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仙台市内から10Kmほど東へ行くと多賀城市に至ります。

ここに多賀城と呼ばれる奈良時代の国府跡があり、これが市の名前の由来となっています、

その多賀城の南門近くに「壺の碑(つぽのいしぶみ)」と呼ばれる国指定の重要文化財があるのですが、かの松尾芭蕉も「奥の細道」の旅でこの地を訪れ、この碑を観てその感慨を記しています。

それによれば、碑の周辺は木々がうっそうと茂り、碑も土や雑草に埋もれていたようです。「これが、幾多の歌人が歌枕に詠んだ壺の碑か?それにしても侘しすぎる。」と芭蕉が感傷的になったと書いています。

ちなみに、壺の碑の歌枕は、「遠くにあること」とか「どこにあるか分からない」とかの意味に用いられたもので、和泉式部とか源頼朝など、たくさんの有名歌人の歌に登場しているようです。(引き続き中段もご覧ください)

壺の陽(多賀城碑)祠の中にあります。

 

 

第119回

川柳マガジンクラブ仙台句会

 


 

開 催 日   令和1年7月20日(土)

開催場所   仙台市太白区中央市民センター

参 加 者   

佐藤和子さん、西村晴子さん、笹美弥子さん、

矢口瑛香さん、木立時雨さん、柳川ひょうごさん

木田比呂朗さん、佐藤安子さん、佐藤岩嬉さん、

橋爪志津代さん(初参加)、竹井としおさん(初参加)

島文庫、の12名

 


 

第1部 「 句 評 会 」

 

定例の句評会からの報告です。

 

〇 軽快なリズムにのって弾む息 

■句評/作者はどんな状態なのでしょう?ダンスとか、運動とか、散歩とか?いずれ有酸素運動でしょう。説明句なのに説明不足、もう一つ何か情報が欲しいですね。

■作者「晴子」/確かに説明に終わっていますね。「軽快なリズムジルバの弾む息」ではどうでしょう?

 

〇 一片のティッシュが海を温める

■句評/温暖化のことでしょうか?それにしては「温める」では語意が優しすぎますよね。ひとひらのティッシュもね。簡単そうで難解な句です。

■作者「文庫」/何気なくシュッ、シュッと使っているティッシュ一枚だって、素は樹木。地球温暖化の一因なんだと言いたかったのですが、舌足らずだったみたいです。

〇 体重は五割増し背は二分縮み

■句評/5割増に2分引きの対比が面白い。

■作者「和子」/私がそうなんです。体重は増えても背は縮むんですね。そのまんまで何の捻りもなくてすみません。

〇 饒舌に元横綱の解説者

■句評/元横綱は、稀勢の里のことですね。現役を退いたら、エッ!こんなに喋るのって位よく喋りますよね。それに、話もうまい。饒舌がぴったりの形容です。上五の助詞の「に」も違和感がない。「な」としたくなるのにね。

■作者「としお」/現役当時はなかなか本音が云えなかったのでしょうね。稀勢の里は饒舌だったんですね。解説も上手いし、声も明るい。よほど苦しかったんですね。

〇 半世紀歴史となったおれの癖

■句評/半世紀、歴史、という何れも壮大なことに対し、癖という私的で小さなこととの対比が面白い。半世紀はともかく、歴史は言い過ぎではないですか?歴史に残る癖って、どんな癖だろう?興味津々。下五の「おれ」は必要なのかな?

■作者「時雨」/ちょっとした癖も50年も続けば一つの歴史?と思ったのです。最初は自分史とも考えたのですが、歴史の方がユーモラスかと思いました。

〇 今宵もまたサザエさんちでホッコリす

■句評/上五の助詞「も」は省略可。句のリズムを悪くしている。「サザエさん」のテレビアニメの放送を見ていての心象ですか?確かにホンワカしますね。全体の句の調子に対し、下五の「す」は違和感があるね。「と」とか「あったまる」とかの方がいいのでは?

■作者「志津代」/私、サザエさんが好きなんです。夕方のテレビアニメではなく、寝る前にサザエさんの4コマ漫画を読んでから寝ると心も温まり、グッスリ眠れるのです。

〇 八十路でも人柄の出る楷書体

■句評/文字に人柄が出るとよく言われますが、あえて、八十路の楷書体としたのは何故でしょうね?楷書ですから、几帳面とか、真面目と云うことでしょうか?

■作者「比呂朗」/八十代になっても精力的な人もいれば、すっかりくだびれてしまっている人もいます。それがその方の書く文字にも表れるんですね。

〇 草むしり私の好きな時間帯

■句評/草むしりって大変ですよね。人の嫌がる仕事が好きとは素晴らしい。時間帯だから、日課になっているのでしょうか?中七の「私」は必要なのかな?

■作者「美弥子」/草むしりが好きなのは、その間は何も考えず、無心になれるからなんです。(そう言えは、禅宗のお坊さんの修行の一つに草むしりがあると聞きました)

〇 模様替えガラリとしたい永田町

■句評/明日は、参議院議員選挙の投票日でしたね。議員さん達をガラリと一新して衣替えしたいということですね。衣替えとガラリは重複していませんか?「ガラリ」ではなく、衣替えしてカラッ(乾燥)としたい、としても面白いのでは?

■作者「安子」/選挙のたびに同じ顔触れで、結果もさほど変わり映えもしない。改憲とか、原発とか大変な問題が目白押しなのに、このままでいいのかな?

〇 わが家では三度三度のバイキング

■句評/朝食に食べたメニューで昼食、昼食に食べたメニューで夕食とか?三度三度のバイキングとは愉快ですね。中七の助詞について「の」と「が」で議論、「の」がベストということに。

■作者「岩嬉」/一人暮らしの食事は、冷蔵庫に入ったタッパーがバイキングの料理で、メニューとか味とかは別にして、システムは帝国ホテル並みなんです(笑)

〇 平成令和色々あった上半期

■句評/「上半期」は時の流れを感じさせないので「6ケ月」ではどうだろう。

■作者「ひょうご」/今年に入って、まだ半年なのに、元号が変わっただけではなく色々なことがありました。

〇 存念が闇にしずもり刻刻む

■句評/作者のある思いが暗闇に沈んでゆき、時を刻む音だけがするということでしょうか?内容もリズムも実に詩的ですね。寂寥感を感じます。

■作者「瑛香」/真夜中に目覚めた時の一句です。色々考えてしまい、なかなか寝付くことが出来ませんでした。

 


今月の学び!

〇私とか僕は、省略可!

自身のことを川柳に詠む場合は、あえて私とか、僕とかの表記をしなくとも読者はそうだと分るから省略可能。特に誰々との表記がなければ、一人称(私、僕)の句と読むのが原則。


祠の中にある碑です。

この碑の正式な名称は「多賀城碑」で、別名を「壺の碑」と呼んでいるのですが、明治から平成の初めまでずっと真贋論争が続き、平成9年、碑を囲うお堂の修復工事の際に行われた碑周囲の発掘調査の結果、真正なものであることが確認されたものです。

 

碑の頭部には「西」の文字が1字刻まれ、その下に、都(平城京)、常陸国下野国靺鞨国、蝦夷国から多賀城までの距離が記してある。

また、その下に多賀城が「大野東人によって神亀元年(724)に設置され、「恵美朝狩(朝によって修築されたと記してあるようです。

碑が建立された年月日は、天平宝字6年(762)12月1日で、多賀城の修築記念に建立されものであることもわかります。

こんな身近なところにも歴史的遺産があるのですね。

 


 

第2部 「 句  会 」

 

今月の宿題と選者、結果は次の通りです。

 

◎宿題『拡大する』    島文庫 選

・佳作

 葉のうらを拡大してみた顕微鏡  晴子

 図面拡大やっとわかった境界線  瑛香

 ネット拡大どこまで続くぬかるみぞ 美弥子

 拡大鏡の挑戦受ける顔の皺  志津代

 皺の分広い皮膚から乾いてる  時雨

 新聞に拡大鏡をそっと添え  安子

 ほっと胸撫で下ろす廃炉拡大 安子

 踊らされハズキルーペを買ってみた  和子

・秀句

 どさくさにまぎれ辺野古は陸地増し としお

 ここだけの話尾ひれのおまけつき ひょうご

 切り捨ててだんだん敵が増えてくる  岩嬉

・特選

 サバを読む参院選のアンケート  比呂朗

・軸吟  3Kの軒を外国人に貸し  文庫

 

◎宿題『無論』 佐藤岩嬉 選

・佳作 

 米軍の基地を吊るして安保柿  文庫

 無論行く誰に入れよか迷いつつ  和子

 デザートは別腹入りと決まってる  志津代

 キャッシュレス生きるためには馴れなくちゃ  比呂朗

 第九条無論死ぬまで守り抜く  安子

 独裁を許すも無論選挙民  文庫

 好き嫌いなく無論残しませんよ  晴子

 ランチ会声が掛かれば無論行く  和子

・秀句

 分かるでしょ聞くだけ野暮よウフフフフ  ひょうご

 訳はどうあれ暴力だけは許さない  安子

 言うまでもないよと笑う君が好き  美弥子

・特選

あの人の名前を書いて西瓜割り  時雨

・軸吟  免許返上脚と腰にも声をかけ

 

7月句会の風景です

 


 

 8月句会の開催予定とご案内

 

開催日時  令和1年8月17日(土) 午後1時から

開催場所  仙台市太白区中央市民センター 3階

宿  題  「参考書」2句、 「美味しい」2句

会  費  会員1,000円、 非会員1,200円

 

7月の句会終了後に「暑気祓い」を開催します。

 会場は、「ふじやホテル」市民センターより徒歩1分!

 会費は、3,000円です。

 

9月度の句会は「9月21日(土)」で、

 宿題は「注ぎ足す」と「かつ丼」です。

 


あなたも川柳句会を体験してみませんか?

お試しの参加費は、無料です。

ご参加をお待ちしております。

※句会に参加ご希望の方は、下記のホームページから、

必要事項を記入してお申し込み下さい。

https://shinyokan.jp/senryuclub/sendai/



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7月仙台句会(第119回)”のコメント欄です

  1. take on 2019年7月27日 at 7:35 PM :

    文庫さん、こんにちは♪
    いつもお世話になっております。
    真夏の仙台句会、賑やかに開催され嬉しいです(ノ´∀`)ノ
    お世話役はじめ、ご参加の皆さまに感謝しております☆
    これからもっと暑くなりそうですね。
    夏バテにはどうぞお気をつけください。

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