7月号『近詠句』からの鑑賞を、今月号も弘前川柳社の濱山哲也さんにお願いしました。
○くつべらのしなり愚直を捨てて立つ やまぐち珠美
「くつべらのしなり」にスッと落ちてしまった。珠美作品は細やかな気付きを巧みに詠み込むのが特徴。自分発信だから常に作品が珠美100%になる。
さて靴ベラ、僕は猿が現われたとき、靴ベラを上げてコラーと威嚇するのだが、そのたび猿は、僕に向かって「うるせい、コノ猿」と吐き捨てて逃げる。
○すっぴんになると仕種もすっぴんに 青嶋由紀美
最近は『すっぴんメイク(ナチュラルメイク)』というのがあるのだとか。薄化粧とは違い、薄いのではなく、自然に見えるように作り込むもの、とホステスに習った。授業料はボトルのキープ代、決して安くない。
○ひ孫から肩たたき券もらったよ 石井さちこ
喜んでいる場合ではありません。コノ手の券はすぐに期限が切れますのでお早めにどうぞ。私事ですが、息子に貸した金が不良債権になっています。
○兄見舞い元気な声に安堵する 山上 信子
不謹慎だったらごめんなさい。男性の場合、ナースに目がゆくようになったら快方に向かっている。と入院歴豊富な先輩に教わった。図星だとおもう。
○民主主義その正体がつかめない 須崎 東山
民主主義を支配しているのは紛れもなく金と権力。となると〝民主主義とは羊の皮を被ったオオカミ〟である。とうとう安倍の尻尾はつかめず終いだ。
○古民家を外国人が買いに来る 脇田 雅美
〇贅沢と便利に慣れた口と足 小沢千代子
どうやら日本人は、幸せというものをはき違えているようだ。『便利、豊かで悪いはずはない』がそもそも間違いであった。それは国の借金や道徳性を失った国民に反映されている。せめて我われ川柳人だけは、真実を求めようではありませんか…シカトはないでしょ。
○老活に舞台俳優目指す僕 中島 建夫
夢は口に出したほうがイイ。なぜなら自らを有言実行に追い込むためだ。ただ注意しなければならないのは達成できなかったとき「口ほどにないヤツ」と陰口を叩かれること。これは叩かれたことのある僕からの忠告。
○ありがたく聞いた法話も忘れがち 竹本カヲル
忘れていたにもかかわらず、また聞くと『その話、前に聞いて知ってる』などとブーたれる、ありがた味のない僕とカヲルさんである。
○天国と言うから酒もあるだろう 内山 公子
おめでとうございます。ユーモア大賞です。ここに栄誉を讃えて拍手、副賞として笑顔を贈らせていただきます。誰ですか「うるせい、コノ猿」と言ってるのは。
哲也さん、只今PM6時ちょっと過ぎです。後10分もすると残業組が上がって来ます。心が和む鑑賞を有り難うございます。