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課題「氷」入選作品
選考/毛利由美・2025年7月募集分
アイスには3秒ルール通じない 入り江 わに
そうだ、と思わず納得。3秒の間に拾って食べれば大丈夫、という都市伝説のような民間信仰。しかし落としてしまったらもう固体は液体になってしまう。3秒もかかっていたら拾うどころの話ではない。目の付け所がうまい。
南極の氷歴史ののぞき穴 船岡 五郎
特選1に相対してスケールの大きな句。それでもそこに「のぞき穴」があることで急に身近に感じられるから不思議。温暖化で溶けることばかりに目が向く昨今、改めて南極の氷の歴史をAIで調べてしまった。
ガリガリの昭和とサクサクの令和 本多 雅子
これはまた小さなところを攻めてきたなと思わせる句。サクサクの令和だけでは「氷」とわからないが、「ガリガリの昭和」でああ、と納得できる。ガリガリ、サクサク、昭和、令和だけなのに、分かってしまうところが憎い。
炎天の恋も氷も溶けやすし 八木 五十八
氷河期があったんですかこの星に 大木 安沙
フラッペと名前変えたらよく売れた にった みさ
焼きいも屋夏は売ってるかき氷 にった みさ
氷河期のままで人生終わりかけ かきくけ子
オンザロック積もる話が溶けていく 河内 菜遊
氷詰めマンモスもしや動き出し 武藤 宣彦
散歩道足止めさせる氷旗 羽馬 愚朗
氷河湖のうめき聞こえる温暖化 ミツエ
製氷器カシャリと落ちる夏の夜 ゆう子
返答は氷の微笑だった人 松井 逸馬
ハイボール氷が揺れる音を飲む 八十日目
果物と氷削って二千円 関根 一雄
氷から食べ物創るサピエンス 松岡 哲彦
かき氷も観光客を呼ぶツール 下村 郁子
かき氷ひとつの皿に匙ふたつ 河村 けい瑚
米よりも高い豪華なかき氷 鈴木 かおる
霜柱踏む快感に回り道 白瀬 白洞
氷嚢を頭に母の手が温い  風間 なごみ
氷河期を超えた夫婦の日向ぼこ 砂田 達成
スコッチのロックの音が澄んでいる きぃろっく
全メニュー制覇お店のかき氷 海神 瑠珂
チリンチリンアイスキャンデイ遠い夏 つれづれ
舌の色子らが見せ合うかき氷 すみれ
沸騰化春秋も食うかき氷 石井 良司
主菜より値段の高いかき氷 陽香
ながい愚痴グラスの氷よく溶ける 優輝
「かき氷はじめました」を四月から 佐藤 茂之
冷や飯を食った氷河期今もなお 久常 三喜夫
塩飴と氷枕で過ごす夏 6年6組てんまのよい子
熱帯夜氷枕を抱いて寝る カバさん
一年中「氷」ののぼりある茶店 隼人
猛暑日へ製氷室が忙しい 鶴見 芙佐子
今どきは頭痛のしないかき氷 大澤 葵
冷蔵庫の氷宅配ある記憶 山下 じゅん子
美味しいが時給を超えるかき氷 津田 隆
水筒にひとつ二つと氷入れ ミニワンミルワン
ごりごりと氷枕の溶ける音 彦翁
マドラーで氷ぶつかる音涼し おじ丸
かさ増しの氷で高いジュース代 すみれ
氷河期の大卒まだ非正規職 石井 良司
溶けている氷が幹事呼びつける せきぼー
薄氷を何度も踏んで甲子園 佐藤 茂之
再会にオンザロックを傾ける 戴 けいこ
映えるなら寿司より高いかき氷 亀 歩
選挙戦氷河期がまた忘れられ 星野 睦悟朗
カラカラと水筒の音夏休み 道用 トモヨシ
酔うほどに僕も氷も溶けていく 大浦 福子
グリセードで下ってみたくなる氷河 繁柳
氷嚢を当ててやりたい地球にも すみれ