編集をやっている柳誌で時事川柳の選者も務めている。かなり高齢の方も毎月欠かさず投句してくれるので有難い。その高齢者(多分八十代の後半の女性)から、時事川柳を投句するお陰で、新聞を読むようになりましたというお便りがあった。本来は新聞を読んでいるから時事川柳が出来るわけで、時事川柳をつくるために新聞を読むというのは順序が逆のような気もするが、それはそれで時事川柳を作る上の副次的効果かもしれない。九十近いお婆さんが、新聞の政治経済面を読みながら首を捻っているところなど、微笑ましい光景である。
時事川柳は、その時々のトピックニュースを575にして詠むものだ。だからニュースに敏感でなければいけないのだが、ともすると新聞の見出しのようになってしまいがちだ。時事川柳も川柳の一ジャンルだから、時事という材料を川柳風味で仕上げて欲しいのだが、これが中々難しい。ついつい詠んだままを575にしてしまいがちなのだ。一読ポンと膝を打ったり、クスリと笑えるようなワサビの利いた句が出来ればしめたものだ。
ゴーストが書く幻のシンフォニー 三猿
偽物のベートーベンで話題をさらった佐村河内事件を扱ったものだが、同じテーマでもっと上手い句があった。
第九まで作らぬうちに嘘がばれ 迷歩
札幌川柳社の吉井迷歩さんの句である。同じ材料を扱っても、どれだけ「上手い!」と唸らせる句が出来るか、これが調理人の腕の見せ所なのだと思う。
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