川柳取手へ
川柳は五・七・五音を基調とする人間諷詠の詩ですが、江戸時代に発刊された句集「誹風柳多留」から今日の川柳まで幾多の変遷を経てきています。詠む対象が人間である以上人間の美しい面だけでなく醜い面も取り上げ、政治体制の批判になることもあります。このため時の政府に都合が悪くなるとこれを弾圧するということが何回もありました。
戦時体制と言論の弾圧は表裏一体をなしており、政府への批判を詠んだ反骨川柳家鶴彬は特高警察に検挙され昭和十三年に獄死しました。
鶴彬の句
ざん壕で読む妹を売る手紙
貞操を為替に組んでふるさとへ
重税のほかに献金すすめられ
手と足をもいで丸太にしてかえし
日華事変の頃ですから、時の政府には弾圧するに格好な川柳だったのでしょう。特高警察に狙われ働く場所もなかったようです。川柳中興の祖と言われる井上剣花坊(川柳人を発行)柳尊寺川柳会主宰夫人井上信子さんが検挙されてからも支援していました。
私の実父は昭和十四年九月二十三日中国通城県というところで戦死したそうです。年も鶴彬と同じ二十九歳でした。九月二三日は奇しくも柄井川柳の命日でもあります。私が川柳にのめり込んで番傘に出会ったのも、泉下からの父の応援、支援があったのではと今になって思います。
鶴彬一七歳の友人を惜しむ一文より
「詩のない人生がいかに空しいか。
もちろん、詩がなくとも人生はある。
けれど詩のない人生は如何にさびしいか。」「影像」27号大正15・4・5喜多一二
運命を恨んでみるも浅猿しさ(あさましさ)
諦めを知った心へ光さし
ゼネストだ花が咲こうが咲くまいがだ
エノケンの笑いにつづく暗い明日「火華」昭和一二年五月一日号掲載。
一五歳の時の作品には
子供らの遊びへ暗影迫り来る
きっと踏みにじられる日をおそれる・判決の重さ(川柳人)
子供のころから世の中をよく見つめ自分のこれからを予言しているような句や文がある。鶴彬という人をもう少し生かしておいてほしかったとつくづくに思う。安倍政権が共謀罪法案を可決し使用しようとしている今日、現在、鶴彬を思う。
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おはようございます。
時にあたっては歴史を振り返る。どこかに現在の問題点が存在する。そして反省とこれからの道標がある。時は人を生む。その人は偉人か英雄か。はたまた悲劇の主か。
米ではCIA長官が、北では政府高官が、中では汚職の名で政敵が、露では大富豪が・・・その対極に独裁者がいる。
幸せな時事川 恋や忖度や
父上様が戦死なされて78年。改めてお悔み申し上げます。
佐藤千四様
おはようございます。昨日は佐藤性についてNHK総合でやったようです。
私は見逃したので再放送待ちですが、佐藤さんは日本で一番多い性だそうですね。
一番健康な方が多いせいでしょうか。
父の戦死から78年ですか佐藤さんに計算していただいて考えました。
生後11か月と17日目の私でした。
時事川柳は幸せでありたいですね。
「幸せな時事川 恋や忖度や 千四」
「忖度」の言葉もここにきて理解できました。ありがとうございました。
ありがとうございました。
紀伊子さん こんにちは。私はつい最近「きけわだつみのこえ」、日本戦没学生の手記(日本戦没学生記念会編)を泣きながら読む機会がありました。私たちはこの若者たちのこともまた決して忘れてはならないと強く思いました。
●上原 良司(慶応大学経済学部学生。昭和18年12月入営。20年5月11日陸軍特別攻撃隊員として沖縄嘉手納湾の米国機動隊に突入死亡。22歳)
遺書 生を享けてより22年何一つ不自由なく育てられた私は幸福でした。温かきご良心の愛の下、良き兄妹の勉励により、私は楽しい日を送ることが出来ました。そしてややもすれば我儘になりつつあったこともありました。この間御両親様に心配をお掛けしたことは兄妹中で私が一番でした。それが何の御恩返しもせぬ中に先立つことは心苦しくてなりません。空中勤務者としての私は毎日毎日が死を前提としての生活を送りました。一字一言が毎日の遺書であり遺言であったのです。(略)離れにある私の本箱の右の引出に遺本があります。開かなかったら左の引出を開けて釘を抜いて出してください。では、くれぐれも御自愛のほどを祈ります。大きい兄さん清子始め皆さんに宜しく。ではさようなら、御機嫌良く、さらば永遠に。良司
御両親様
※(略)の部分は、大粒の涙がボロボロと邪魔をして書けませんでした。失礼します。
二宮茂男さま
「きけわだつみのこえ」をお読みになって一文の掲載ありがとうございました。私は一昨年長野の無言館で涙しました。10代からの学生さんが絵を残して戦死というか飢え死にをされたのです。国に命をささげた方々の絵画は切実ですネ。「わだつみ」とは海の神様でしょうか。神風が吹くと言いながら、むごいことをしたものですね。有能で貴重な若い人材を失いました。茂男さまが書けなくなった心情をお察しいたします。ありがとうございました。