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4月号も川柳塔社の新家完司さんにお願いしました。鑑賞は2月号近詠作品からです。完司さん、3ヶ月間を有り難うございました。
○ 寡黙です底の浅さを隠すため     桑山 公一 
 もちろんご謙遜であるが、ペラペラ喋らずどっしりしているほうが賢く見えることはある。しかし、どっしりとして寡黙なので「大物!」と思っていたら見掛け倒しだったということもある。繕ってみてもいずれ正体は現れる。
○ 連れ合いにわたし目薬さしたかな   壁谷 けい
  薬を飲んだかどうかが分からない、という句は見かけたことがあるが「目薬」は初めて。やはり、習慣になっていることは無意識に身体が動いているので、印象に残らないのだろう。訊かれたご主人も「笑うほかなし!」
○ 笑わせてなんぼの意地で生きてゆく  澁谷さくら
 作為を感じさせないで「作為的に笑わせる」のはなかなか難しい。しかし、無意識の言動で「笑われる」のは仲間から好感を持たれるキャラクター。そのことを考えると、やはり「笑われてなんぼの…」がベターだろう。
○ 雑煮餅さいの目にする老いの膳    新海 照弘
 正月になると、必ずと言っていいほど、餅を喉に詰めて亡くなる高齢者がいる。「そこまでして食べなくても…」と思うが、好きな人は食べたいのだろう。ならば、一センチ角ほどの賽の目切りにして、一つずつチマチマと…。
○ 娘からきれいでいてと化粧品     砂田 治美
〇 嫁いだ娘エプロン持ってお正月    立山ゆう子
 例外もあるが、男は独立するとあまり親を振り向かない。野生の「オス」のDNAを受け継いでいるのだろう。その点、娘と母の繋がりは強く、いつも気を遣ってくれる。
○ スマップの解散がなぜニュースなの  中田阿々茶
〇 正月のおちゃらけTV平和だね    小松くみ子
 無関心な者から見れば「スマップ解散」が何故あれほど騒がれるのかサッパリ分からない。正月のバカバカしい番組と同じように「平和な日本」を象徴しているのだろう。
○ お正月飯炊き婆で過ぎて行く     池谷 英子
 着飾って出ることもなし。温泉で大名気分を味わったこともなし。いつもの通り炊事洗濯をしていただけ。だが、変わらぬ日常を営めるのは健康のおかげ。感謝感謝だ。
○ 点滴をしてる間は哲学者       小田 善作
 ベッドに寝て宙を眺めて、ひたすら時が過ぎるのを待っているだけだが、傍から見れば思案に耽る哲学者。話し言葉の「い抜き」も、文芸作品としては少し違和感がある。「点滴を受けているとき哲学者」がベター。
○ 逝きし子の道案内で今の幸      鈴木 順子
 親より先に逝くのは最大の親不孝。「なぜなぜ…」と問い続けた苦しい厳冬の時は過ぎて、今はこころ穏やかな季節。このような幸せな日々を過ごすことが出来るのも、ひと足先に旅立った子が、ずっと道案内をしてくれたから。

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