東京番傘川柳会の佐藤孔亮さんに鑑賞していただきました。
○ 本妻の方が美人という不思議 鈴木 順子
うーん、比べられる人がいるというのも凄いですが、美人か否か、と本妻か否か、は無関係ということではないでしょうか。
○ 過去形の御礼わたしはもう他人 田口 勝義
ありがとうございました、という言葉はおかしいと怒っていたのは先代桂文治でした。感謝に過去形はないのかもしれない。
○ 迷惑なメールに揺れることもある 寺部 水川
迷惑(ジャンク)メールはすぐ消したほうがいいと思いますが、時に「揺れる」気持ちもわからないではない。どうか、そこで止まってください。
○ 誰もいない罪にならないゴミ捨てる 戸鹿島節子
エコのため、テロ対策のため、町のゴミ箱がぐっと減りました。捨てる、でも「罪にならないゴミ」というわだかまり、が何ともいえません。
○ 結局は心が動くのはオカネ 本多 春子
正直です。そう思っていてもふつう言えません。言えても句に詠めません。人間の本音を詠む川柳の真骨頂と言いたい句です。
○ もう薬いらぬと言われ淋しい日 山井十文字
何年も何十年も飲み続けてきた薬、愛着もあるでしょう。薬が無用になる嬉しさより淋しい気持ち。お気に入りの番組が終わってしまうような寂しさかな。
○ 餅にカビ生える間もない孫の数 尾方 静子
正月に集まるお孫さんたちの数を「餅のカビ」で表現する。すばらしい。賑やかさが伝わってきます。
○ オペ七回世に憚って八十五 小田 善作
数詞を詠むのは難しいものですが、裏付けのある数字は強い。「世に憚って」の謙遜もかっこいい。私もうんと世に憚って雑詠に年齢を詠める歳まで生きたい、と思いました。
○ これ餅よ入れ歯返してくれないか 加藤 逸笑
歯が餅と抱き合い心中してしまったんでしょうか。これ小判たった一晩いてくれろ、を思い出す詠み方が面白いです。
○ 近付いて読むと此処まで近寄るな 加藤 逸笑
それなら小さい字で書くなよ、ですね。
○ 散り方は教えていない胡蝶蘭 河合 保雄
たとえば歌舞伎座のロビーの眼福。初日から千秋楽まで二十五日間を優に咲き続ける華やかさに圧倒されます。長持ちする胡蝶蘭も散るところはあまり見ません。華やかだった人の晩年は、見なくてもいいと思いませんか。
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