課題「誰」入選作品
選考/二宮茂男 2010年7月募集分
誰がためにねじれタワーの鐘は鳴る 岡田話史
学習済みの「ねじれ国会」、与党も野党も点数稼ぎをやめて、何をどうすることが国民のためになるかを考えて欲しい。権力抗争ではなく、知恵を持ち寄る平和的で大人の響き合いを期待します。
誰からも気づかれないで孤老の死 赤松重信
「名ばかり高齢者」が日本全国で発覚。100歳以上の所在不明は64名。この中には、国内最高齢123歳の女性も含まれている。 地域社会、家族の絆が、急速に、細くなっている。背筋が寒くなる。
幸せにするよと言った誰だっけ かんなくず
妻「幸せにするよって言ったでしょう」。夫「モグモグ・・・」。夫は、どこか後ろめたい気持ちになる。幸せにしてあげたいと努力したが、うまくいかないんだよ。下五にものを言わせるドラマ。
誰にでもありがとう言う百の母 四  季
過労死をしても誰にも褒められず 岩堀洋子
わたしの名思い出せない母を看る 風間なごみ
三竦み最初に誰が動こうか 加藤ゆみ子
温暖化だれの物でもない地球 闘句朗
匿名に鎧を着せて爪を研ぐ 勘  助
誰からも所在聞かれず百を越え 悠  歩
四捨五入誰かが四になる怖さ 小西章雄
クリックでわたしを削除する誰か 飯島章友
俺の顔土足で踏んだのは誰だ 牧  新山
君のこと祈ってくれる人がいる 杉山太郎
定年後誰も気がつく忘れもの 斉尾くにこ
またどこか誰かと誰か殺し合う かっぱ堂
犯人が分からぬ全部読んだのに 香  月
遠ざかる人振り返りまた会釈 川辺大柳
誰とでも一体になるユニフォーム 伯  林
オペ成功誰のこころも読める眼に オカダキキ
棲みついた曲者に手を焼いている 柄 宏一郎
誰でもいい研いだナイフがつぶやいた 太秦三猿
押入に誰にも見せぬ顔がある 丸山重司
背中おす誰かを待って踏み出せず 小春日和
誰だ誰問えば問うほど遠花火 和田洋子
痛いとこ衝かれ蓋する目安箱 神原昌信
悪いのは誰のせいでもない自分 小田由実
慢心の線引き誰もいなくなる 楠部千鶴
青い空誰にもやる気分けてくれ 柳岡睦子
誰だって密かに願うピンコロリ 原田和洋
閃いたことは誰かが既にやり アズスン安須
どなたでもいいとはゆかぬ種の保存 早  人
だれにでも噛みつく犬の臆病さ さくら
子に残す誰のものでもない自然 丸山重司
誰となら乗ってみますか観覧車 高浜 勇
どちら様などと悲しい母の口 見  乗
後ろ指どなたですかと聞く自信 端河  潔
ねじれさえ無くなるのなら誰とでも 勇   鶴
誰よりも君と言われて断れず おじ丸
知ってるが誰がやったと聞いてみる 日比日踊
子は美形ちょっと女房に猜疑心 駄柳庵
含み損だれかがきっと儲けてる 橋立英樹
笑み添えた会釈に誰かは聞きにくい 松村しげる
亡き父の名で僕を呼び母は老い 竹中正幸
誰ひとり当てにはしない老いの坂 彦  翁
ハウ・アー・ユーのつもりがフー・アー・ユー 跡  夢 
やっとこさゆとりできたらあんた誰 米本素光
誰かれの区別もなしにする握手 吉村明宏
「どちらさま」妻が突き刺す朝帰り SHIG
オレオレって息子はここにあなた誰 星野睦悟朗
姓名で足りずあざなが欲しくなる 夏多感
誰にでもやさしい君に嫉妬する みんせい
総理ですか 誰でもいいよすぐ変わる 七ツ森客山