川柳マガジンクラブ東京句会
1月8日(日)第65回が開催されました。出席者はお世話役の植竹団扇さん、松橋帆波さんほか19名、投句4名、合計25名でした。
今回も、句評会互選ゼロ票で、かつ誰も質問したいという印をつけなかった句は掛け合いで論評しました。今回は伊藤三十六さんと村田倫也さんが担当しました。二句取り上げて見ます。
正月もイタメシお節廃れだし 利江
イタメシって何ですか、と言う声があり、パスタやピザのようなイタリヤ料理ですよ、と教えるひとがいた。
倫也「この句はそのままの句。よくできてはいるが」
三十六「昔は母親が作ってくれたが、今はお節も宅配してくれるし」
帆波「昔は女性がお正月中楽に過ごすためだった。変わったとはいえ今でも日持ちのするものではあります」
作者が利江さんとわかり、団扇「利江さんはご自分で作るのですよね」
利江「折角1週間もかけて作ったのに、孫達の好きなイタメシ屋に行くのですもの」
高級な時計見ながら遅刻する 正美
三十六「皮肉をこめた句だが、今ではありえない。ロレックスなんだろうが、今は電波時計
で狂わない」
倫也「ああそうですか、みたいな句に見える」
その他の声「この句は①宝飾の多い高い時計、②精密で狂わない時計の二つの意味に取れる」
帆波「今若者の間では時計ブームなんです。そこで、高い時計をするぐらいなら社会的責任
も果たせよ、と皮肉る意味にも取れる」
正美「この句を作ったのはずいぶん前ですが、長期間狂わない良い時計でした」
今月7句と一番多かった1点句からも二句取り上げてみます。
お燗番下戸が担当アッチッチ 以呂波
一票投じた利江「必ずしも感心した句ではないが、もう少しうまく仕立てたら面白い句に
なりそう」
帆波「飲まない人にやらせたから加減がわからず持とうとしたら熱すぎた、または飲もう
としたら熱くし過ぎてた、の両方に取れます」
団扇「上戸に任せるとみんな飲んじゃうから・・・(落語より)」(笑い)
伊呂波「両方の意味を合わせて作ったつもりです。私はぬる燗が好きです(大笑い)」
フェードアウト少し空気を煮こぼして 游子
一票投じた三十六「川柳らしい素晴らしい川柳だと思います」
わからないところがあって聞きたいという人が4人もいました。
朔太郎「句としては面白いが、上五の見方がよくわかりかねた」
品子「主語がわからなかった。句としては面白いと思った」
絵扇「フェードアウトと少し・・・のつながりがわからなかった」
千代子「理解できませんでした」
そこで帆波「完全に結論を出し切らずに、少しこぼれるくらいで次にいく、ということだろうか」
団扇「フェードアウトするのは男女の熱ではないだろうか」
游子「そーっと退場したつもりでも、余韻が少し残ってしまう状態を詠みました」
団扇「残したい気持ちも少しあるのでしょうね」
今月の高得点句は5点が4人、6点が2人でした。
5点句
おせっかい止めて乾いた街になり しげる
票を投じた各氏から、現在の風潮に対する嘆き、ぼやき、心配などをうまく詠んでいるとの評が述べられた。作者のしげる「皆さんのおっしゃる通りのことを詠みました」
マネキンの臍の辺りに春が来る 倫也
作者倫也さんの弁「二箇所に投句したら一方ではまったく受け入れられず、一方では半数が二重丸でした。現代俳句と融合を狙った実験句です」
筆順は問わぬ絆の太い文字 三十六
選んだ人の多くは「太い」の表現に引きつけられたようです。この句に関連して「絆」の字の糸偏の下の小の表記、つくりの半の表記や筆順についていろいろ話が出ました。
スッピンの心であげるお賽銭 静枝
「素の心であげるのがいい」「邪心なくあげるのに共感」「すっぴんが川柳らしい」「昨年大変だったので今年はこんな風に思った人も多いのでは」など共感を集めました。
欠席だった作者静枝さんのコメント「我欲を捨ててただひたすら安全祈願しました」
6点句
言い負けて父は風呂場で独り言 正
選んだ方々から「口では負ける」「所詮口では叶わない」「言い負かされて」と続いたが、游子さんの「お父さん頑張れ」で大笑い。
正「元は「つぶやく」の題で取ってもらった句」です
ご意見に貴重がついて無視される 唯夕
「見つけがいい」「この発見に拍手」「気付きがいい」「よくうまく句にした」と感心されました。
課題吟は「見渡す」で宮本游子さんの選でした。政局、被災地、北朝鮮などが多かったようです。寄席の句はお正月らしいので取りましたとのことです。
「佳作」
見渡せば国を委ねる顔が無い しげる
見渡してごらんよここが拉致の海 三十六
華やかさ舞台と競う初芝居 以呂波
被害地を見渡す初日温かい 利江
見渡せど団栗ばかり永田町 正
被災地の記録360度 静枝
先の先読んでる人に出会いたい 倫也
山並みの匂いがつつむ初デート 正美
見渡せば北に寡黙な三代目 三十六
国政に欲しい未来の鳥瞰図 倫也
青い星最初に見てたライカ犬 六平太
一線を越えると雪も嫌われる こいし
一瞥でツボを押さえる寄席話 品子
曲折のわが航跡をよしとする 睦悟朗
雲海の下の灯りの生臭さ 帆波
「五客」
ミネルヴァにぐるり見渡す鳥がいる 団扇
群衆を票田にする舌一つ 品子
空席にさっと駆け寄る妻の技 睦悟朗
俯瞰する金王朝のメタボ腹 千代子
窓外の小さな地球も星の内 こいし
「秀作」
勝ち馬に乗ろうと動く人の影 しげる
高座から入りを数えている枕 団扇
グーグルで紛争地帯俯瞰する 六平太
軸 富士の山夕映えを着て敵は無し 游子
最後に5分間吟を行いました。選は小野六平太さんで、課題は「いよいよ」です。時間が短いせいかよく似た句が多かったとのことです。
「佳作」
婚礼の前日娘正座する 正
加齢臭いよいよ増して鎮座する 正美
どうしようこれから毎日夫居る 游子
この句にみんな大笑い。
この世から逃げる日にちも近くなる 倫也
先行きの見えない闇をさぐり出す 朔太郎
後僅か遣りたいことをやって死ぬ 倫也
お迎えが近いと烏鳴いている 倫也
倫也さんの似た句が続いたのでざわめきが起き「そんな気ないくせに」との陰の声も。
裁判員いよいよ打診の文書来る 千代子
世界中待ちたくないが破綻前 唯夕
病院の待合室で友増やす 睦悟朗
「五客」
七十路であれこれ医者をはしごする 睦悟朗
団扇「ななそじのような表現は(よく使うので)あまり感心しない」
いよいよとなったら家を出ればいい 三十六
不透明な闇に突っ込む蟻の列 しげる
削られる的が年金迄及び 以呂波
枝振りのいい木を探す一人旅 三十六
作者が首に手を当ててこれをやる木です、と言うまでわからない人も居て笑いが起きました。
「秀作」
春が来て老いに伏字が多くなる 利江
老人会入れ入れとせかされる 睦悟朗
宝くじ運がひらけて当りくじ 栄子
次回の東京句会は2月12日(日)駒込学園にて開催です。
課題吟は「卵(表現自由・詠み込み可)」三句詠です。
詳しくは、新葉館のホームページをご覧下さい。
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