川柳マガジンクラブ東京句会9月例会
9月11日(日)第61回が開催されました。出席者26名、投句7名、合計33名でした。暑い間お休みされていた新潟の白勢朔太郎さん、久しぶりな栃木の伊藤縁太さんが参加されました。
前回同様、句評会でゼロ票だった句で、誰も質問したいという印をつけなかった句は掛け合いで論評しました。今回は丸山芳夫さんと佐道正さんが担当しました。句評会は勉強会なので、多くの人の「反響を知ったり、問題を投げかけたり、意見を聞く」目的で投句される場合があります。今回のゼロ票にはベテランの方が(確信犯的に?)そうした狙いで投句されたものが多くありました。
3例ほど挙げてみます。
追伸の一行重くのしかかる 倫也
芳夫「途中まで読むと下五がわかってしまう句になりがちなので、よほどユニークな表現でないといけない」
正「追伸の一行と言った表現はよく見るような」
倫也「(最初の方の表現は)僕も何回も使っていますが、「重くのしかかる」は、実は遠方の知人から「絶対云々」という文句の追伸があってどういうことか2年間も考えていて未だにわからないという事実なのです」
(書きにくいことを遠慮した(わかりにくい)表現で追伸に書いた、というような事実があるようです)
抱きあってキスまで行くと目がさめる 竜雄
芳夫「上に何を持ってきても下五につながる」
正「ちょっと現実感がない。作り物という感じがする」
竜雄「若いときからこんな夢をよく見るのですが、最近は相手の顔もはっきりしないので衰えたかなあと思います、でも事実なのです」
団扇「キスまで行ったからいいじゃない」
游子「キスして目が覚めたんですか」
竜雄「キスまで行かないんです」
(芳夫さんの言うように上に何を持ってきても句になるが、盛り上がるものを持ってきたことは確か。この句も事実がのしかかっているようです)
わたくしはにんげんだものでもどじょう 帆波
正「意味不明です。面白い句に出来そうなんですが」
芳夫「相田みつをだけれど、ちょっと意味が取れない」
帆波「野田さんのことです。店に張っておいたら、わかる人とわからない人がいました」
その他の声「全部ひらがなにしたのも相田みつを調にしたのだろう」「私は金魚じゃない、と言っているのだね。」など。
今回も一部の句に票が集中したため、ゼロ、1票が19句ありましたが、すべての句を活発に論じ合うことができました。
5点句が4句でした。
泳ぎ着くとこをパラダイスとしよう 睦悟朗
手を握りうなずくだけでボランティア 順風
風向きを読むと居どころ直ぐ決まり 正美
寄せ鍋になりそな気配どぜう鍋 団扇
この句はどぜうに賛否両意見がありましたが、作者は「どぜう」を使っておちょくった、とのこと。浅草で200年の歴史のある店も駒形どぜうだし、新しさが出しにくいんじゃないのという皮肉でしょうか。
6点句は1句だけでした。
頂いた名刺にクマと書いておく 正
文句なし面白いという人が多かった反面、説明を聞くまで判らなかったという少数の声もありました。
そしてダントツの9点句は久しぶりに登場の縁太さんでした。
寝た切りにしたくないから 鬼になる
和子「今は娘が鬼になって、自分で買ってきなさい、食事も自分でやんなさい、という鬼の娘といます」(笑い)などなど共感を集めていました。一字空けについてはこの句の場合賛成者が多かったようです。作者の弁は、「この五七五の下に「私母さんを叱る」という言葉がついた破調の短歌から川柳に仕立てました」
課題吟は「せっつく」で河野桃葉さんの選でした。入選句は以下の通りです。
「十五秀」
早く式挙げてと腹の子がせがむ 三十六
コンコンと空のコップをもてあそぶ 游子
割り勘をせっつかれてる別れ際 正美
釣り銭を待つ手がせかす時刻表 帆波
いやいやの形相で出るところてん 芳夫
点滅し急げ急げと黄信号 圭子
左手のリングが姉を刺激する ゆみ子
結婚はまだかと親がせきたてる 倫也
追伸に本を返せとやっと書き 順風
携帯が欲しいと母が責めたてる 和子
食べた途端皿を持ち去るレストラン 正
幼児がオモチャ売場で泣き喚く 倫也
耳にタコそれで勉強嫌いです 六平太
せっつかれポチと散歩のダイエット ヨモギ
稲刈りは未だか未だかと聞く園児 以呂波
「五客」
選挙日に子にせつつかれ投票に 竜雄
滞納へマルサが入り処分され 栄子
早くして忘れ物無い母叫ぶ 芳夫
ジャラジャラを背中で聞いた赤電話 ゆみ子
曲がらぬ膝を曲げろ曲げろと容赦ない 絵扇
「三才」
締切り日とんだ瞬発力が出る 芳夫
せっついたばかりに逃す玉の輿 静枝
ただの風邪なのに遺言書けと言う 睦悟朗
軸 長い春やいのやいのと鈴が鳴る 桃葉
最後に5分間吟を行いました。選者は睦悟朗です。珍しく印象吟で課題は写真のように「箱に石榴が二つ、セロテープ、おせんべい二枚が入っている」珍妙なものでした。ざくろに目が引かれた句が多くありましたが選者は箱に入った全体の印象からの句をとるようにしました。
「十五秀」
味見してそっとテープでくっつける 游子
玉石混淆変に調和が取れている しげる
遠足のおやつがこれで二百円 芳夫
可視化して言いたい事を聞いてやる 三十六
少女には少女の想い宝箱 帆波
寄せ集めいずれ倒閣するだろう 倫也
じゃんけんぽん大きい方を取る私 静枝
それぞれの個性が主張する意気地 倫也
変なものどうし仲良くやっている しげる
考え抜いたザッケローニの新布陣 団扇
ばぁちゃんの残した菓子が淋しそう 和子
パチンコの景品何でも金になる 正
虫食いの少女が屯する渋谷 三十六
生物と干物が同居する我が家 三十六
庭ザクロ届きすき間はプチ代わり 順風
「五客」
非常用袋不思議な物も入れ 正
子のカバン中に雑多な菓子がある 竜雄
緊急に持ち出したもの役立たず 六平太
あいつにはこんな程度の見舞品 游子
ゴミ混ぜて笑ってファンド資本主義 帆波
「三才」
内閣に変な男が混じってる 倫也
あるものを全部入れたと電話口 順風
母の荷を転げ出てくる故郷の贅 利江
軸 つまらない物だと自慢げにくれる 睦悟朗
最後に団扇さんから「連用止め」と「し止め」について、資料の配布と説明がありました。
次回の東京句会は、10月11日(日)駒込学園にて開催です。
課題吟は「魂」三句詠です。
詳しくは、新葉館ホームページをご覧下さい。
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