詩情川柳 とろけゆく恋
編著者: 絲 心句
A5判ソフトカバー・180頁
ISBN978-4-8237-1089-6
「短詩文芸である川柳で物語を書けるのか」という壮大なテーマに挑戦した詩人であり川柳作家である著者が、一人の女性の数奇な半生を、「川柳」という表現手段のみで極上の恋愛小説として完成させた意欲作。
主人公の「悦子」が愛する人と運命的な恋に落ち、数多の苦しみを経験して辿り着いた境地を、「ひらがな詩人」として活動する著者が詩情豊かに紡ぐ、究極の恋の川柳物語。
第1部「悦子 十九歳 大学一年生」、第2部「悦子 三十四歳 商社に勤務」、第3部「悦子 四十一歳 商店に勤務」の3部構成。
著者は東京都出身。詩人として長年にわたり活躍しながら、東京みなと番傘川柳会に所属し、精力的な川柳活動を展開している。本著の帯文は、同川柳会会長・青木薫氏が「永遠のテーマである恋を物語風に詩人が紡いだ画期的な川柳句集」と推薦している。
触りたい恋がふるえてしゃがんでる
この胸はひそかな恋が溜まるとこ
キスすれば二人で入る恋の瓶
脱がされてみるみるうねる恋の波
雨よふれふれ恋の巣ごもりになれ
好きだからしかたがないと風が言う
砕かれる恋にしたたる血の涙
洗面に枯れ果てた彼の歯ブラシ