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2026・01
2026年1月のユーモア川柳入選作品
選考/渡辺たかき・2026年1月募集分
発車ベルホッとハッとの専用車 小原 庄助
あわてて飛び乗った電車が女性専用車両で失敗したという主旨の句は多く詠まれています。しかし、この句はその情況をたった二語のオノマトペで表したところが斬新で秀逸です。ありありと光景が目にうかびます。
生きていりゃ小さな春が来るだろう ゆき
一読してなにげない心情を詠んだ句にも思えますが、これが詠まれた背景までが見えてくる表現の力があります。作者にはささやかな期待という祈りがあり、それを切実でなくさらりと詠んだところに軽みが現れています。
借金の申込書は楷書体 西本 晴美
借金の申込という襟を正した文書を作成するという姿勢に「楷書」という言葉を見つけたところが、作者の手柄と言ってよいでしょう。どんな能筆家でも草書体で借金の申込はあり得ないと思うと、笑いがこみあげます。
生存を確認できた年賀状 柳村 光寛
初日の出去年見たからいいだろう 荘子 隆
入浴にヒートショックという関所 やす坊
山登りヒトの臭いを消しに行く
探しても出てこないから探さない 廣田 和織
一本のごぼう抜いてもごぼう抜き 茶番檄
花壇にも野菜植えましょ物価高 おかの みつる
居酒屋でちびちび夢を広げてる せきぼー
どちらかが見送るという不公平 船岡 五郎
へそくりを見ぬ振りし合う夫婦仲 西井 茜雲
足し算は歳引き算は預金帳 石井 良司
知らぬ間に目減りしているキープ酒 髙杉 力
七転びしても八度は起きられぬ 佐藤 茂之
ミキサーにかけて飲み干す黒歴史 風来 帽子
長編の夢を見てたら朝寝坊 さだえばあちゃん
詰め放題破れる落ちる何のその 宮尾 美明
馬の骨でも構わない来たれ婿 栄味奴
冥土への旅で賑わう控室 山田明
年明けも居座る名画カレンダー 福村 まこと
胎内のそら豆だった子が嫁ぐ
なんでやねんほんまなんそれ立ち話 吉野一心
野菜嫌い草は食べぬと言う息子 栄味奴
節約に疲れ大声「福は内」 花井多可子
バーゲンを待ったコートが値上げされ 入り江 わに
寿司だけの回転寿司はいまいずこ 亀仙マッチョ
多様性こんがらがって糸解けぬ 陽香
何方此方もお独りさまの隣組 竹中 たかを
都会では雪に大人も大はしゃぎ まさみじいちゃん
先方も賀状じまいと書いてある すみれ
勝敗はエラーで決まる草野球 河内 菜遊
プライドを捨てろと酒に煽られる 荒井 孝憲
スマートなあの日を想い捨てる服 小林 祥司
スポンジが 軽石となる 記憶力 月の裏
若後家の家の雪には人が群れ ガバさん
ウオーキング励ます歩数万歩計 つれづれ
どんど焼き古い恋文投げ入れる 湯本 良江
クラス会名前忘れて俺お前 山﨑 止水
爪研いであなた待ってる午前2時 大浦福子
言いづらい小言は妻の口借りる すずき 善作
わたくしにとどめを刺した捨て台詞 廣田 和織
何事も凶のみくじのせいにする せきぼー
昨年の蕎麦で飲んでるお正月 橋倉 久美子
パスワードみんな同じが心地良い 桜木 美津子
ほっこりと充電をして再起する 滝沢 良枝
雪の日は満員電車で暖をとる 小島 芙美子
あの人と話したくない偏頭痛 亀 歩
後期へと受検科目が増えていく 河内 菜遊
和の魅力訪日客に教えられ 八十日目
大トラの小猫辺りで杯を置き ターちゃん
占いは大吉以外信じない 野村齋藤