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   川柳マガジンクラブ東京句会 第111回例会 

第111回川柳マガジンクラブ東京句会が平成28年2月14日に東京都文京区「駒込学園」にて開催されました。出席者はお世話役の植竹団扇、松橋帆波さんと大谷仁子、小野六平太、加藤品子、菊池順風、佐道正、関玉枝、高田以呂波、唯夕、辻直子、成島静枝、本間千代子、丸山松枝、宮本游子、横澤七五の各氏及び星野睦悟朗の17名、欠席投句は城こ内光子、長谷川渓節、丸山芳夫各氏の3名でした。当日の題と選者、入選句は次の通りです。

なお、席上で成島静枝さんから出席者に故難波ひさしさんの「古川柳鑑賞」を野田川柳会有志が一冊にまとめた本「難波ひさしの江戸鏡」をご恵贈いただいた。

 

Ⅰ、自由吟互選と句評会

句の上の数字は3句ずつ選んだ互選の得票数です。特に活発に意見が出た句等についてはその内容を書き添えます。またゼロ票句は佐道正さんと松橋帆波さんがコメントしました。発言者の前に?をつけたのは、疑問等があって発言した人です。

食い意地と理性が競うバイキング  渓節

  荒屋に昔語りを置き忘れ      游子

  大根の重さにへばる古大根     仁子

  帆波「積んであるのかなあ。買ってきて古くなったのかなあ」

正「古大根は女の人の足でしょう」(笑い)

千代子、直子「足のことですよ。自分の足のことですよ」

作者「今の大根はとても大きくて重く、買って帰ったら次の日足が痛かった」

・・・上の大根は大根、下の大根は自分の足でした。

1 真っ直ぐに育つと碌な事がない   芳夫

  以呂波「良いことと悪いことをくっつけたのが面白い。真っ直ぐ過ぎて世の中を勉強しそこなった

ということでしょう」

?正「どんな「碌なことがない」か知りたいです。碌なことがないのは自分か親か」

作者「かなより漢字で書く方が真っ直ぐな気がすると思います。ボンボンのことです」

1 暖冬がこんなところに爪の伸び   静枝

  六平太「なんとなく面白い」

帆波「手を使うと爪が伸びます」

作者「暖冬で庭を見ると草が伸びています。ふと手を見て句が出ました」

1 島唄を唄うしかない琉球史     六平太

  七五「沖縄の現状ですね。展望が開けません」

帆波「島唄は村落共同体の唄ですね。カンカラという楽器を思い出しました。不信感が根強い

ですね」

作者「薩摩に支配されるまではのんびりしていたが、搾取されてきた。今もそんな感じ。昔から

損な目に合っている」

1 あと五分温いふとんへもぐり込む  玉枝

  ・・・よくあることのように思いましたが、作者は大学生の孫を預かっていて、その子をボート部

の朝練に出すので、毎日五時~五時半に起きて奮闘されている、と聞きみんな納得しました。

2 鍋料理昔ばなしがしたくなる    品子

  ・・・選んだ唯夕、正だけでなく、みんなが頷く句でした。

2 地球よりもっと危ないのは人だ   直子

  七五「テロのことでしょう」

仁子「温暖化とか問題があっても、そこに人間の恐ろしさがあります」

?睦悟朗「地球と比較したのがおかしい」

?六平太「地球にとっては人間なんか何でもない」

?唯夕「地球より、がなんとなく分からない」

2 一寸だけ春お裾分け花屋さん    順風

  ・・・選んだ仁子、松枝や正は可愛い句に共感したようでしたが、作者として順風さんが名乗り出

て笑いを誘いました。

作者「かわいらしいの評価だったのですが、近くの花屋さんに蝶や蜂が飛んできていました」

2 迷子になるよもうお帰りとチンドン屋 団扇

  ・・・チンドン屋という言葉は、使ってはいけないことになっていますが、作者は承知で使った

そうで、チンドン屋を褒めているのでよいかなと思っていますとのこと。

2 母と妻秤にかけてそのまんま    唯夕

2 維持不得手手荷物限度一個迄    伊呂波

  直子「2個ならともかく3個だと1個何処かへ忘れます」

仁子「私もそうです。だからリュックにしています」

作者「手荷物が苦手で入るだけリュックに入れています」

3 それなりの歴史があってゴミ屋敷  正

  品子「私もこんなところがあります。物が捨てられません」

順風「終活をやっていますが、自分が死んだときはこんなかも」

玉枝「私は自分のものは捨てますが、相方のものは捨てられません」

帆波「フランス人は服を十着しか持たないという本が売れているのは、日本人は無駄遣いが多い

からでしょう。それにしてもゴミ屋敷は何がきっかけでああなったのでしょう」

団扇「ホームレスが本当に欲しいものは何でしょう。下着やタオルかしら」

作者「最初は新築。森鴎外の家もそんな感じだったそうです。捨てられない性格でしょう」

3 ジャンケンポン愚直のグーが出てしまう 千代子

3 逃げ足が遅くて運が向いてきた   松枝

  千代子「春らしい良い句」

游子「逆説的だけど面白い。株などでもこういう人がいます」

正「川柳的でいい」

帆波「ひと回りして運が回ってきた」

団扇「早く逃げすぎると卑怯者と言われたり。すばしこいのはよく言われない」

作者「こういうことが本当にありました。足が遅くて先生を怒らせたがテニスをやったりして何

も言われなくなりました」

4 入棺の体験してる予習好き     光子

  ・・・本当にこういうことをやる会があるし、テレビでもやっていたそうです。

4 加齢にはプラス思考を処方する   睦悟朗

5 毒だから一度試してみたくなる   帆波

  品子「逆転の発想が面白い」

玉枝「だめだと言われるとちょっとやってみたくなる」

睦悟朗「面白い」

千代子「清原を連想しました。試すのが一番怖い」

唯夕「自分の試したいが人にも試してみたい」

作者「ちょっとか一度か迷った。だめと言われるとやってみたくなります」

6 出不精になって言葉が尖り出す   七五

品子「出過ぎだと言われていますので、出られなくなるとこうなるでしょう」

睦悟朗「個人的に良く分かります」

静枝「主人が透析をやっていて出られないので尖りやすい」

以呂波「認知症になりやすいのは出不精、孤独。言葉がきつくなります」

順風「犬を籠に乗せて散歩している人がいます」

唯夕「一方が留守番が続くとこうなる」

作者「自分のことです」

 

Ⅱ、宿題は「雪」で植竹団扇さんの選でした。

選者の弁「この題はいろいろ作ることができるので迷ました。佳作は十五句選びました」

「佳作」

沖縄でなかなか飲めぬ雪見酒      正

通学の児らへ雪掻き念を入れ      睦悟朗

遠ざかる背中が似合う細雪       直子

奨学金借りて借金雪だるま       渓節

雪雲が小躍りさせたスキー場      静枝

雪模様おんなの罪が深くなる      品子

足跡を残す程度の雪がいい       直子

雪の朝一番乗りの靴の跡        玉枝

盟友の懺悔が通夜を雪化粧       七五

春が来てそっと身を引く雪だるま    正

暖冬ですぐ泣きべその雪だるま     睦悟朗

長靴を探してるうち雪が止み      帆波

雪の日に雪見障子が上がらない     松枝

かまくらから餅はいかがの雪明かり   順風

サムライの心で座る雪見酒       品子

「秀作」

雪洞にいざなわれ着くお茶の席     以呂波

雪隠と気取ってみたが通じない     以呂波

政界の汚れ隠せぬ春の雪        千代子

「特選」

白星は雪駄の音も心地好い       以呂波

「軸」

5センチは積もった幅は判らない    団扇

 

Ⅲ、五分間吟〕

最後に、宿題で特選だった高田以呂波さんの出題及び選で五分間吟をやりました。題は「月」でした。

「佳作」

ムーンリバーラジオの昭和耳にあり   品子

初デート遠回りする月明かり      順風

遠まわりするには不気味赤い月      団扇

朧月すれ違う女皆美人         品子

毎月の一日だけは気も新        唯夕

月曜の朝が一番眠い時         正

月謝では食べて行けない英会話     七五

月末と分かる夕飯鍋料理        静枝

月払い年払いより高くなる       正

満月へ頻尿だって悪くない       千代子

「秀句」

ひと月の長さだんだんちぢんでく    仁子

月満ちて育児休暇の届け書く      睦悟朗

満月がビルの谷間にかしこまる     玉枝

「特選」

欠けながら月は何かをあきらめる    直子

「軸」

冴え渡り自分の影がこわくなり      以呂波

 

Ⅳ、次回について

日時 : 平成28年3月13日(日)   12時30分開場  13時開始

事前に自由吟を1句お送り下さい。(既発表句でも可)

㋐新葉館宛の場合

新葉館のホームページをご覧ください。

㋑松橋帆波宛の場合

郵送 〒125-0061 葛飾区亀有1-13-1-407   Fax 03-3604-7328

メール honamikp61@gmail.com

場所 : 駒込学園

内容 : ① 句評会

② 句会

宿題「テスト」3句(句箋は当日)

③ 時間があれば席題で5分間吟など

Ⅴ、4月句会

日時 : 平成28年4月10日(日)

宿題 : 「全力」



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