Loading...Loading...

本著が出版されたのが、令和2年(2020)5月30日。
東京都知事選挙の直前だった。
その都知事選を前に、小池百合子都知事候補の学歴詐称が問題となり、暴露本のような扱いをされたのが本著である。そうしたPR効果もバッチリあって、ノンフィクション作品としては異例の20万部を超す売れ行きを挙げた。
《「芦屋令嬢」「カイロ大首席卒業」と称した看板を武器にキャスター、政治家へ。政界再編の中で政党を渡り歩き、環境相、防衛相を歴任、いま首都のかじ取りを担う。》
……等々、出版社はPRに余念がなかった。
しかしながら小生の関心は、別のところにあった。
ズバリ言えば、彼女のアラビア語の実力。それを知りたかった。
著者は言う。
「アラビア語の口語すら話せなかった小池が、文語をマスターしてカイロ大学を4年間で卒業する。そんなことは”奇跡”だと嫌味を込めて語る人は少なくない」と。
そう、この点にこそ小生の関心はあったのだ。
ご存じない方が多いと思う(小生もじつはその難解さを耳学問で聞いた程度)ので、アラビア語の周辺を少々解説しておこう。
《カイロ大学はエジプトが英国保護下にあった1908年に創立された名門国立大学。エジプト人だけでなくアラブ周辺諸国から優秀な留学生が集まってくることで知られ、入学後の進級試験は大変に厳しいといわれる。
何よりも学生を苦しめるのは、大学で使われる言語である。
エジプトでは現在も、口語(アーンミーヤ)と文語(フスハー)が明確に分かれており、日常では口語が使われている。
一方、文語はコーランに典型的な四世紀頃から続く古語で、アラブ各国のインテリ層の間では、この文語が共通語として使用される。
ニュースや大統領の演説には、格調高いこの文語が用いられ、書物や新聞も当然、文語である。カイロ大学の教科書も、教授の講義も文語でなされる。文語は大変に難解で、エジプトの庶民階層に非識字者が多い理由もここにある。
西洋社会におけるラテン語、日本で考えるなら漢文にあたろうか。》
その文語のアラビア語の、しかも抽象的で専門的な用語が頻出する言語環境のなかで、彼女はホントに卒業が出来たのだろうか? (「首席」卒業は全く信じていない。)
著者に言わせれば、小池百合子のアラビア語の実力は中学一年生程度。英語で言えば、“This is a pen.”程度だったという。
だとすれば、「芦屋の令嬢」で「カイロ大首席卒業」、「英語はもちろんアラビア語を自由に使いこなせる才女」などと、ウラを取らないで売り出したマスコミの責任は大きい。

 



この投稿を読んで「いいね」「参考になった」と思ったらクリックをお願いします。
なお、Facebook、Twitterなどのアカウントをお持ちの方はそちらをクリック頂き、また、「ひざポン」ボタンもクリックください(ひざポンは無記名ボタンですのでお気軽にクリックください)。

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Post Navigation

Copyright All rights reserved. SHINYOKAN PUBLISHING illustration by Nakaoka.K