デジタルデバイドなどいう言葉がかつて流行った。情報格差である。パソコンが出来る人とそうでない人、ネットをやる人とやらない人などの区分から来るものであるが、今の世の中はスマホを持つか持たないかが大きな分かれ目だろう。
この分かれ目で損得がはっきりする。ネット購入・予約でいろいろと安くできる便利さを享受できないことは不幸ですらある。貧富の格差を助長させる面がある。
このメリット・デメリットはニュースなとでよく話題にされる典型的な話しであるが、それ以外にも、情報の格差は川柳という文芸にも及んでいる。私は、所属している下野川柳会で以前柳誌編集のお手伝いをさせていただいたことがある。5、6人の編集委員は皆高齢で、ほとんどがパソコンのスキルがない。一人だけがWordをある程度操れる。しかしExcelは使えない。柳誌の発送で宛名ラベルを管理するのにExcelのスキルは必須である。会ではWordの住所氏名の一覧を変更があるたび一々更新していた。そして宛名ラベルもそれに合わせてその都度直していた。当たり前のことだが、一覧とラベルが差込み印刷で連動していないのである。その所為で手間がかかる。だから間違いも発生する。またスマホを持っている人もいたが、通話での使用がメインで、メールもネット検索もほとんどやらない。アプリを新たに入れるようなことも全然しない。勿体ない話しである。宝の持ち腐れとはこのことだろう。
そういう方達と編集作業をしていると、何か昭和時代に戻ったような錯覚に陥ることとなる。物知りであることをいつも自慢しているようなある委員が、少し自慢げにこんなことを話し始めたことがある。
「以前から『正す』と『糺す(糾す)』の用語の違いが分からなかった。いくつかの図書館に行き、大きな辞書を引き比べてようやく分かった。やはり無精しないで図書館に足を運んできちんと調べようとしないといけない」
一応、黙って素直にその話しを聞いていたが「そんなことはスマホで調べれば1分もかからないだろうに…」と心の中で呟いた。
私の場合はいわゆる事務職として働いてきたのでパソコンスキルは必須のものである。Microsoft社のWindows 95が発売されても、当時の職場では家電メーカーが製造していたワープロが主流だった。しかし数年もするとインターネット時代の本格的な到来となり、パソコンへの切り替えが一気に進んだ。この時既に管理職だった人はWordぐらいしか使えなかったが、それ以下の担当者レベルの者は、研修なども受けながら、Excel、PowerPoint、Accessの初級レベルの知識は最低習得させられていた。勿論インターネットの勉強もあった。
年齢で言うと、現在70代半ば以降の年齢層にはパソコンはほとんど苦手だという人間が結構多い。それは、そのままスマホも苦手ということになる。デジタルデバイドの年齢的な壁である。ぶっちゃけた言い方をするとキーボードやマウス、あるいはスマホのタップにそもそも70歳過ぎてから接して勉強し始めてももう上達は見込めない。いささか手遅れ。可哀そうな話しであるが、これは大体当たっていることだろう。完全に世の中の動きに乗り遅れてしまっているのである。勿論、80歳、90歳でもパソコンやスマホの画面と向き合うことが出来る方はたくさんいるが。
また私は現役時代の最後の頃、広報関係の仕事にも携わっていたので、ホームページの開設・運用、これに張り付けるSNSのことについても、ある程度の知識を得ていた。当初はTwitterもFacebookも、こんなもののどこがおもしろいかと、冷ややかなスタンスだったので、仕事は別にして個人的には自分がそういった世界にはまってしまうなどということは夢にも思っていなかった。しか現在私はSNSの虜になってしまっている(笑)。振り返って、私が何とか情報化の時代の波に乗って来られたのは、仕事でスキルを身に付けられたからである。結果的にすべてただで習得することが出来た。そして、期せずしてそれらが定年退職後の人生で役立っている。有り難いことである。
さらに言えば、今の世の中はそれでどころではなくなってきている。物心がついた頃にはパソコン・スマホがあるZ世代が、物心をつけながら情報通信技術と何の抵抗もなく一緒に暮らしている時代である。だから、時流に乗れなかった化石のような人間は、残念ながらもうフェイドアウトを待つしかない。
下野川柳会の編集の話しに戻ると、編集委員がみんなパソコンスキルを持っていれば原稿作成と校正の労力、それに印刷経費も半分以下になることだろう。そして会員減少傾向に歯止めをかけるなら、ホームページの開設は必須である。残念ながら今の執行部の体制は全くそうなっていない。ホームページも猫に小判の世界なのである。吟社が淘汰されている現在、どういうところが生き残れるのか、自ずと結論は出ている。
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