北海道に生を受けた著者は、在学中に病により失明。卒業して結婚後、東京で鍼・灸・按・マッサージ治療院を営みながら、持ち前の豊かな感性で尺八、長唄、清元、小唄、端唄、都々逸をたしなみ、川柳作家としても幅広く活躍し、八十八歳の生涯を終えた。
本書は妻・きみ氏が口述筆記で大学ノートに記録した膨大な作品をベースに、長男・平柳和茂氏が丁寧に編んだ著者のベスト句集である。表紙の題字は和茂氏筆。序文は著者が所属していた六星川柳会会長の福田案山子氏。
巻頭にカラー版の「平柳高麗路アルバム」として在りし日の著者の素顔が並ぶ。第一章「嬉 楽しくあそんで」、第二章「笑 ご笑納あれこの一句」、第三章「展 高麗路のココロひろげてみれば」、第四章「訣 きっぱり詠みきる」の四章構成。心で川柳を詠む、著者の高潔な人間性が川柳に転写された、珠玉の一冊である。
哺乳瓶みるみる空にする生命
人形を戦禍の村でひろい上げ
蓮開く音聞く朝を露にぬれ
病んでいるらしいとわかる筆の跡
ハネムーン幸せとだけ走り書き
賽銭を届かぬ距離で投げた悔い
結び手が違うネクタイ帰宅する
人間に愛想が尽きて犬を飼い
俺の子だなどと安心しておれず
蕗の薹大地へ春を押し上げる
本書は妻・きみ氏が口述筆記で大学ノートに記録した膨大な作品をベースに、長男・平柳和茂氏が丁寧に編んだ著者のベスト句集である。表紙の題字は和茂氏筆。序文は著者が所属していた六星川柳会会長の福田案山子氏。
巻頭にカラー版の「平柳高麗路アルバム」として在りし日の著者の素顔が並ぶ。第一章「嬉 楽しくあそんで」、第二章「笑 ご笑納あれこの一句」、第三章「展 高麗路のココロひろげてみれば」、第四章「訣 きっぱり詠みきる」の四章構成。心で川柳を詠む、著者の高潔な人間性が川柳に転写された、珠玉の一冊である。
哺乳瓶みるみる空にする生命
人形を戦禍の村でひろい上げ
蓮開く音聞く朝を露にぬれ
病んでいるらしいとわかる筆の跡
ハネムーン幸せとだけ走り書き
賽銭を届かぬ距離で投げた悔い
結び手が違うネクタイ帰宅する
人間に愛想が尽きて犬を飼い
俺の子だなどと安心しておれず
蕗の薹大地へ春を押し上げる