静岡たかね川柳会の望月弘さんに、2月号近詠句の中から鑑賞をしていただきました。
○ 本当の怖さ見ぬふり核のゴミ 安西 廣恭
核のゴミは社会的な問題になっている。人間の英知を絞っても五十年に渡って解決できない。科学者も政治家も、それを知りながら原発を推進している。目の前の利便だけで見ぬふりをしていると鉄槌を喰う日がくる。
○ 来客のお蔭家中掃除する 安藤 義昭
昔は埃はハタキで払い、床や柱は雑巾がけが主婦の日課だった。今は掃除機があるのに家の中が片付かない。物が多すぎるからだろう。お客さまにしょっちゅう来てもらうのがいいようだ。
○ 透明な風とゆっくり遊びたい 伊藤紀雍子
○ 透明なガラスに罪をきせようか 住田勢津子
透明な風とはしがらみの無いことだろう。私にもその気持ちがよくわかる。ガラス越しに見えてしまった見たくなかったもの?それは透明なガラスのせいです。でもあなたは罪をなすりつけるのに迷っている。
○ 玄関に犇めく靴が賑やかい 斎藤 勝己
ハイヒールにブーツに通勤用の靴、おまけに三人姉妹だと玄関に足の踏み場もない。犇めくの言葉と賑やかいの好意的な表現に救われる。
○ 今日の日が極楽浄土だと信じ 河合 正秋
極楽浄土は行ったことが無いが、安楽な場所や境遇のことらしい。「聞いて極楽見て地獄」ともいわれるが、毎日が極楽と信じてくらす人は幸せだし、誰もが願っていることだろう。
○ 雑用がたくさんあって救われる 澁谷さくら
世の中には雑用が多すぎると嘆く人が圧倒的に多い。さくらさんはその多さに救われるとは面白い発想だ。いやな事は考えずに済む効用を詠っているとみた。
○ 卓袱台があったみんなが笑ってた 高柳 閑雲
昭和の時代を切り取った一句。家族全員が卓袱台を囲んで談笑している風景は懐かしい。ダイニングキッチンでは見られない光景だ。子供達は自分の部屋に籠ってゲームやスマホに夢中になっている今を嘆いている。
○ 菜の花のたよりに春があくびして 山井十文字
春一番の便りは菜の花だと思う。もう菜の花が咲いたと新聞やテレビが知らせてくれる。あくびするのが菜の花でなくて春という発想が面白い。物ごとを斜めから見ることによって川柳らしくなる。
○ 取りすぎて重たくなった年の数 大野 文子
年に重量があるとすれば毎年重たくなってくる。物理的なことでなく、いろいろなしがらみが両肩に重くのしかかっているからだろう。文子さんの年齢は知らないが、良い年を重ねている人とみた。
弘さん、ピンチヒッターをありがとうございました。
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