2023・07
2023年7月の時事川柳入選作品
選考/中前棋人・2023年7月募集分
今年また焼ける八月十五日 大田 雅子
敗戦から78年経っても八月十五日は冷めることはありません。(くしくもといっていいのか)WEB時事川柳の公開日も十五日です。この句を頭に置きながら、熱い黙祷をしたいと思っています。
多様化に妻の放屁を問うてみる 八木 五十八
何事も問い直すか問い直さないか、その姿勢が問われている時代だと思います。(多様化に懸念を持つ向きもありますが)その流れはもうだれにもとめられない。
人間も首輪している犬が言い にった みさ
その取り巻き(プーチン大統領)のイエスマンたちは犬にもこう見られている。ただこれは他所事とも言えない。権力(者)の周りには首輪をつけた方もいるもんです。
独裁の臆病ささえる核ボタン 松村 しげる
ミサイルに脅かされる傘の中 川名 洋子
異次元の意味が整う二刀流 せきぼー
権力の維持へ総理の腹話術 竹中 正幸
車検より社検をしたらビッグボス 水谷 裕子
七夕に世界平和と書く不幸 河内 菜遊
介護者も介護保険を使う歳 秋思 ひび
世の中のてっぺん獲るのはよく寝る子 河村 けい瑚
お遊びに将棋も入れる幼稚園 福村 まこと
紙よりも軽い恋って恋ですか ぱせり
新社長車台番号いっしょです 坂田 康雄
雷も疲れてやっと梅雨明ける 松本清展
風鈴も無口になったこの猛暑 山登爺
海開きカメラオヤジも監視され もう六爺
墓参りご先祖様も暑かろう 長谷川 桜道
デビューなどしたくはないと蚊のベビー 関口 行雲
おさな児も盆に金魚の墓参り 福村 まこと
スコールで冷えぬ日本に誰がした 入り江 わに
カーテンをハードタイプに変えました 柊 無扇
夏まつりストレッチャーが闊歩する 小原  庄助
助っ人を呼んで延命する祭り 橋倉 久美子
鮫じゃなくイルカを監視する浜辺 隼人
ユピテルの力借りたい空模様 竹平 和枝
外苑の 再開発で いちょう泣く 梁川 鉄太郎
タイトルをみなで分け合う相撲界 さだえばあちゃん
言うだけは言ってやったとプリゴジン 荘子 隆
影武者も仲良く励むダイエット 加藤 胖
米国の市街地飛ばぬオスプレイ かきくけ子
核持つと言えば終わりが来る日本 春日 綾乃
聞く耳はどこへ隠した再稼働 上村夢香
年金の防弾チョッキ剥ぎ取られ 砂田 達成
博覧会テントだったらまだやれる 東 定生
ポイントを貰って返す背番号 齋藤 光子
骨太は借金だけという予算 木村 行吉
十八で政治の嘘を教えられ 翔のんまな
物言えぬ魚にミサイル汚染水 すみれ
ばあちゃんも見ている将棋大リーグ にった みさ
万博で誰も建てないパピリオン はぐれ雲
何してる太陽の塔渋い顔 船岡 五郎
野次馬の潜水艇は高くつく 龍せん
沈黙を責められているゲルギエフ 岡 遊希
理想家のグレタに迫るリアリズム はなぶさ
AIが作句選者とまかり出る 大浦 福子
歌舞伎界不遜な猿がぶち壊す 春爺
チャットですGPTは壁に耳 えみゆ
保険金ゴルフボールで叩き出す 羽馬 愚朗
AIもときにはへそを曲げるらし 渡辺 世潮
選挙カー忙しそうに走るだけ 真田 義子
ラケットの夢を叶えた車椅子 大木 安沙
氷柱の横で読経の御住職 長谷川 桜道