音 |
課題「音」入選作品 |
選考/本田智彦 2017年5月募集分 |
音までもおいしい讃岐うどんです | 藤井智史 | |
香川県の讃岐うどんは有名、食事のときは音をたてないのがマナーですがうどんを啜るときは自然と音がでます。落語にもよく出てきます。 | ||
ゴクゴクと飲む真夏日の石清水 | 西山竹里 | |
上五のゴクゴクがいかにも夏ノドの乾いたときに水をのむオノマトペ。さぞおいしかったでしょう。 | ||
雑音に慣れて静寂怖くなる | よもやま話 | |
都会生活に慣れた人は静かな環境で過ごすと何となくそんな気持ちになります。 | ||
音読みの名前が増えていく時代 | 小田和子 | |
同窓会声は高いし耳遠い | 井戸野蛙 | |
白熊が怯える氷融ける音 | 太秦三猿 | |
美しい鈴にあこがれ風が吹く | samu | |
夏花火ビルに隠され音を観る | 柳川ひょうご | |
雑踏の時代の動く音の中 | かきくけ子 | |
音沙汰がないかとポスト覗き込む | 沢田博昭 | |
僕にしか出せない音がきっとある | 加藤 当白 | |
風の声水の音呼ぶUターン | かきくけ子 | |
分校のオルガン春の音で鳴る | あそか | |
銃声が止むことを待つ万国旗 | 西山竹里 | |
音も無く忍者の如く老いが来る | 岩窟王 | |
笑顔でも本音隠した腹の底 | ミー子 | |
確かなる心音届き母になる | 酒井映子 | |
寝ころべば微かに息の音がする | 齊藤大柳 | |
EUの離脱知らすかビッグベン | 高橋 太一郎 | |
靴音を聞き分けポチは身を正す | 西井 茜雲 | |
いるだけでせかせか音がする夫 | アズスン安須 | |
拗音を一字と数え指を折る | 原田正士 | |
銀行帰り後ろの音が気に掛かる | 上山堅坊 | |
ご機嫌がわかる帰宅の靴の音 | 城戸幸二 | |
音のない世界で独り打つ点字 | じんじん | |
チョイ呑みの猪口へ本音が少し落ち | 啓 坊 | |
音痴でも下手の横好きマイク持つ | ねこママ | |
人間の欲が数える札の音 | 美和山吹 | |
お静かに注意するにも命懸け | 竹中正幸 | |
復興の槌音ひびく三陸路 | 佐藤信則 | |
人生の音を楽しむ五七五 | 小田虎賢 | |
着メロが山頂までも追ってくる | 岡野 満 | |
音信が途絶え絶縁した故郷 | 松本清展 | |
心身が洗われてゆく滝の音 | 大西重郎 | |
音沙汰がないと思えば訃報来る | はぐれ雲 | |
音のない世界を泳ぐ深海魚 | 荘子 隆 | |
子が育ち家から音が消えてゆく | 上原 稔 | |
『卒業』は心に響く音でした | 龍せん | |
言い勝った後に茶碗の割れる音 | 西山竹里 | |
ひそひそを聞こえぬ振りが出来る歳 | 高橋 太一郎 | |
朝まだきポンと知らせる蓮の花 | 竹中えぼし | |
鍵かける音で気づいた子の成長 | アズスン安須 | |
他人よりもっとうるさい独り言 | いいだひでき | |
鉛筆の転ぶ音する試験場 | 岡田淳 | |
音もなく体に忍び込む加齢 | 竹中正幸 | |
パソコンで虫の音学ぶ児童たち | 陽香 | |
高い補聴器余計なことが良く聞こえ | えみゆ | |
ぎゅぎゅぎゅっと絞る音する消費税 | よもやま話 | |
北の空本音を探る星条旗 | 福田 和人 | |
粥啜る音に生きてる証しみせ | 日比日踊 | |
雷が鳴っても放さないマイク | 丸山繁爺 | |
音痴でも風呂で歌えば名演歌 | 沢田正司 | |
生活のリズムを作る電子音 | 美和山吹 | |