川柳マガジンクラブ東京句会6月例会
第92回川柳マガジンクラブ東京句会が東京都文京区「駒込学園」にて開催されました。出席者はお世話役の植竹団扇さんと伊藤三十六、小野六平太、小川正美、小倉利江、加藤品子、菊池順風、佐道正、白子しげる、白勢朔太郎、高田以呂波、唯夕、藤原栄子、本間千代子、丸山芳夫、水野絵扇、村田倫也、ゆめか、横澤七五各氏及び星野睦悟朗の20名、欠席投句は、成島静枝、長谷川渓節、平井熙、松橋帆波、山田こいし各氏の5名でした。
今月は例月と異なり宿題はなしで、自由吟の互選と句評会、席題3題でした。
Ⅰ、自由吟互選と句評会
句の上の数字は互選の得票数です。
ゼロ票の句は植竹団扇さんと佐道正さんがコメントしました。
また今回は全句について、作者のコメントの前に、事前に松橋帆波さんが書いてくださったコメントを星野睦悟朗が代読しました。
注目を集めた句について、やり取りの概要をそれぞれの句の後に記述します。
来客が絶えて淋しい大机 唯夕
?利江、?睦悟朗「わかりません。お店でしょうか」
正「面白い。社長室か何かで、良いときはみんな寄ってくるが、ということだろうか」
団扇「夏目漱石じゃないですか」
帆波「(正とほぼ同じ見方)」
作者の弁「我が家のことです。子供たちがしょっちゅう来ていたがだんだん来なくなって、今は2人だけのことが多くなってしまいました」
手作りパン主婦が一度は通る道 正
齧られる脛も悲鳴の高学費 渓節
大国のエゴ近隣を逆撫でる 利江
1 山頂をもう争わぬ甲斐駿河 団扇
芳夫「富士山が世界遺産になったことでしょう」
大半の人は、世界遺産になったことでもあるし、知事同士が話し合って、もう争わないことになったのに、最近のニュースで国土地理院の新しい地図に富士山長が静岡県富士宮市と表記されていて問題になった、いうニュースをご存じない様子でした。(帆波さんのコメントはこのことに触れていました)
1 退会のメールまなこが点になる 静枝
1 米の消費へ回転ずしの貢献度 千代子
1 洗濯中トイレマットを投げ込まれ 順風
唯夕「衝撃的なので選びました」
正「一緒でもいいと私は思うが」
団扇「子供が汚してしまって放り込んだのではないでしょうか」
帆波「これは別に洗いたいものですが、状況が少し見え難い。・・・」
作者の弁「ラジオを聞いていたら、旦那の洗濯物の方にトイレマットも投げ込んで洗うといっていたので、作りました」
1 職人の技とおしゃべり反比例 以呂波
1 神前で身を震わせるくすり指 こいし
三十六「選びましたが、身を震わせて笑っている方が面白い」
?倫也「結婚指輪でしょうが、こういう状況ってあるのかなあ」
?六平太「相当悪いことをした人かしら」(笑い)
帆波「結婚式でわくわくしているのではない薬指というのが面白い」
1 安酒を妻の茶碗で二杯飲み 熙
唯夕「いろいろ考えられて面白い。妻がやることにした方が面白い」
?千代子、?品子「わからない」
?利江「安い茶碗で飲めばよい。安酒を妻にもついで二杯飲む」
正「大吟醸は愛人と飲む。でも妻が亡くなっているとは読みにくい」
団扇「茶碗酒?」
三十六「平手造酒?」
帆波「奥さんがなくなってしまって、それを悲しみ、偲びながら、飲んでいる。だから一杯ですまず、奥さんと酌み交わすように二杯飲み続ける、ということでしょう。分相応、平凡だけれどコツコツと地道な人生を二人三脚で歩んでこられた夫婦の歴史、といったことを想起させるいい作品です」
揉めましたが作者欠席で真相は不明でした。
1 滝からの水に山葵がひきしまり 朔太郎
1 愛犬にリードされてるスニーカー 栄子
1 ストレスでじん麻疹出た花水木 ゆめか
栄子「わからないところもあるが、ジンマシンで苦労することがあります」
?正、?夫、?三十六「わかりません」
作者の弁「下五が普通ぽくなってしまうので花水木としました。
2 死ぬことは判った後は生きるだけ 帆波
睦悟朗「だんだん友人など周囲で亡くなる人が増え、いずれ死ぬと覚悟させられる」(死ぬことは判った、で切って読んでいる)
正「わかった後は、で切る読み方もあります。きびしいです」
団扇「味わい深い句ですね」
作者の弁「「死」は恐ろしい災難であるという見方でなく、人は必ず亡くなるものであるという達観から、それまでは生きるのだという意思表明です」
2 抽選日まではジャンボな夢描く 睦悟朗
2 その昔家族はみんな群れていた 三十六
2 バラ色に染めた余白で踊りたい 七五
3 ストレスが檜のお湯に溶けていく 絵扇
4 老婆心プライバシーに入り込む しげる
4 お通しが勘定書きにちゃんと居る 六平太
4 信念を溶かす黄金の目くらまし 正美
七五「時代劇が好きなので面白いと思いました」
倫也「なんたって金が一番ありがたい、ということでわかりやすい」
しげる「きれいごとではない」
唯夕「(経団連の)政治献金再開のニュースがあります」
団扇「溶かすと目くらましはちょっと違うのでは」
正「金(きん)だから目くらましなのでしょう」
帆波「この信念は、何かを我慢することなのでしょうね。「目くらまし」とは何でしょう?詐欺ですかね。欲望をコントロールしなければ、というのは一見正しいようですが、現実にコントロールできる人がどれくらいおられるか」
作者の弁「官僚、江戸時代、隣の国、日本でも、・・・などいろいろ考えてちょっと皮肉りました」
6 野良犬が消えて世間が味気ない 倫也
選んだ六平太、順風、芳夫、品子、以呂波、しげるのコメントをまとめると「「規格外れな人間が減ってしまった」ということを嘆いている」と取っています。
?利江「何かの比喩?を作者に聞いてみたい」
正「昔の映画のようです」
団扇「野犬捕獲員が来ると昔は逃がす人がいた。野犬とも共存していた」
帆波「(議論に出たことに追加して)ただ、国内でそういう人物が目立たなくなったということで、海外で活躍している人物の中には、結構凄い方がいたりします」
作者の弁「黒沢監督の映画のような人間のことです。昔そういう人がいました。変わった人がいて混沌としていたのが懐かしいです」
8 一廻りすると戻って来ない客 品子
三十六、朔太郎、順風、千代子、以呂波、団扇、正らの発は、ニュアンスの違いはありますが、客引きに対して一時逃れのことを言う、という感じで面白いと選んだようでした。
ゆめか「最近は飴1個でもあげると、3、4割は戻ってきます」(実体験?に笑い)
?倫也「よくあることではないか」
?唯夕「(サンプルの)食い逃げというか、冷やかしというか。でもわかりにくかったです」
?芳夫「「すると」には「言って」が略されているのですね。客でなく徘徊にするのも面白そう」
帆波「(みんなと同様な意見の後)最近は現物を確認して、ネットで発注という人も増えていますものね」
作者の弁「いろいろと解釈していただきありがとうございます。ある会でどっと笑いが起きて止まりませんでした」
9(最高点) 泣いていいんだな周りも泣いている 芳夫
倫也、七五、利江、絵扇、睦悟朗、ゆめか、順風、正、千代子ら、おおむね「周りが泣いているから、空気をよんで、・・・」という受け止め方でした。
帆波「面白いですね。周りに合わせて喜怒哀楽の感情を出したり引っ込めたりするところ。こういう方の芯からの感情表現を拝見してみたいです」
作者の弁「最近講談を3回見ました。3回目は大勢入っていて泣き出しそうな人がいました。そのとき自分の主体性の無さを思いました」
Ⅱ、席題1
席題はⅡ、Ⅲ、Ⅳ項の3題が同時に出されて、1時間でそれぞれ2句ずつ作るというものでした。
最初の題は「印象吟:十方で外部につながる複雑なメカトロ部品の平面図」で高田以呂波さんの選でした。この題の複雑な図面が何の図か全く見当がつかないもので、その分いろんな句が出来ました。
〔佳作〕
一筆書き挑戦する気起こさせず 順風
迷路から抜け切れないで仮眠する 正美
赤い糸もつれにもつれ逃げ出せず 睦悟朗
花模様生きてるような万華鏡 六平太
修羅いくつ抜け光り出す万華鏡 利江
老化した脳の回路を修理する しげる
手探りで生きて迷路を抜けられず 利江
楢山へ行き着くまではまだ遠い 倫也
終着へ堂堂めぐりするばかり 倫也
八名の集いでうまくピザが切れ 千代子
ケーキ切る方程式で揉めている 帆波
炒飯の味決め手は火力プロ仕様 団扇
〔五客〕
真夏日に回転上げる扇風機 六平太
天気図は国境線をひとまたぎ 芳夫
思惑が南の海で絡み合う 正
W杯サッカーボール国を知り 栄子
顕微鏡のぞき食べ物不味くなる 千代子
〔三才〕
建て替えた刑務所まさに蟻地獄 絵扇
議長席みんな探して見当たらぬ 正美
色弱の検査はお花畑の絵 芳夫
Ⅲ、席題2
次の題は「印象吟:スプリングで球を打ち出す模型の計算資料の図」で水野絵扇さんの選でした。
〔佳作〕
血圧をそんなに下げてどうするの 三十六
ペアの額この辺りではいかがです 以呂波
幾何学は苦手防災ままならず 倫也
理屈抜き右へ曲げればいいんです 以呂波
見下ろすと見上げるよりも急な坂 団扇
数学がからきし駄目で出ぬ答 千代子
好きな人出来て設計狂いだす 睦悟朗
天才は先を読んでる人生譜 栄子
生命線伸びて設計図を変える しげる
サインコサインそのうちきっと役に立つ 団扇
Xで飛び出る距離が決まってる 七五
家計簿も右肩上げた時もあり こいし
〔五客〕
背負うだけ背負い答のない旅路 帆波
防潮堤更に更にの安全値 千代子
生命保険の損得の分岐点 芳夫
計算は正しいけれど核兵器 帆波
下り坂備え力を溜めておき 順風
〔三才〕
段上に昇る数式まだ解けず 正美
夏休み補習授業を受けさされ 栄子
堅物が恋の行方を数式化 睦悟朗
Ⅳ、席題3
3題目は「折句:ほ な み」で伊藤三十六さんの選でした。
〔佳作〕
本当になんにもしないミステリー 芳夫
ほどほどに泣いて男を見破ろう 帆波
本当に泣いても国は見てくれず 帆波
ほめ殺しなのだと分かり身構える 順風
本心は何色なのか見せてくれ 唯夕
ほんとうは泣いてる顔が見たかった 七五
惚れたけど何かおかしな耳の人 千代子
本気では無い愛と知り身構える 利江
本心は何かと探る耳の穴 しげる
方向を何度も変えて見る絵画 正
〔秀作〕
本当の情けは人に見せられず 倫也
ほろ酔いの中之島から御堂筋 団扇
法廷に情けはあった未決囚 品子
〔特選〕
蛍から奈落の底を見せられる 倫也
Ⅴ、次回について
日時 平成26年7月13日(日) 12時30分開場、13時開始
場所 駒込学園
①事前に自由吟を一句提出してください。
句評会用自由吟宛先
㋐新葉館宛の場合 6月末締め切り
新葉館のホームページをご覧ください。
㋑松橋帆波宛の場合 7月7日まで
Fax 03-3604-7328
メール honamikp61@gmail.com
郵送 〒125-0061 葛飾区亀有1-13-1-407
②句会 宿題「紫(表現自由)」三句(句箋は当日)
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