川柳マガジンクラブ東京句会11月例会
11月11日(日)第75回が開催されました。
今回の参加者はお世話役の植竹団扇さん、松橋帆波さん含め17名、欠席投句が11名、合計28名でした。
1、自由吟互選と句評会
句評会は出席者が3句ずつ選びますが、結果はゼロ票7句、一票8句、二票7句、三票5句、七票1句でした。
今回も、句評会の互選ゼロ票の句は掛け合いで論評しました。伊藤三十六さんと村田倫也さんが担当しました。
今回は、どう読み取ればいいのか、作者は何を言わんとしたのか、などが議論になる句とその通り、とてもよくわかるという句を取り上げて見ます。
1・1、その通り、とてもよくわかる、でも面白いところに目をつけた、という句。
細かなやり取りは省略します。
合併の度に社名が長くなる(一票) 大仏
作者の大仏「大手町付近を歩いていて気がつきました」
長寿だが老いております日本国(二票) 六平太
作者の六平太「不老長寿が理想だが、長寿の人ばかり増えて老いた人ばかりになっている」
倫也「こういう言い方が多いが最近、日本ほど素晴らしい国はない、という本を見ました。私もそういう評価です」
真っ青な空に宇宙へ旅の夢(ゼロ票) 以呂波
倫也、三十六「言葉を詰め込み過ぎています。もう少しさらっと詠んだほうが良い。主語がないので意味がとり難いです」
ご近所の喧嘩どちらにも付けず(一票) 倫也
作者の倫也「別の句会の「やっかい」という題で天をもらった句です。そのときは「いさかい」は「諍い」と書きました」
会場の声「ああ、諍いと書いたほうがピンと来ますね」
やっぱりでした政界の暴走車(ゼロ票) 利江
三十六「その通りだけれど、政治漫画的に見ると面白い」
健康の散歩途中で吸う煙草(二票) 順風
帆波「落差が面白いですね」
団扇「煙草のむ酒のむそして薬のむ という句がありましたが」
日曜は無職の身にも日曜日(三票) 芳夫
正「当たり前な句。当たり前なのに面白いです」
六平太「私毎日が日曜日なのですが、日曜日っていいですね」
大仏「私も毎日が日曜日なのですが、こう言われてずしんと来ました」
朔太郎「祭日にしたらどうですかね」
作者の芳夫「句の意味はおっしゃる通りですが、その何でもないのがわかってもらえるかな、と思いました」
1・2、どう読み取ればいいのか、作者は何を言わんとしたのか、など議論があった句
なお、選句のときに疑問符をつけた人の発言は「?柳名」のように記述します。
老い勝る未来に光見えぬまま(ゼロ票) 絵扇
倫也「ああそうでしょうねえという句。老い勝るという表現はどうなのか」
三十六「他の言い方がないかなあと思います。その人の人生観でしょうが。「未来に光」で前向きにということをあらわすのでしょうが、抽象的でどうも、こういう句は苦手です」
?睦悟朗「勝るはすぐれるとか秀でるとか言う言葉なのでちょっとおかしいと思いました」
帆波「どんどん進んでしまうことを勝るといったのでしょうか。未来を共用できない時代になっている、とも言えるのでしょう」
ロボットは造花の魅力知っている(ゼロ票) 朔太郎
倫也「ロボットに語らせればよかったと思います」
三十六「ロボットが造花の魅力知っている」
?睦悟朗「ロボットと造花の魅力のつながりがわかりませんでした」
帆波「ロボット「は」がみそなんでしょうね」
睦悟朗「どうせ今に時代は造花もロボットが造るのでしょうが、だからロボットが良さを知っているということでしょうか」
団扇「ロボットは造花の気持ちよくわかる ですか」
作者の朔太郎「ロボットも造花も人間が作ったもの。どちらも近年非常に進歩している。いろいろ皆さんの意見が聞きたかったのです」
泥棒も里心つく焼秋刀魚(二票) 品子
千代子「里心がつくなんて可愛い。こんな泥棒なら許せます」
利江「泥棒との取り合わせにびっくりしました。里心がつくようならたいした泥棒ではないのでしょう。ユーモアに感心しました」
団扇「時間的には何時なのでしょう。泥棒が入ったところ秋刀魚を焼いていた。そんな時間に泥棒でしょうか。わかり難いですね」
それで会場ガヤガヤ。隣で焼いている?、臭いが残っていた?、・・・。
作者の品子「別の会で「秋刀魚」の題のときに作りました。臭いのつもりでした」
病名をググると時が凍りつく(二票) 帆波
「ググる」に会場がガヤガヤ。結局選句した理由などを言うはずの睦悟朗が解説をさせられた。
睦悟朗「ググるとは、検索エンジングーグル(Google)を使ってネットでわからないことを調べることを言うのです。」
同じく選句した千代子さん「自分でグーグルで調べて凍りつく深刻な内容です」
?唯夕「深刻な病気で時が凍りつくとは思ったのですが」
?朔太郎「ググるは漢字で書けるのですか。私の地方では使わない言葉なんですが」
睦悟朗たちが繰り返し説明したが、ご理解いただけなかったかもしれない。
作者の帆波「最近は専門の医者でなければ知れないような非常に詳しいことも出てしまうのです」
竹島の行方をパンの耳に聞く(一票) ゆめか
三十六「竹島という固有名詞を持ってきたのが珍しい。パンの耳はどっちの味方をするのでしょう。新聞を読みながらパンの耳を食べているのだろうか」
?利江「パンの耳がどうして出てくるのでしょう」
作者のゆめか「私は島根県の出身でもありますし。朝パンを食べながらふと浮かびました」
時として見飽きた顔が懐かしく(三票) ヨモギ
唯夕「実感句だと思いました」
芳夫「毎日顔を合わせている家族でも半日出かけていたりして逢わないとこんな風に感じることがあります」
朔太郎「時としてという表現が良いと思いました」
意外にもこの後いろんな議論がありました。
倫也「句としては面白いが、懐かしくと止めたのはなぜかと思いました」
帆波「助詞止めがだめというのも流行があると思います。懐かしく(思う)などを途中で止めた趣でしょう」
利江「それでも安定感にかけると思います。句がこなれてないような気がします」
芳夫「顔のとしてはどうだろう。でもそれだと親しい家族を離れてしまいますが」
帆波「言い切るか、想像の余地を与えるか、ということですか」
団扇「作者が欠席で残念です」
作者
のヨモギさんから送られているコメント「何十年も連れ添ってきた相棒の顔をこんな風に感じるときがあります」
天日干しされて男に味が出る(一票) しげる
正「天日干しをすると何でもあじ味が出る、そのことと男とを結びつけたのがうまい」
?朔太郎「男の味と天日干しを結びつけるのがよくわかりません」
?利江「たしかに魚などは味がでますが。人間を天日干しするというのがわかりません」
?「ちょっと見た時いい句かなと思いましたが、よくわかりません」
睦悟朗「サラリーマンが一時仕事を与えられない不遇に置かれるなどを干されるといいますが、そんなときのすごし方によってはその人は一皮向けて成長することがあり、そんなことを言ったのでしょう」
欠席の作者のコメントは「何となくこんな感じかなあ」としか書いないと披露されました(笑い)。
一票の格差俺のはどのくらい(二票) くんじ
倫也「政治に関心の高い人なのかしら。自分の政治に与える重さを言っているのでしょうか」
芳夫「(区割りによる一票の格差だけでなく)二十くらいの人と七十くらいの人の格差、などもあるし、少ない票(下位)で当選した候補だと俺の票が効いたと思うし、などいろんな格差を思い浮かべるとこの句は面白いです」
帆波「俺のは、がコミカルです」
欠席のくんじさんのコメントは「適当に直していただければ嬉しい」とあると披露されみんなから笑いが起きました。
1・3、七票(最高得点)句
派手な服出して眺めてまた仕舞う(七票) 睦悟朗
唯夕「女性のことでしょうが、私もネクタイなどではこんなことがあります」
大仏「出して眺めてまた仕舞う がいい」
正「実感的なことしか書いてないのに気持ちが伝わってきます」
ゆめか「きんきらな服を何時かきられるだろうと買って持っていますので実感がわきます」
そのほか、選んだ倫也、朔太郎、以呂波さんからコメントがありました。
帆波「歳がいくほど派手な服装をするということもありますし、交通安全上もよいのです」
作者の睦悟朗「妻のことです。派手な服装のほうがいいと言われたと伝えます」
2、宿題の課題吟
課題は「巨大(表現自由)」で、高田以呂波さんの選でした。
出題者の帆波「年初に年間の課題を新葉館に出すのですが、大統領選のある年なので「巨大」を考えました」
「佳作」
政局が巨大迷路に入り込む 絵扇
巨大地震来るぞ来るぞと縮こまる こいし
巨大地震過去もあったと結果論 睦悟朗
夢だけはデカクふくらむジャンボクジ 六平太
帝王の権勢語るピラミッド 倫也
飛鳥Ⅱの巨体桟橋独り占め 大仏
敷かれると窒息しそう妻の尻 倫也
(らしくない句に笑い)
みずうみへ海だ海だと山の子等 千代子
旅客機を見上げる蟻の長い列 游子
妄想は誇大な方が気持ち良い 団扇
「秀作」
目の前へ世界を凌ぐ塔が建ち きみ
釣り天狗鯵が鯨になっていく 圭子
いつまでも父の影から抜けられぬ 正
「特選」
御無沙汰をすると迷子の大都会 倫也
(倫也さん三句目に「さすがー」の声)
軸 大法螺も初手は小さな出来心 以呂波
選者のお話「この課題には皆さん苦労されたようで「迷う」の句がたくさんありました」
3、五分間吟
最後のお楽しみは、「巨大」で特選の村田倫也さんの選で五分間吟を行いました。課題は「遂に」でした。
「佳作」
定年日離婚届を突き出され 睦悟朗
台風と共に我が家の反抗期 桃葉
満を持し五星紅旗が攻めてくる 三十六
終電をすぎて度胸のつくお酒 芳夫
上場の鐘へ立身伝踊る 帆波
弱肉強食若者の明日 品子
最後まで正義の使者は現れず 芳夫
働きづめ自由な私ついに来た 桃葉
ああ遂に言ってしまった出て行けと 正
クラス会とうとう一人だけになり 芳夫
「秀作」
晴れマークついに私に春が来た 桃葉
職を得た子に子離れをせかされる 睦悟朗
プロポーズ頭の中で鐘が鳴る 帆波
「特選」
子が出来て頑固な父も遂に折れ 利江
次回の東京句会は12月9日(日)駒込学園にて開催です。
課題吟は「一年を振り返って」三句詠です。
第二部 忘年句会特別企画 を行いますので、句評会はございません。
詳しくは、新葉館のホームページをご覧下さい。
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