川柳マガジンクラブ東京句会2月例会
2月10日(日)、いつもの駒込学園の会場が入試でお借りできなかったので、近くの喫茶店「ホワイト」で第78回が開催されました。
今回はお世話役の松橋帆波さんは欠席で、お世話役の植竹団扇さんがご準備を含めて奮闘なさってくださいました。出席者20名、欠席投句8名、合計28名でした。
1、自由吟互選と句評会
句評会は出席者が3句ずつ選びますが、結果はゼロ票9句、一票5句、二票5句、三票2句、四票4句、五票2句、七票1句でした。
今回も句評会の互選ゼロ票の句は掛け合いで論評しました。植竹団扇さんと佐道正さんが担当しました。団扇さんは松橋帆波さんが事前に全部の句に対してコメントを作成してくださいましたので、その紹介もしてくださいました。
喫茶店だったために発言者・内容の把握が完全には出来ませんでした。
1・1、ゼロ、一票句から
上昇の日本へワンテンポ遅れ 品子
正「アベノミクスのことでしょうが、これから成果が出るので、句を出すのが早すぎでしょうか」
帆波「ワンテンポ遅れたのが誰なのかわかりにくい」
作者の品子「自分が乗り遅れていることを詠みました」
警備会社の肩車するメダリスト 団扇
帆波「アルソック。柔道と違って、会社のイメージアップに一役買っていますね」
その他の声「「の」を「を」にしたら面白いのではないですか」
日脚伸び不慮の帰国を包み込む 静枝
正「良い句だと思います」
三十六「上五がもったいない気がします」
逆転もあって人生面白い 利江
桃葉「普通の人生を歩んでいても谷底へ落とされることもある。大富豪になったり落ちたりもある。こういう人もたくさんいるのでしょうね」
帆波「そのままといえばそのままですが時事句と読むことも出来ます」
作者の利江「最近株も上がったりして」
その他の声「利江さん儲けたのかな(笑い)」
ガード下昭和の店が生き残る 大仏
正「良い句だと思いました」
皆があちらこちらの実例をにぎやかに挙げていました。
作者の大仏「有楽町に勤め始めたころからの店があって懐かしいです」
高見盛もったいないと良い言葉 くんじ
帆波「記憶に残るスポーツ選手はそうはいません。高見盛関、お疲れ様でした」
正「この句が出てくるのは嬉しいと思います」
1・2、すべて漢字の句
十五両電車満員皆他人 睦悟朗
正「面白いです」
帆波「十五両編成の電車は関東近郊だけ。だからこの数字は動かないのだが、伝わるかどうか」
作者の睦悟朗「都市という題で、都会の寂しさ、孤独感を詠みました」
交差点健気追従小型犬 以呂波
品子「よく見る風景です」
団扇「前後は音読みで健気は訓読みなのが珍しいです」
作者の以呂派「実際にこのようなのを見ました」
1・3、二、三票句から
仮住まいすべてレンタル呑気節 六平太
ゆめか「呑気節が良いと思います」
以呂波「引越しでしょうか。こうなれたらいいなあと思います」
帆波「受験生や短期赴任などでよく聞くウイークリーマンションでは鞄ひとつで生活できるようになっています」
風邪引いて百の魂持て余す はるみ(欠席)
利江「百の魂と大げさなのがいいと思いました」
玉枝「長生きすればよいともいえないなと思いました」
桃葉「私も最近生涯二度目の40度の熱を出しました」
帆波「三つ子の魂百まで、か、百八つの煩悩か。風邪で体力が衰えてる中で、元来エネルギーに満ちているものを持て余しているということだろう」
正「百歳かと思いました」
過ちの昭和へ戻る羅針盤 三十六
絵扇「軍隊にするといっている安倍さんの事でしょう」
唯夕「安倍さんが心配です」
千代子「日本を取り戻すとおっしゃっているが心配です」
?利江「羅針盤が何処に焦点を合わせているのでしょうか」
?倫也「安倍さんになってこんな句が反乱しています。左思想におかされ過ぎている気がします」
作者の三十六「過ちの昭和ということも言われますが、賛否両論あっていいのだと思います」
ケータイが人を奪ってゆく街だ 朔太郎(欠席)
利江「本当に皆ケータイをやっています。旅行中でもやっていてもったいないと思います」
しげる「人と人とのぬくもりがなくなってきています。乾いた街というのでしょうか」
三十六「「奪ってゆく街だ」に余韻があっていいです。」
帆波「街だという断定、奪ってゆくという事象。読み手に委ねられているというより、読み手それぞれの世界を形にしてくれる作品だと思います」
1・4、四票句はいずれもわかりやすい句でした
丸善へ檸檬一つを買いに行く こいし
選んだ利江、芳夫、正美、倫也が「意表をついた、大きなものと小さなものを取り合わせた、面白い句」と評価。
さらに、三十六、唯夕、帆波が「梶井基次郎の短編「檸檬」が下敷きにある」としていました。
生きがいを支え続ける好奇心 しげる
選んだ絵扇、ゆめか、桃葉、唯夕友に共感を覚えたと発言。
団扇「自然にわいてくるのが良いと思う」
全柔連受けの形が悪すぎる 順風
この句も選んだ絵扇、正美、千代子らが素直に共感。
正「時事吟のお手本のような句だと思います」
作者の順風「真剣に対応しなかったですね」
ぶっ倒れないと駅伝らしくない 芳夫
この句も、品子、順風、睦悟朗が素直に共感。
選んだ独り三十六の「私も高校のときマラソン選手だった」にはみんなが「え~~」
?唯夕「マラソンの川内選手も倒れこむ。駅伝でもマラソンでもよい動く句ではないか」
体育の教諭の団扇「駅伝は日本だけの競技で、自分勝手ができないからものすごくプレッシャーがかかります。日本的な特長のある競技なので、マラソンでは置き換えられないと思います」
1・5、五票が2句ありました
屈折のメガネ欠点しか見えず 桃葉
玉枝「人間良いところを探して褒めることが大事といわれます」
千代子「比喩ですね。悪いところばかり探してしまいます」
倫也「斜めから見るのが川柳人だけれどこんな見方ばかりしている人もない、比喩でしょう」
しげる「「屈折のメガネ」がうまいと思いました」
三十六「斜の構えると人の欠点しか見えない。よく「屈折のメガネ」という言葉を見つけたと思います」
団扇「心がゆがんでいるとゆ
がんで見えますね」
作者の桃葉「こころが屈折したときに見ると、という句です」
団扇「普段屈折していない桃葉さんがよく詠みました」
説教も旧仮名づかいだった父 正
選んだ静枝、睦悟朗、しげる、芳夫、倫也が口々に「旧仮名づかいが面白い」
作者の正「うちの親父はうるさい親父でした」
1・6 高得点七票の句
大抵のことは知らずに生きられる 倫也
玉枝「いろんなことを知っているにこしたことはないが、同感しました」
静枝「知らなきゃ知らないでよい。共感しました」
三十六「知りすぎた男という映画がありましたが・・・。やさしい言葉でうまい」
団扇「知識偏重で知恵を教えないのが問題ですね」
睦悟朗「この会の始まる前の雑談で、やさしい言葉でこそよい句が出来るという話を聞きましたが、まさにその例のような句だと思います」
芳夫「作っていない句。ぽっと浮かんだ佳い句です」
正美「必要最低限のことはあるでしょうけれど」
作者の倫也「現在有史以来なかったような情報が多い中にいます。でも頭がパンクします。産経新聞で「古典を精読せよ」と書いてあるのを見ました」
2、宿題の課題吟
課題は「建てる(表現自由)」で、丸山芳夫さんの選でした。
【佳作】
除染した砂場で遊ぶSツリー くんじ
郊外に家建て毎日が旅行 正
懲りもせずバベルの塔を建てている ヨモギ
箱物がアベノミクスに紛れ込む しげる
一片の雪が凶器になるツリー 静枝
開墾の碑が住宅に囲まれる 睦悟朗
川沿いにブルーシートが仮の宿 こいし
鶴亀の石建て決まる禅の庭 大仏
活断層建前の日に知らされる 大仏
建て替えをしたい我が家の皺と染み 桃代
あの世まで持ち越しそうな設計図 倫也
子等は皆仏壇置けぬ家を建て 睦悟朗
古地図見て地盤確かめマイホーム 圭子
その意味も知らぬ建国記念の日 三十六
ハイカラな骨壷に似たビルが建つ 朔太郎
【五客】
棟上げの宴にちらちらするローン 桃代
棟上げの鳥居へ神が躊躇する 品子
美しい家も妖しい女郎蜘蛛 こいし
方丈の庵を建てるホームレス 唯夕
ハムスターの死にアイスの棒で墓を建て 順風
【三才】
木の心つかんで建てる宮大工 よもぎ
墓石もリホームしようハート型 圭子
建築家が設計すると住みにくい 正
【軸】
地固めへ美輪明宏に来てもらう 芳夫
~~動作入りでご披露し、どっと拍手~~
3、五分間吟
最後に、宿題で特選だった佐道正さんの出題、選で五分間吟を行いました。課題は「コーヒー」で3句までとしました。
【佳作】
クリープの渦が未来を暗示する 千代子
コーヒーの味もそぞろな初デート しげる
コーヒーがさめて談合まとまらず 睦悟朗
珈琲と書くと本物らしくなる 団扇
コーヒーで釣られいけすに飼われてる 睦悟朗
朝のニュースがコーヒーを苦くする 利江
名曲を覚えた街の喫茶店 三十六
コーヒータイムと言って日本茶をすする 順風
立飲みのエスプレッソにある旅愁 倫也
レイコって彼女の名ではありません 団扇
喫茶店別れ話をかきまぜる 三十六
【秀句】
アメリカンそんな仲です君とボク 千代子
自販機で缶コーヒーを買う朝餉 団扇
ドトールでとりとめのない安い恋 三十六
~~3句すべて入選の三十六さんに「さすがー」の声がありました~~
【特選】
リタイヤへコーヒー豆を替えてみる 品子
次回の東京句会は3月10日(日)駒込学園にて開催です。
宿題は「黄色」(表現自由)三句詠です。
詳しくは、新葉館のホームページをご覧下さい。
なお4月句会は休会の予定です。
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