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 11月号から3カ月間の鑑賞は、奈良県橿原市にお住まいの、坂本きりりさんにお願いしました。

 彼女の所属吟社は「四日市川柳会」なのか「やとま番傘川柳社」なのか、聞くのを忘れてしまいました。

○ 花の名をいっぱい知っている孤独   花井  稔 

 淋しい人の淋しい句ではない。孤独という名の豊かさを静かに育てている。人生に寄り添うものは人ばかりではなく、また花ばかりでもない。

○ 県境向こうの空に稲光り       堀川万紗子

 黒い空に県境の向こうが異界のように浮かび上がる。不穏な輝きに胸はとどろき、期待と不安のシルエットが際立つ。作者は何かを待っているのかもしれない。

○ 点滅の青信号にある不安       中内まつ江

 ありそうで無さそうな青の点滅信号。穏やかにOKを出しているが、作者は何処へいざなわれているのか。何を恐れているのか。心理劇のようだ。

○ 戦争もケンカもやめて手をつなぐ    小柳津優子

○ プラス思考の意見が溜まる片手鍋   小柳津優子

 他人と平気で争う人が戦争反対と言う。プラス思考は美しく片手鍋に溜まる。だが闘いが血沸き肉躍らせることも事実であり、愛国という言葉に甘美な響きも。

○ 腫れものに触らぬようにニート飼う  河合 久子

 「飼う」という厳しい表現に一瞬おののく。この厳しさの裏に哀しみその他の思いを馳せてはだめだろうか。句を発表するとは覚悟のいることなのだ。

○ 生きていく音をだんだん小さくして  河合 正秋

 音は声だったり足音だったり、すべて人間の生身から出るもの。ひそと生きて消えるようなラストを待っているのか、生身のことなのでこれも難しそうだ。

○ 八月は戦争ぬっと位置を占め     櫻井 トシ

 川柳で「八月」と来れば「戦争」しかない。戦後生まれだろうが何だろうが、べったりと貼り付いた八月から逃げられぬ。ゆるがない怖さが「ぬっと」にある。

○ 錆びついたブランコ見てる夏休み   戸鹿島節子

 誰も乗らなくなったブランコを作者だけが見つめている。一体だれの夏休みなのか、静かすぎる。季節の落し穴の中でブランコのきしむ音だけが響いている。

○ 台所きょうの事しか考えぬ       伊藤紀雍子

○ けんかして宇宙の話する事に     伊藤紀雍子

 楽観なのか、それとも作者のクセなのか。考えることも話する事も、視点を少し変えたりゆがめたり外したりたわませたりして、自身を保っているように見える。

○ 聖書売る母に寄り添う瞳に負ける   佐野フサエ

○ 伝えたいこといっぱいの子の涙    花井  稔

 無垢な人の瞳には心動かされるものだ。大人の胸の奥にかすかに残っている純な心が揺り動かされる。見たこともないその子の幸いを願わずにはいられない。

 週末は風邪菌に負けてしまって、ダウンしていました。しっかり睡眠をとったお蔭で、今朝の私のお肌はつるつる!お見せできないのが残念です(*^_^*)

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