2016・08 |
2016年8月のユーモア川柳入選作品 |
選考/五十嵐淳隆 2016年8月募集分 |
定年でやっと終わった平泳ぎ | 光畑勝弘 | |
ヒラ社員が懸命に泳ぐ姿を「平泳ぎ」と上手く表現されました。定年を迎えて、苦しかった平泳ぎをもうしないで済む・・という安堵感とペーソスの組み合わせで、見事な秀句となりました。 | ||
くしゃみにも腰を入れます骨密度 | 松村 しげる | |
歳をとると、水を飲むのにもコツが要るのです。ましてや、くしゃみなどうっかりすると肋骨がバラバラになってしまうかも知れません。充分に腰を入れてから、くしゃみするという絵が上手く描けて、秀句となりました。ただ、下五を「骨粗鬆」とされてはどうでしょうか。 | ||
儂の故事ばかり使うと毛利殿 | 龍せん | |
アベノミクス以後、やたらに三本の矢が登場してきます。毛利元就が「オレの教えを気安く遣うな・・」と怒っている様子が目に見えるようです。「儂」の字がいかにも殿様向きで、句を活かしました。 | ||
生きてるか死んでいるかと鳴る電話 | 城後 朱美 | |
菓子折がイヤな相談連れてくる | 白子しげる | |
コンサート拍手を聞いて拍手する | 由美 | |
性格の良さが邪魔してへぼテニス | 船岡五郎 | |
ネットでも申し込めます隠れの湯 | 星野睦悟朗 | |
公園のセミはデシベル超えて鳴く | BBブンゴ | |
美人ではないから話しかけやすい | 加藤 当白 | |
始まりと同じ速度で減る人気 | 船岡五郎 | |
災いの元とは知るが喋りたい | 赤松重信 | |
ストレスを預けて帰る縄のれん | 佐藤信則 | |
わが夫想定外に出世せず | 太秦三猿 | |
老体にムチを打ったら働けぬ | 春爺 | |
足音を聞きへそくりの本戻す | 星野睦悟朗 | |
極楽を猿と分け合う露天風呂 | 氷川の杜 | |
二代目が他人の顔で住む実家 | 白子しげる | |
統計は人を惑わす為に在る | 宇宙悠々 | |
今ですと霧が急かせるプロポーズ | 西井 茜雲 | |
善人と思い込ませて丸め込む | 岡 遊希 | |
聞き上手いえいえただのお人好し | 佐藤彰宏 | |
ワンマンの社長得意はマイウェイ | 柳村光寛 | |
入れ替えたはずの心がもう怠け | 亀 歩 | |
大切なことは小文字で書く文書 | 久常三喜夫 | |
コンビニに寄るのをやめて痩せてみる | かきくけ子 | |
我が家ではとっくに退位してるパパ | 加藤 当白 | |
酒は醒め化粧は剥げる無駄遣い | 岡田淳 | |
バリウムを飲まされのたうちまわされ | 由美 | |
ジオラマと住める家ならガマンする | しゅういち | |
ジム通う美人は最初から美人 | 柳村光寛 | |
気のせいか青信号がすぐ変わる | 白子しげる | |
野暮な蚊が肩に置いた手チクリ刺す | 西井 茜雲 | |
あなたの手待って跳ぶ気のホウセンカ | よし絵 | |
組み手避け勝った王者のしたり顔 | はなぶさ | |
渋滞を避けて二時間早く着く | 城後 朱美 | |
アンメルツ縦に塗っても効きますか | 賢石 | |
張り詰めてもう切れそうな赤い糸 | 智鈴 | |
ひきずった恋切り刻むシュレッダー | 渡辺たかき | |
ドーピング クーベルタンに叱られる | すずき 善作 | |
弁解をするほど妻の薄笑い | 岡野 満 | |
熱帯夜妻の寝相に目を瞠る | 久常三喜夫 | |
理性など忘れるための夜がくる | 渡辺たかき | |
門灯に背筋が伸びる千鳥足 | 氷川の杜 | |
元気過ぎ介護保険が無駄になる | 白瀬白洞 | |
卓球の玉には成れぬ身が持たぬ | 廣田和織 | |
通訳を困惑させる語呂合わせ | 岡 遊希 | |
表替えできる畳がうらやまし | 彩古 | |
生きざまはシミとしわとの揃い踏み | 寺林 繁 | |
パニクルの意味が分からずうろたえる | 海野えぼし | |
オレオレも金が無ければ騙されぬ | 坂本加代 | |
ポケモンと今日はどこまで行ったやら | 寺林 繁 | |
人一倍ぐらいじゃダメだ二倍やれ | 岡田淳 | |