父が転勤族だったので、生まれた時から何度も引っ越しを繰り返していました。ずっと変わらないのは、山と川に囲まれた祖父母の家のみ。両親の祖父母の家が車で10分の距離にあったので、里帰りするにはとても便利でした。
小学校高学年になって、現在の千葉県に落ち着いたものの「故郷はどこ?」と聞かれたら、しばらく祖父母たちの住む兵庫県とこたえていました。子ども心に違和感があったのです。
長い年月が過ぎ、最近になって、やっともう一つの故郷が千葉だと思えるようになりました。
通学や通勤で毎日通っていた道端に咲く花や樹木の季節の移ろいに、敏感になったからかもしれません。当たり前のことですが、大人になって分かったことがたくさんあります。
「ふるさとはどこ?」と聞かれる度に考え込んでいた自分に、ようやくサヨナラできそうです。