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仕事
課題「仕事」入選作品
選考/渡辺柳山・2026年3月募集分
幾つもの命守って夜勤明け 白瀬 白洞
幾つもの命を守る責務の重さを「夜勤明け」の下五が鮮やかに受け止めた秀句です。張り詰めた現場の緊張と朝の安堵が交差し、献身する人への深い敬意まで自然に滲ませた格調高い一句です。その余韻もあり見事な天の句でした。
初給与親の脛にも心付け ハッピーエイト
初給与の喜びを真っ先に親への心付けへ向けた視点が温かい。育ててもらった親への感謝と、自立の第一歩を踏み出した若者の誠実な人柄が清々しく香る秀句。これで「脛かじり」からも卒業ですね。親子の恩愛の機微を映して余韻も深い一句でした。
働いて働いて今医者通い ゆき
高市首相の「働いて」を畳みかけるように重ねた措辞が、懸命に生き抜いてきた人生を語っています。気づけば医者通いとなった現実に、働くことを美徳としてきた世代の哀歓と皮肉が滲み、読後の余韻もあり面白い一句に仕上がった三才句でした。
窓際でスカイツリーが良く見える 荘子 隆
この件は仕事抜きでとする仕事 鈴木 裕
働かぬ蟻もいるから世が回る しむらやよい
完成を見ない仕事にある未練 美和山吹
職人のプライド手抜きなど知らぬ ノーテンキ
天職と決めて老後の鋤と鍬 白瀬 白洞
さあ仕事叩かれ精を出す木魚 林 山柳
再雇用育てた部下が我が上司 ねこママ
母の日へ家事代行のプレゼント 竹平 和枝
餌代を自分で稼ぐ競走馬 入り江 わに
退職後家事と介護の大仕事 福田和人
にゃあと鳴き定時に膝に乗る作業 京本 らき
駐在さん仕事以上の仕事をし 鈴木 かおる
大しごと大統領の尻拭い 竹中 たかを
AIに仕事奪われ行き場なし ねこママ
ライバルは仕事が趣味とキザなこと 山本 智昭
上司留守今日は仕事のはかが行く 星野睦悟朗
共稼ぎ無言のうちに家事育児 穂口 正子
仕事だと思えばいつもえびす顔 山﨑 止水
スイッチを押しただけでも家事は家事 冬子
猫ちゃんは寝るのが仕事よく寝てる 磯香
いのち燃ゆ そんな仕事がしたかった 凡 無為亭
ゴミ出しが定職となる散歩道 彦翁
仕事するポーズばかりの永田町 羽馬 愚朗
戦争が国の仕事という悲劇 木村 行吉
雪下ろし仕事休んで里帰り 稲垣 義舟
私には天職でした馬の脚 竹中 たかを
仕事だと言えば何でも免罪符 阿部 日向子
駅蕎麦で男仕事の貌になる 髙杉 力
リスペクトされる仕事に就く誇り 右田 俊郎
仕事着が一番似合う父だった すみれ
仕事とは汗かくことと父の背な 廣田 和織
いい塩梅ちょっとAIできぬ技 荏原 利行
出張の課長が写る開幕戦 よしじろう
職人の勘が物言う文化財 山田とく子
AIの部下もこなして二倍速 ハッピーエイト
何かしら仕事があると言う安堵 右田 俊郎
特売日嫁ママチャリにムチを入れ カバさん
楽に金儲かる仕事ありません 佐藤きよし
母さんが夜なべしていた針仕事 久常 三喜夫
文楽の黒衣にいのち賭けた人 成山 きよし
ええ仕事するね翔平ホームラン 吉野一心
農に嫁し昭和を生きた百寿の手 坂田 康雄
仕事だと言えば立派な言い訳に 千代
たんたんと命仕分けるトリアージ 廣田 和織
働いて働いてこそ仕事人 西東南北
百歳で九九を唱える元教師 小島 芙美子
電池切れ湿布たよりの夜勤明け 瓜生 まりも
テレワークあくび居眠り昼寝付き おかの みつる
爽やかな笑顔も売っているパン屋 大澤 葵