千代子「新潟から新幹線で来てお金を渡した事件がありました。いつになっても下火になりませんね」
品子「どうしてだまされるのかと思いますが、やる方も凄いのでしょうね」
?睦悟朗「だまされる方は体当たりの演技ではないのに、「も」はおかしいと思います」
帆波「おれおれ詐欺の新名称を募集しています。その中で母親が出てきます」
団扇「男はお金を持っていないのですね。その前に女に取られてしまっているのでしょう」
原発を売るそうな傷乾かないのに 利江
品子「事故も収束していないのに」
千代子「本当に自分の国はこんなになっているのに売るとはと思います」
六平太「売るのもずうずうしいが買う方もどうかと思います」
流子「何も解決していないのにと思います」
帆波「傷乾かないというが乾くのかなあと思います」
作者の利江「安倍さんがトルコで売ろうとしているのに「えっ」と思いました。閣僚が靖国を参拝した時も「えっ」と思いました」
1・5、五票句の二句
圧力を抜くと間抜けな音がする 闘句朗
睦悟朗「いろいろ考えると面白いです。プロ野球の七回の風船とか、役を退いた時の人間などを思い浮かべました」
正美「北朝鮮の圧力をちょっとゆるめたら」
倫也「人間も圧力を受けてないとダメになります」
游子「社会で立派にやっているが家に帰って赤ちゃん言葉を使う、などを思い浮かべました」
三十六「いろんなことを考えました。おならとか」
作者の闘句朗「缶ビールからこのように感じました」
1・6、七票句=高得点句の二句
気合い入れないと読めない本がある 正
六平太「気合い入れようもない厚い本とか。よくわかります」
三十六「乱読の方でしたが加齢黄斑変性で薬もありませんでした。寝ながら本を読むのをやめたら治りました。だから気合入れない方がよいです」
利江「一冊の本で目を真っ赤にしたりします。村上春樹は気合いを入れないと読めないかなあと思います。気合いを入れないと読めない本はあります。良い句です」
伊呂波「読書は好きですが最近は気合いを入れないと読めません」
大仏「昔はものすごく読めたのに、最近は買っては積ん読です」
睦悟朗「気に入った古本を買っても積んであります」
品子「最近はまともな本が読めなくなって、雑誌、週刊誌です」
朔太郎「同感です。具体的に聞いてみたいです」
作者の正「最近読みたくても読めなくて、定年になってからでないと読めそうもありません」
戦争になるかもしれぬ多数決 三十六
唯夕「うまいです」
順風「いいところを詠んでいます」
絵扇「今の憲法改正論議をうまく詠んでいます」
千代子「96条の論議は不安で見ています」
睦悟朗「とんでもないことだと思っています」
游子「多数決なんてこんな簡単な表現で重大なことをうまく詠んでいます」
正「国連の決議も含めて民主主義の根本原理であるが怖いなあと思います」
団扇「安倍さんは国民栄誉賞授与の時背番号96でしたね。たまたまと言っていましたが」
帆波「憲法は国民を縛るのではなく、国側の義務を定めています。そこがわかっていないと安易な句が氾濫してしまいまいます」
倫也「これから川柳界にこんな句が氾濫するでしょうが問題です。どんな国にするのかが見えてきません」
朔太郎「戦争は体験しましたし、二度と起こしてはいけないと思いますが、単独では起こせないとも思います」
作者の三十六「今こんな句には食傷気味です。そこで憲法という言葉を使わないで詠んでみました」
2、宿題の課題吟
課題は「痛み」で、佐道正さんの選でした。
選者の話「10句-3句-1句のはずでしたが、捨てがたい句もあって迷い、優れた何句かを前抜きで選びました」
【前抜き】
ぱみゅぱみゅとふざけ縺れた舌を噛む 大仏
痛さは程度痛みは種類微妙な差 団扇
母さんの手を恋う叩かれたお尻 芳夫
他人の足踏んで痛いと叫ぶ奴 大仏
採血が下手なナースが付く不幸 唯夕
今月は葬儀が三つ重なった 流子
バカボンのパパは頭痛を知ってるか 游子
マッサージ壺を外した馬鹿力 団扇
【佳作】
拳骨をくれた父にもある痛み 静枝
小抽斗痛みをいくつ隠し持つ 朔太郎
通風のドリルが足に穴をあけ 芳夫
シクシクかズキンズキンか先ず問われ 以呂波
イケメンの歯科にいらない痛み止め 品子
七転八倒なにをしとるか救急車 千代子
親友の助言は甘い針である 品子
返信が破れハートで来るメール こいし
偏頭痛脳が他人の顔をする 三十六
止め刺す刺客言葉に乗ってくる 游子
【秀作】
脳髄を揺する足裏マッサージ 帆波
車庫入れの度にバンパー目を瞑る 芳夫
痛そうな祝福が待つホームラン 利江
【特選】
痛いほど解るがボクは痛くない 闘句朗
軸 漫才の痛くないようどつくコツ 正
3、五分間吟
最後に、宿題で特選だった阿部闘句朗さんの出題、選で五分間吟を行いました。課題は「本棚」でした。
選者の話「コロキュウムの句会で「本棚」が抜けなかったので席題にしました。8句-3句-1句選びました」
【佳作】
万札を隠した本を忘れてる 睦悟朗
居座って欠伸をしてる重い本 大仏
本棚が僕のすべてを曝け出す 千代子
丸秘本カバーを変えて置いてある 六平太
本棚の辞書はネットで忘れられ 睦悟朗
本棚が足りず横積みされている 睦悟朗
本棚の下敷きになる白昼夢 帆波
ベストセラーアクセサリーに並べてる 流子
【秀作】
本棚の奥はこつそりピンク色 帆波
父の来た道を本棚で辿る 正
本棚の裏に内緒の鍵がある 帆波
【特選】
本棚の特等席はブランデー 団扇
次回の東京句会は本来6月9日(日)ですが、第37回全日本川柳2013年青森大会の開催日ですので中止します。
ただし、参加可能な方によるお楽しみ会を下記要領で行います。
日時:平成25年6月9日(日) 浅草寺雷門前に10:00集合
場所:浅草寺吟行
宿題:(1)句評会はありませんので自由吟の提出は不要です。
(2)宿題 「洋食」 「見上げる」 各3句
(3)当日吟 「嘱目吟」 3句
詳細は郵送された書類をご覧ください。
Loading...
















































