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飲む
課題「飲む」入選作品
選考/島文庫2022年08月募集分
結末は盛るか立てるか躙り口 坂田 康雄
話も大団円に迫り、その結末を如何に仕立て、読み手をどう飲み込んでいくかが、作家の腕の見せ所である。川柳でも、多少、大袈裟にするか、明瞭に言い切ってしまうかと出口で迷うときがある。
茶柱を見たことがない子どもたち 6年6組てんまのよいこ
茶柱が立てば吉兆などと喜んでいた時代は遠い昔。現在の急須では大人でも茶柱にお目にかかることがない。まして自粛、自粛の規制下の子らに茶柱など立つはずもなく、不憫な日々が続いている。
ゴックンと酸いも甘いも飲み百寿 船岡 五郎
清濁を併せ飲むという慣用句の類想が多かったなか、綺麗な川には魚棲まずの喩えの如きご長老が壮健であられることが喜ばしい。とりわけ、ゴックンのオノマトペがユーモラスで的を射ていたと思う。
解熱剤だけでコロナと立ち向かう 野平 光太郎
条件を飲むと共犯者にされる 亀 歩
プーチンに美酒を味わわせてならぬ 渡辺 たかき
まだ生きているなと水を飲んでみる 稲山 博司
朝のお茶飲む度平和かみしめる 真田 義子
グビグビグビプファードスンと置くジョッキ 林 山柳
毎食後飲んだ薬がなぜ余る 寺井 一也
がぶ飲みがお作法ですと言う麦茶 木村 行吉
アメリカが言うと飲むしかない日本 戴 けいこ
待ちか兼ねた梅酒とろんと琥珀色 穂口 正子
湯冷ましは昭和の腹を壊さない わこう
キンキンに冷えたビールに飲まれたい 長谷川 桜道
路地裏も値上げの波をかぶってる きぃろっく
清濁と合わせ薬も飲んでいる 荘子 隆
桜茶にほの字と書いて一気飲み 利星
「お前なあ」次の言葉をぐっと飲む 城戸幸二
五十年晩酌だけは忘れない 福田 和人
傘寿越え妻より誤嚥怖くなり 美和山吹
ラムネ飲む水車のような喉仏 木村 行吉
元総理死すのニュースに息を飲む 吉 哉郎
日常を無惨に飲んだ土石流 竹中 正幸
理不尽を飲んで青さが失せてゆく 八木 五十八
飲めぬものぐっと飲み込む宮仕え 柳村 光寛
一人酒増えて寡黙の人となり つれづれ
錠剤を一気に飲めぬ母卒寿 阿部 日向子
勤続は苦渋を飲んで伸びてゆく やひろゆき
温暖化太平洋の島をのむ 林 山柳
シャンパンを開けると蝶が寄ってくる 智鈴
饅頭をあてに酒飲む二刀流 高橋 太一郎
アニサキス飲まれた仇は胃で晴らす 関口 行雲
氷水飲んで心を温める ムギ
不担保の豪雨に家を飲み込まれ 松本清展
雪辱を晴らすビールのほろ苦さ 本多 雅子
赤ちょうちん愚痴に染まった色してる 四季
パパが酔うのを待っている通信簿 酒井 映子
非正規が飲む条件の理不尽さ 桜木 美津子
ロゼワイン遠い昔を語り出す 宮本 信吉
ノンアル缶二本転がす休肝日 辻 貴希
アイスティー飲んで切り取る南風 佐佐木 雀区
奇襲以後酒宴続きの軍令部 岡 遊希
ウィズコロナ飲んだら夢にならないか 入り江 わに
飲み込んだ悔しさ目から溢れ出す ぽっち
くどくなる父に徳利も舌を打つ すみれ
一度では飲み込みづらい薬の名 せきぼー
演台で飲む一杯の力水 西山 竹里
順々に隣を真似る茶の作法 みんせい
酔ってきてパーティーションが邪魔になる 齋藤 光子
一球に固唾を飲んだ甲子園 佐藤 佐伎
密造と聞いてどぶろくなお旨い 翔のんまな
国民を飲んでシラジラ嘘を吐く やす坊