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過日の牛久川柳会の課題「油断」とか「風」といった課題によって作る句を課題吟と呼び、作者が自由に作る句を雑詠、自由吟、近詠などと読んできました。

関西では課題を読み込みますが、関東特に江戸川柳は課題を意味の上で消化し、文字としては入れないで作る傾向があります。どちらが良いというのではなく、関西は一句としての独立性を重んじ、関東は前句付から川柳への発展過程で前句を付句に入れないのが当然とする川柳観によるものと思われます。いずれの作句方法も絶対的な物ではありません。

>>>ぬす人をとらえてみれば我が子なり    
>>>さやかなる月を隠せる花の枝                                
>>>心よき的矢の少し長きをば

上の3句に「切りたくもあり切りたくもなし」とつけて読んでみてください、短歌になります。現在では題が短くなっただけなのです。が、関東では読み込まない風習がまだ残っています。ところが例外として、そこに漢字1字の題、例えば今月の牛久川柳会で出題された「風」とか、つくば牡丹柳社で出題された「心」などがあります。漢字1字の題で「字結び」と書かれたら読み込まないといけません。

読み込んでほしい時に「字結び」という出し方をするのではと私は思います。字結びとは必ずその題「風」を読み込むのだと覚えておかれたらいいと思います。熟語にしたら風習、薫風、風速、風流、風俗、風枝、風向き、先輩風、風邪、限りなく自由吟に近づきます。

作者の言いたいことは、川柳の視点と言います。5音にすれば、風光る、風が押す、風を掴む、風を結ぶ、風を吸い、風を切る、風を食らう、これら風の熟語の中からイメージを膨らませてください。作句の視点が選者と合えばいい得点になることでしょう。

『川柳の理論と実践』(新家完司著)によると『漢字一字の課題で、稀に「字結び可」と注釈が付いている場合があります。この「字結び」とは、課題の字を読み込んで詠うのが条件であるということ。また課題の字さえ入っていえば何を詠っても良いということです(例えば今年のつくば牡丹柳社の誌上句会の課題は「心」(詠み込み可・字結び可)〉となっていましたー編集者註)。

 例えば「家」という課題でしたら、本来ならば「私の家」「新築の家」「隣の家」「廃屋」「豪邸」など等いわゆる「建築物の家」を主題としなければなりません。しかし「字結び可」となっていたら、「家庭」「家事」「家具」「家紋」「実家」「本家」「一過」「国家」「作家」「出家」「家庭裁判所」等など、「家」さえ入っていれば何を詠っても良いとなります。

漢字一字の題で「字結び」とことわりがない時は、次の例のようなことを意識して句を詠むべきとされています。『…たとえば、「帯」という課題でしたら、人の腹に巻く帯を主題とするべきです。「所帯」とか「熱帯」「安全地帯」「帯状疱疹」などは本来の「帯」ではなく、いわゆる「字結び」ですから、「字結び可」という注釈がない限りは避けなければありません。よく出る名詞の課題で、咲けるべき例を挙げておきますので注意してください。

 それぞれ【 】内が課題であり、その下が避けるべき字結びです。
【風】 風格・風流・風紀・風習・風邪・痛風・和風・洋風
【目】 目的・目標・目次・目下・目盛・目途・二代目
【口】 口火・口裏・口座・出口・間口・窓口・人口・利口
【山】 山勘・山女・山師・山芋・山椒・山積・山分け・山口県
【空】 空豆・空似・空気・空手・架空・防空壕・空手形

この例を見て「とても覚えられない」と思う人もいるかもしれませんが、例を一つずつ覚える必要はありません。「課題が風なら本物の風を詠うべきである。風格などは課題から離れるので対象としない」という考え方を理解しているだけで、どのような課題が出ても対処できます。

 今日も選句没になった句ごめんと供養
 没の句に字結びしかと使い分け

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