Welcome to Senryu Kainosya
 川柳甲斐野社は、甲府・峡東地区を中心に、県下の各吟社有志の後援を得て、昭和55年4月に創刊し、このほど250号を迎えた。
 その目的は「庶民文芸としての川柳を愛好し、研修を深めると共に、よい川柳の普及と新人育成を目指し、又、各吟社および柳友との交流もはかり、みんなのための柳誌としてひろく明るく楽しく進む」という趣旨で歩んできた。甲斐野の作風は、所謂、中道を標榜し今日に至っている。これからもこの道を指向して行く。
 誌名の由来は「甲斐の武田信玄」というように「甲斐」は山梨を表わし、「かいの」と読む。表紙の絵も当初は名産の葡萄で、その後、富士山に替えたが、いずれも評判がいい。
 選者は14名の内、毎月2名宛、交替にて雑詠作品の選に当たる方式を採っている。題詠一題を毎月募集し、又、月例句会と、年1回甲斐野県下川柳大会を開催している。
 毎年9月には、山梨の柳祖とも言うべき、初代・篠原春雨、二代・中沢春雨両師の業績を称え、敬慕の念を表わすために「川柳春雨賞」作品を県下より募集、優秀作品(作家)を表彰する。秋・10月には、春雨両師の墓参句会を催すことを恒例としている。
 毎月の柳誌発行は、発行人・鈴木東峰、編集人・原田建二、編集室・井上信太郎、会計室・坂田よしえ、四名の代表同人ならびに15名の編集同人の手による。

(鈴木東峰)

「川柳甲斐野」
発行人 鈴木 東峰
編集人 原田 建二
■体裁ほか
 A5判 約40頁
 誌 代 年額8,400円(1部)
 後援同人費 年額14,000円(2部)
 同人費 年額14,000円(2部)
 毎月1日発行
■主な内容
甲斐野集 各地句会 川柳あしあと30句
課題詠ほか
天翔ける夢を鶏失わず 加藤 當百
ふるさとの絵には枯れない花がある 玉島よ志子
受けて立つ肚が決まって渡る橋 中込 粋柳
耳栓を外して聴こう好い話 古屋 一福
空も野も子供の色になって春 近藤 紫風
一本のワラあるうちは諦めず 加藤 心美
群狼に安い首輪がかけてある 佐藤 圭柳
根の浅い杭が背伸びをして困る 中村 雲龍
作業場の父の後ろに子が居ない 有泉 湖柳
旗色は読まず男の道を決め 井上信太朗
トルソーが手足探しの旅に出る 飯島 紫峰
這い上がる掌は一粒の麦掴む 向山 あや
特攻の町観光バスで行く平和 諏訪 鬼生子
子に残す蔭日向なき母の辞書 坂田よしえ
何処までが自由 山頭火の小径 寺本 照枝
原爆忌ドームは癒えぬままの貌 深沢 染峰
汗の道 節くれている懐古録 山寺 美琴
幸せな切符 夫婦の樹が繁る 渡辺よし美
戦の血もう吸わせまい此の大地 井上 静詩
音信のない日金魚の緋に和み 佐野 越子
友癒えし日へ美しき逆さ富士 本田千恵子
春の陽にキラリ真珠のはにかみ 野村 敏子
ペン持てば気軽に嘘を書くあなた 千野 典子
未来図を見せてはくれぬ走馬灯 斉藤 栄泉
会社では下積みだから住む二階 斉藤 一峰
相槌を打てば冷たい眼と出合い 小原 千春
矢も楯もたまらず母の応援歌 渡辺 鶴恵
女の火抱いて浮き橋そっと踏み 土屋やすよ
ガラス越しの愛を信じた冬のばら 原田 健二
矢文など飛ばせてみたい春の恋 鈴木 東峰