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課題「秋」入選作品
選考/本田智彦
2013年9月募集分
いい人といい酒飲める秋深し 見乗
酷暑の夏が過ぎ、ビールから酒に変わる。飲み仲間と前向きな人生の話などしているのだろう。
秋風も値上げラッシュが身に沁みる やす坊
消費税のアップがいよいよ本番となる、もうすでに物価の便乗値上げが散見され市民生活を脅かしている。
気持ちだけ走り実らぬ秋の恋 船岡五郎
秋は恋の季節、実る恋と実らぬ恋がある、これも相手に本心でアタックしたのだが、実る実らぬに分かれた。これも縁というものか。
今年ほど待ち長かった秋はない 悠澪
淋しさが少し混ざったもみじ色
里山で小さな秋を採取する 吉村明宏
TPP無事を祈っている案山子 庄次
トリックも悪知恵もない秋日和 上山堅坊
高原の誰を待つのか吾亦紅 艸花
穏やかに本に向かえる夜は長い ちびまるこ
日焼け跡消える頃には終わる恋 かっぱ堂
秋高しブドウの種を吐き捨てる 上原稔
馬肥ゆる秋にはつらいダイエット 白峯
木枯らしが舞って枯葉が旅に出る 高橋 太一郎
沸点の恋を冷ました秋の風 汐海 岬
薄紅に染まると秋の顔になる みぢんこ
夏バテを引きずったまま秋の入り 大田はる
松茸の季節ですねと言ってみる 甲斐 良一
耳鳴りが秋の虫へと鳴き変わる 野川 清
塗り替える絵の具足りない秋の筆 光風雫
夏痩せができないままに秋が来る 草野たえ
大人の恋秋の深みに堕ちてゆく じんじん
秋風のひとしお沁みる左遷の地 澤磨育
新米と栗のコラボがうま過ぎる 彦翁
夏冬に押され小さい秋になる 文海胡
詠めそうでよめない一句秋の季語 小春日和
クーラーをピタリと止めた秋の風 茨木菊太郎
言い足りず言い過ぎて秋深くなる かきくけ子
豊作の稲田隣は荒廃地 望月 弘
活躍の蝉をねぎらう虫の声 よしひさ
暫くは秋の中にて浮遊する 伊東志乃
秋の空心変わりに激しすぎ なるちゃん
夏バテを二度寝で癒す長い夜 えみゆ
万人に好かれて得な春と秋 春爺
秋風に背中押されてハイキング 陽香
こしひかり猛暑にめげず黄金色 フクダカズト
真夏日を追い出し秋よよく来たね 若山貞二郎
暑かった分だけ秋がいとおしい 本間千代子
積み上げた文庫に秋の光さす ひでみ
櫛の歯に白髪絡まり秋を知る 白峯
老農の自負新米が語りだす わこう
はや寒の文字が混じって秋便り 城戸幸二
失恋も未練も愚痴も秋の空 氷川の杜
夕焼けの空に溶け込む赤とんぼ 井澤壽峰
北海道バスが混みあう秋旅行 庄次
この歳で女心に賭けてみる 松田龍彦
天高く値段も高い秋の味 小岡 俊雄
新米が届いて父の秋を嗅ぐ すずき 善作
就活の虫ころころと鳴いている 鹿野 太郎
「あまちゃん」が完結をして秋迎え 久世高鷲
秋までが長かったなと振り返る 小田慶喜
江戸川柳知って深みに嵌まる秋 白洞
老いの身を金木犀が惑わせる はぐれ雲