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 7月号の近詠作品から、吉道航太郎さんに鑑賞していただきました。

○ 立つために捻じれて咲いた花もある  渋谷さくら

 捩花に見立てて人間を、人生を詠んでいるのでしょう。モデルはご両親でしょうか。それとも友人でしょうか。 ひょっとして、ご自身かも知れませんね。

○ またねから続く姉との長電話     清水 和子

 男兄弟では考えられない、仲の良い姉妹ならではの川柳です。「またね」から「それはそうと」「あっ、そうそう」へつながるテンポの良い会話が聞こえてきます。

○ 嫌煙をやさしく主張する扇子     庄司登美子

 この句も、何気ない振りをしてたばこの煙を追いやっている扇子の光景が見えてきます。「やさしく主張」の表現が素敵だと思いました。

○ 雲に乗る境地へ妻のホイッスル    須﨑 東山

 奥様のきめ細かな心配りなんですよね。得てして、男は、有頂天になって自分を見失うことがあります。そんなとき、タイムリーに妻の笛が鳴り響きます。

○ 台風は反れて雨戸の天日干し     田口 勝義

 台風が反れた後の安堵感が句全体から感じ取れます。「雨戸の天日干し」とは、うまい表現ですね。真っ青な空と、陽を受けた雨戸の温みまで伝わってきます。ただただ脱帽です。

○ 初夏の風スーツ姿も板につく     田中 孝子

 ニューフェイスのスーツ姿も爽やかな初夏の風を受ける頃には、やっと板に付いてきます。句の姿も溌剌颯爽として小気味よく仕上がっています。

○ 忘れたい事まで書いた日記帳     戸鹿島節子

 それが日記なんですよね。矛盾しているようですが、嫌なことも洗いざらい日記に書き込んで、ほっと一息付いているのです。どなたにも経験のある事柄をさらっと詠った佳句だと思いました。

○ 老いて子に従う秘策練りあげる    花井  稔

 さて、どんな秘策を思い付かれたのでしょうか。興味ある余韻です。「練りあげる」とは、これもお上手ですね。ニンマリ笑う強かな作者が浮かんできます。

○ 輪から出てみればどうでもいい話   藤森ますみ

 グループや団体の中でのみ通用する取り決めや価値のある事柄があります。それを達観された作者の開き直りにも似た気概を感じます。

老い先を悩む弱気の妻叱る       岡田 三郎

 妻を叱る夫の優しさが溢れていて、感動しました。二人さえ仲良くしていれば、何も怖くはないのだよと言う夫の声が聞こえてきそうです。この高齢化社会、誰もが通る道なのでしょうが、愛があればきっと乗り越えられると信じます。

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