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鈴鹿の文芸評論家清水信先生が亡くなった。

享年97歳。

立派なお歳である。

だがいつまでも清水先生は死なないもんだと思っていた人たちばかりで、

まさに突然の訃報だった。

私も先月半ばにお会いしていて、

その時の会話のやり取り、握手の力、

そしてみなぎるばかりの先生の文芸評論力!

いずれもいつもと変わらず、素晴らしいパワーを見せてくれたものだ。

先生は1日に本を3冊は読むと言っていた。

テレビもたくさん見る。

しかも俗から高尚なものまで、雑誌も古典も何もかもだ。

いつだったか、AKBの総選挙をずっと見ていたとおっしゃっていたことも。

だから頭脳の中は、多くの情報とそれをつなぐシナプスが網目のようにはりめぐらせ、

しかも瞬時に先生の言葉としてアウトプットされる。

忘れるということが無かったように思われる。

そして先生の活動の最も大きい点は、

地方の同人作家、アマチュア作家たちを励まし、思いやり、

潰さないことだった。

どれだけ多くの人が、この清水先生の門から出ていったことだろう。

かつて私は句集「ベビーピンク」について、

こんな文章を寄せてもらったことがある。

「(略)阪本きりりはジャンヌ・ダルクである。顔に優しい微笑もなく、胸乳も薄く、ししむらも豊かとは言えぬが、その颯爽たる美女ぶりは、他を圧している。百年戦争の最後に現れたジャンヌは滅びゆく祖国の運命を背負って、戦場の先頭に立った。戦後70年と言うけれども、地球上で戦争の止む日は一日も無かった。文学もまた滅びの運命を辿っている。ここに阪本のような女性の出現を期待する声は必然の動きであった。政府のねらう幼児化現象に歯止めをかける必要がある。(略)阪本は第一句集の帯に「魔女狩りの業火をまとい立っている」という自句を書きつけている。「よ」という呼びかけ助詞、「なり」という結句を使うことも多い。すべては万卒を率いて、出陣を促すための説得力に懸かっている。(略)」

今思えば本当にありがたかった。

 

葬儀では文芸の仲間たちが各地から大勢集まり、

各新聞社、出版社、作家からの色とりどりの花で会場はあふれんばかりだった。

そしていつもと変わらぬ清水先生のあたたかい笑顔の遺影。

「これから何を目標に書けばいいのか」

そんな声があちこちからささやかれた。

本当に。

清水先生に読んでもらうことを目標にしていた人が

どれほどいたことか。

この喪失感をどうすればいいのか。

これから果たして書いていけるのか・・・。

ただただ皆で悲しんだのだ。

指導者の大きさ、偉大さ、この大事さをしみじみと感じている。

 



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清水信先生の訃報   ~知の巨人との別れ”にコメントをどうぞ

  1. らき on 2017年2月15日 at 11:10 AM :

     こんにちは。存じ上げませんでしたが、偉大な先生でいらしたのですね。ジャンヌダルクがきりりさんのイメージというのは、私も同感でした。初めてお目にかかった時、なんて綺麗でかっこいい女性なんだろうと、そして披講したときの声、読み方にすごく感動したことを思い出しました。
     お元気でいらっしゃいますか? お仕事、川柳と大変だと思いますが、休む時間を見つけることも大切にしてくださいね。

    • 阪本きりり on 2017年2月21日 at 2:24 PM :

      らきちゃん

      らきっちと初めて会ってから、もう20年ぐらいですか・・・。
      おたがい、ふさふさのつやつやでしたね。
      あの時は墨作二郎さんや神谷三八朗さんとか、
      お元気でしたね。
      ジャンヌ・ダルク、いずれ火刑ですな・・・。
      らきっちもまだまだ寒いんで気をつけてね!

      きりり

  2. 竹内いそこ on 2017年2月15日 at 8:19 PM :

    こんばんわ きりりさま
    お久しぶりです。
    大切な先生が逝かれたのですね。
    ここ何年かで私も柳人の友と、お世話になった句会の会長を見送りました。
    いまだにその方々がおられるものという感じで句をつくり投句。
    そして、どんなコメントをいただくかな?と思いがいたったときに、ああ、もう居られないんだ
    と思い知る、空白・・・なんだかそんな時間を繰り返しています。

     清水先生のお言葉を読んで、まだお目にかかっていない「きりりさん」という方の体温が感じられたような気がします。
     ジャンヌ・ダルク・・・・かっこいい!!
    お姿と輪郭は、実際にお会いできた時へのお楽しみにとっておきます。

     最近、いい本がありましたか?
     なぜか、私のところには、予期せずに「どうぞ読んでみて」と各所からSFや、時代小説から、川柳句集が集まり、手当たり次第に読んでいます。
     きっと今は 文字に触れなさい、という流れがきているのでしょう。
     また、きりりさんのおススメをご紹介くださいね。

    • 阪本きりり on 2017年2月21日 at 2:30 PM :

      いそこさま

      そうですね。
      年々見送ることが多くて、そのたびに喪失感が茫洋としてくるのです。
      つまり、喪失感の喪失??
      あの世が近づいているということでしょうか?

      SF、時代小説、どんなのですか?
      最近トランプさんのおかげでリバイバルのJ・オーウェルですが、
      本棚を探したら「1984」「動物農場」どちらもありました。
      ただ描き方としてはやはり古臭さが否めない。
      ある意味全体主義のステレオタイプな描き方だと思いました。
      私は「ゴヤ幻想」という、ゴヤの絵画についての論考の本を
      今読んでいます。
      ハードカバーなんで持ち歩きに苦労します。
      遠藤周作の「沈黙」も今から探してみようかと思います。
       
      きりり

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