
いま一度焼かれ弾けてみたい栗
存えていると刺激や感動が減ってくる。というより、むしろ皆無の世界で息をしているようなものである。苦節を越えてきた過去を振り返って、しみじみ懐かしんでいる。疲れ、剥かれ、干され、焼かれてきたが今なら耐え得るだろうか。あえなくプッツンするかも知れない。来年が、皆様にとって輝く年でありますように。
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老々介護たぶん最後の濃密期
若い読み手には、他人事かも知れないが、後期高齢者にとっては、切実な問題である。そう思うことでこれまで越えてきたなんだ坂を助けたり、こんな坂で助けられたりしたことが甘く蘇る。これが最期、今日で終わり、と言い聞かせながらの介護が、大切な最後の濃密な時間に変わる。
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売れぬCDが奏でてくれる売れぬわけ
ひと山いくらのCDを片っ端から聞いてみた。勿論世代も違うが、それなりにひと山の理解はできる。が、どこか物足りなさを感じながら、「売れないのは当たり前だよな」と自身を納得させている。それでも中に掘り出し物もあるから、この狎れた作業が面白いし、止められないのだ。
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富むものとそうでないもの分ける櫛
下五の櫛で分けるもの、「髪」「税」「位」「住」挙げればきりがない。読み手がぴたり来るものを探してほしい。いつもながら「そうでない」部類に属した暮らしに馴れていて、いまさら緊張感も無いが、簡単には見つからないけれど、一発逆転の題材を模索するのも勝手で面白い。
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滲みやすい性質で汚れている上辺
上五はやや説明句調だが、暗に中身は真っ白ですよと仄めかしている。滲みやすい和紙に例えてわが心の感受性の強さをさりげなく表現して、人生にもまれてきた証拠の汚れも自認している。反面手漉き和紙の丈夫さも仄めかしている。
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