川柳マガジンクラブ十四字詩句会 第39回例会
川柳マガジンクラブ十四字詩句会第39回例会が3月25日東京都北区王子「北とぴあ」にて開催されました。出席者はお世話役の村田倫也さん及び五十嵐淳隆、植竹団扇、佐藤潤子、沢辺祥子、志田則保、白子しげる、戸田美佐緒、早川若丸、福島久子、布佐和子、松田颯秋の各氏と星野睦悟朗の13名でした。
最初にお世話役の村田倫也さんから、この会は十四字詩の基本さえ守れば、どんな内容でも構わないので、革新的な句も出してください。一年ほど前から東京川柳会に入会して革新川柳を経験しています。そこで伝統川柳と革新川柳を10句ずつ対比してみました。と20句の紹介がありました。以下に一部を記載します。
一、一読明快好む 伝統
二、理屈を捨てて踊る 革新
三、殻を抜けると迷う 伝統
四、同じ答えを嫌う 革新
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十七、日常瑣事を拾う 伝統
十八、意味求めると困る 革新
十九、絵の見える句を好む 伝統
二十、如何物食いが好きな 革新
当日の句評会の自由吟及び宿題、席題(五分間吟)の入選句は次の通りです。
Ⅰ、句評会「自由吟」
句評会の互選は◎(2点)1句、〇(1点)1句、△(疑問、-1点)1句を全員が選句しました。句の頭の数字は、互選で1点以上獲得した句の、得点です。
夢の中しかなれぬフリート 則保
・・・フリートの意味が分からなくて参加者それぞれ辞書を引いたりして揉めました。作者は「常識にとらわれない人」の意味で使ったとのことでした。
跡見天晴れ伊勢屋購入 団扇
・・・跡見、伊勢屋がわからなくていろんな推定発言がありました。作者の説明で「明治時代の小説家・歌人の樋口一葉が通ったことで知られる 東京・本郷の旧伊勢屋質店を跡見学園女子大学が購入することになった」という3月のニュースのことだとわかりました。
余命表伸び要介護増え しげる
・・・淳隆さんから「コアがない、山坂がない」との意見がありましたが、作者は五・七・五の句を無理に縮めものですから、と説明しました。
老いてますます生きてますます 颯秋
3 愛は吟じる恋は囁く 睦悟朗
・・・「わからない」という発言もありましたが、美佐緒さんが「恋は囁く、ができて、それに上をつけたのでしょう」という発言があり、作者は「その通りです」
3 受験終わって家の雪解け 和子
3 嘘の隣で歩幅乱れる 美佐緒
・・・夫婦歩調を合わせて歩いてきたが、一方の嘘でそれが乱れた、ということだそうです。
3 花ならば散り春のふたたび 若丸
・・・花ならば散っても来年また必ず咲く、ということだそうです。
4 酔ってそうろう花手折る罪 久子
4 松竹梅へ迷うポケット 倫也
5 予想以上に暇な結婚 潤子
7 花粉まみれの蜂がうそぶく 祥子
13 熨斗と諭吉の息が合わない 淳隆
・・・4人が◎、5人が〇と、多数の共感を集めました。
Ⅱ、宿題
課題は「日常」で五十嵐淳隆さんの選でした。
〔佳作〕
1 すぐに無くなる下ろす万札 則保
2 何事もなくふきのとう咲く 久子
3 マッサンを見て今日が始まる しげる
4 探し物から今日が始まる 祥子
5 頼るコンビニ独り居の日々 颯秋
6 子の成長に初を付け足す 若丸
7 代わり映えせぬ昼の定食 団扇
8 靴を揃える朝の習慣 美佐緒
9 日日乾杯の理由見付ける 睦悟朗
10 酔うに酔えない妻の晩酌 潤子
11 ゆっくり刻む亀の日常 美佐緒
12 過去に凭れて縁でまどろむ 睦悟朗
〔秀作〕
1 離婚で消えた俎板の音 美佐緒
2 隣の庭を食べる借景 倫也
3 有り触れた日の慣れに躓く 祥子
〔特選〕
同じ手順の愛が退屈 団扇
〔軸〕
近所へ畳むホステスの顔 淳隆
Ⅲ、五分間吟
課題は「殿(字結び可)」で、植竹団扇さんの出題及び選でした。
〔佳作〕
1 志村の殿が白いアゴだす 若丸
2 殿様蛙雨中万歳 睦悟朗
3 バカ殿が出る量販のビラ 睦悟朗
4 いばって見える封筒の殿 則保
5 殿か様かで迷うお手紙 睦悟朗
6 滑る湯殿に齢を知らされ 淳隆
7 殿様気分させるホステス 倫也
8 バカ殿なのに威張る二代目 しげる
9 サイコロ振って殿のご政務 美佐緒
10 殿方達を乗せる手の平 しげる
11 殿の言いなり消した女子力 倫也
〔秀作〕
1 殿と呼んでる妻のおねだり 久子
2 殿方とあるトイレ緊張 しげる
3 湯殿飛び出る美女の尻餅 潤子
特別ユーモア賞 貴殿貴殿と馬鹿にされてる 淳隆
〔特選〕
小さな殿が増える少子化 倫也
〔軸〕
替りを持てに裏返す鯛 団扇
最後に、お世話役の村田倫也さんから、武玉川鑑賞「光陰の句」として、十五句の紹介があり、各句について話し合いました。
今後の予定は次の通りです。
第四十回 平成二十七年五月二十八日(木)
宿題「謝る」
第四十一回 平成二十七年七月三十日(木)
宿題 未定