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2025・03
2025年3月のユーモア川柳入選作品
選考/渡辺たかき・2025年3月募集分
偽造でもカニカマだけは許される 西井 茜雲
カニの模造食品である「カニカマ」を「模造」と言わず、「偽装」と表したところが作者の発見です。また、不正を表す「偽装」の語を用い、「許される」という誇張された免罪へ転換した表現もみごとです。
結婚式腹で風切る岩田帯 トトロさん
懐妊してある程度大きくなった新婦のお腹を「岩田帯」が象徴しています。「肩で風切る」ならぬ、岩田帯だけに「腹で風切る」と詠んだのが巧みな言いかえで、堂々とした新婦への祝祭感が表れています。
コタツとの愛を引き裂く電気代 山田明
炬燵への執着を「愛着」でなく「愛」と言い切ったところが比喩として巧みです。そして、その「愛」もままならなくなったことを「電気代」が「愛を引き裂く」というさらなる比喩でたたみかけているのも秀逸です。
植えたはずないのに開く恋の花 初貝みな
沈黙が怖くて秘密つい漏らす 関根 一雄
立ち話西日の中へ吸い込まれ 山田 とく子
「ふるさと」が美味しいものですぐ変わる 小原  庄助
台本は書けぬおのれのエピローグ 星野 睦悟朗
百歳を生きるつもりの人ばかり 久常 三喜夫
卵かけごはんで今朝も動き出す 真田 義子
花粉症お金はないが鼻セレブ うらら
居酒屋の前は決まって雨が降る ノーテンキ
ゴキブリに瞬発力を鍛えられ 山田明
また汚職黄河の澄むを待つごとし 繁柳
甘い汁吸って苦味を噛みしめる 宮本 海風
春うらら犬に連れられ帰り着き 川乃 外朗
極楽の手前あたりで呼ぶ尿意 坂田 康雄
こわれもの注意で届く新社員 河内 菜遊
毛穴から染み出しそうな下心 岡 遊希
春一番花は笑って鼻は泣く 岡田 淳
隠し味と思うくらい薄い味 亀 歩
音しない賽銭入れたためしない 西井 茜雲
待ち人は来ないし来てももう遅い 初貝みな
あることも知られていない県民歌 橋倉 久美子
店員の本音を探り試着する せきぼー
長生きと言われる頃へあと少し おじ丸
職質みたいご近所さんのご挨拶 松井 逸馬
飲む食べる喋くりまくる三刀流 正能 照也
力士より先に目が行く土俵下 山田 とく子
女心読めず今でも独り者 山本 智昭
湯舟には瞑想させる神がいる 佐藤 彰宏
記憶力良すぎて遺恨付きまとう 山田 とく子
高値への愚痴も煮詰めているおでん 松村 しげる
モヤシさん日陰で耐えて日の目見る 荒井 孝憲
空ビンの並んだ数が愚痴の数 すずき 善作
勢いがいいのは視野が狭いから こはり つよし
店の中花火みたいな中国語 ぱせり
優しさにむらなくて好き電子音 佐々木 こう子
雑誌みな記事の半分健康誌 かきくけ子
任せると言っては逃げる我が上司 磯香
お子様の手の届かない場所は無い 船山 登
入園日ママもピカピカ勝負服 正能 照也
スキー場嘆かせ春になって雪 繁柳
花を切るように夫を斬る家内 白瀬 白洞
飲み過ぎの罪を珍味が背負わされ トトロさん
子の手前お札を入れる赤い羽根 たーちゃん
妻の手の上に隠れる場所がない 八木 五十八
あったかくなるのが速い狭い家 船山 登
小判でもばらまくように出す薬 滝沢 良枝
家計簿の無駄を探して四つの目 川名 洋子
倍速で見れば普通の歩き方 船岡 五郎
品定めキャベツ右の手左の手 坂田 康雄
スミマセン賽銭忘れ合格し ハッピーエイト