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課題「家」入選作品
選考/島文庫・2023年10月募集分
記念日にしようローンが終わった日 荘子 隆
遂に長期金利も上がるらしい。低金利時代が続いたとはいえ、家計に占めるローンの返済は過大。しかもその期間は永いのだ。それを完済したのだからご立派。ご夫妻の感涙が目に見えるようだ。
笑い声記憶している台所 下村 由美子
子供達は巣立ち、老夫婦二人だけになってしまった我が家。ひっそりとした台所だが、かつての賑やかな思い出が滲みている。たった十七音のなかにドラマのラストシーンのような余韻がある。
廃屋になってツバメをとまどわす 橋倉 久美子
空き家問題は今や切実な社会問題である。そんなシリアスな社会現象を川柳らしいユーモラスな視点で捉えたところが秀逸。主役のツバメも人の居ない家に不安を覚え、戸惑っているのがいい。
紛争で今日も誰かが家なき子 桜木 美津子
西向きの窓から見える朝が好き 山田 恭正
川の字は少子国家の語り草 白瀬 白洞
ひとり居の要介護です避難指示 松本清展
家出したらしいわが家の福の神 松本清展
記念樹を残して子らは核家族 星野 睦悟朗
地球しか住めぬ一家の内輪揉め 竹中 正幸
父の背を熟読すれば家族の字 荒井 孝憲
タワマンの最上階で雲と住む 川名 洋子
にぎやかな家族のようなおでん鍋 やんちゃん
二階家を持て余してる老夫婦 ねこママ
温暖化座敷わらしもお引越し 遠江 竹庵
古民家と言う分類に入れられる 彦翁
家の灯が見えて歩幅が広くなる 野平 光太郎
強引に「家庭」ねじ込むカルトです さつき 明紫
お家芸ですね欠伸のバトンパス せきぼー
旅帰り家が一番いいと言う 阿部 日向子
頑固者扱いされる一家言 津田 隆
唐破風の祖父の家には髭がある 隼人
家族葬みんな大きく長い鼻 6年6組てんまのよい子
うさぎ小屋たぬきときつね出入りする はぐれ雲
居候三杯目さえ遠慮なし けい
どのドアもお家の事情抱えてる すずき 善作
廃屋が事故物件に見えてくる 齋藤 光子
パズル解くような区画に家が建ち 稲山 博司
愛犬が決める我が家の勢力図 加藤 胖
我が家では丸い重箱嫁姑 岡田 淳
月明かり消えてしまった家具屋姫 白鳥 象堂
雨音にふと見上げれば子の遺影 佐藤 彰宏
母さんが来ると実家のようになり たごまる子
家の嫁死語になる日はまだ遠く 武藤 宣彦
気力体力あるうちにする墓じまい 春日 綾乃
子は宝わが家の宝これくらい おじ丸
他人には明るく見える家の中 八木 幸彦
田畑に空き家を付ける移住策 寺井 一也
家裁出て晴れて他人になる二人 北村 幽芳
残業が家計助ける人不足 池田 稔
家中の諭吉土産に孫帰る 山田 明
家自慢している輪からそっと抜け セピア
ドヤ顔で家を建てたと賀状来る おかの みつる
亡き後も表札に居る父と母 河村 けい瑚
家計簿と財布はいつも仲違い 久常 三喜夫
味方にも敵の兵にもある家族 原 洋一
家事手伝い昭和はそれで良かったの 水谷 裕子
大将は大概妻と決まってる 高橋 太一郎
衰退の国家に今もしがみつく 村杉 正史
家計簿になくてはならぬ赤いペン 小林 祥司
百歳を迎えられない朽ちる家 かきくけ子
マイホーム夢をあの世に持って行く ミツエ
家出して他で飼われるウチの猫 大田 雅子